【映画】『ヒックとドラゴン2』レビュー ※後半にネタバレあり

2014年注目映画のひとつ『ヒックとドラゴン2』のレビューです。前作から5年後の世界を舞台に繰り広げられる、ヒックと仲間たち、そしてトゥースたちドラゴンの成長物語。予定している3部作の第2作目となる本作は、ヒックが“大人になる”ために超えなければならない試練を描いています。日本公開は未定。

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・ストーリー ※ネタバレなし

ここはバイキングの村、バーク。5年前のヒックとトゥースとの友情をきっかけに、今では人とドラゴンが共存する平和な村。そこではドラゴンライダーたちがが出場する試合が行われているも、ヒックとトゥースはそれには参加せずに、まだ地図上に描かれていない未開の大地を探索していた。成長したヒックは5年前に失った足を補うに十分な装備を身につけ、大親友のヒックとともに大空を飛び回っている。

ドラゴンレースに勝利したアスティも加わり、ヒックらは遠方に見える煙の正体を突き止めようと近づいたところで、アスティのドラゴンが何ものかの罠によって捕らわれてしまう。奪還を目指すヒックとトゥースはそこで“つらら”のような巨大な氷に行く手を阻まれている集団と遭遇、ドラゴンの支配者であり狂人のドラゴという男に差し出すために、トゥースらドラゴンを捕まえようとするも、ヒックの操る炎の剣やトゥースの連係プレーによって失敗、アスティらとバークへと帰っていく。

村に帰るも、ヒックを村の族長として訓練させたい父親のストイックはなかなかヒックの話を聞いてくれない。それでもヒックが「ドラゴという男がドラゴンの軍を引き連れてバークを襲うかもしれない」という言葉にストイックは凍り付く。過去にドラゴと出会い死にかけた経験を持つストイックは村を守るために戦争の準備を開始するも、ヒックは戦争回避のためにドラゴと話し合うことを提案するも、ドラゴの狂人ぶりを知るストイックは聞く耳を持たない。ヒックはトゥースとともに戦争回避を図るべくトゥースとともに飛び立っていく。そしてアスティもそれに続いた。

ヒックは再度ドラゴの部下のもとに行き、わざと降参することでドラゴの居所まで連れて行ってもらおうとするも、追って来たストイックらによって止められてしまう。しかし納得できないヒックはトゥースとともに再び飛び立つも、そこに謎のドラゴンライダーが現れ、ヒックを連れ去ってしまう。

謎のドラゴンライダーに連れ去られたヒックは、氷の洞窟のなかで見たことのないような数のドラゴンを目にする。平和に暮らしているドラゴンの群れを目にしたヒックは、そこで驚愕の事実を知ることになる。

・感想 ※ネタバレなし

 2010年に公開された『ヒックとドラゴン』が世界中で5億ドルを稼ぐヒットとなったことで、3部作として続編が製作されることが決定、そして本作『ヒックとドラゴン2』が3部作の2部目ということになる(この3部作構想も最近になって4部作になる可能性が指摘されている)。2014年のカンヌ映画祭でプレミア上映され大好評だったことや、海外の採点サイトでも軒並み高得点をたたき出すなど、話題性も高かった。

この映画の評価を下すときに困るのは、判断の基準をどこに置くべきかと言うこと。数あるアニメーション映画の平均を基準とする場合、本作は間違いなく素晴らしい出来映えである。しかし2010年の前作と比較するとどうしても物足りなさを感じてしまう。「映画の2作目は1作目を超えられない」という言葉の通りではないが、「3部作の2作目は“中休み”」という感じがしてしまう。

まず前作の最高の見所として、疾走感溢れる飛行シーンの3D演出とジョン・パウエルの音楽の相性が飛び抜けて素晴らしかったことが挙げられる。特に前作の中盤、ヒックとトゥースが互いに信頼することで飛行技術のコツを実践で掴むシーンのは、『アナと雪の女王』の「Let It Go」の部分に決して引けを取らない、開放感と疾走感に溢れる名場面だった。本作でもこの系統を受け継いでおり、ヒックとトゥースの飛行シーンは序盤の見所だが、3D演出は控えめで、残念ながら前作から本作までの4年間の進展を窺い知ることはできなかった。

そして前作ではヒックのキャラを引き立てる役柄として個性的な仲間たちが大活躍したが、本作ではヒックとトゥース以外のキャラの活躍は控えめに描かれている。仲間たちと違った個性を発揮して一緒になって困難を解決する、という構成ではなく、本作ではスポットのほとんどがヒックとトゥースに当てられている。そのことが前作との比較における物足りなさの主因だと思うが、「3部作の2部目」としてはこの選択は間違っていないとも思う。これは3部作であるが故に避けて取るべきではない物語とも言える。

本作の主題は「大人になる」ということ。族長としての将来を父親から期待されながらも、自分の進む道にまだ納得できないヒック。しかし将来の選択とは、時に状況から迫られて下さなければならないこともある。大切なものを失ったことで生まれた責任を果たすために、大切な何かを手放さなければならないこともある。大人になると言うことは、その責任を担うために幼年期の無邪気さを後ろに置いていくということなのだ。

本作では少年から大人になるヒックの心情がメインに描かれている。そしてトゥースにもまたヒックの鏡として同様の試練が訪れる。前作でも身体的欠損という“子供向け”アニメ映画には似つかわしくない描写が重要なものとして扱われていたが、本作はもう“子供向け”ですらなく、大人になるための通過儀礼としての物語が用意されている。これは映画単体としてみた場合は、やはり前作に比べて興奮度は控えめにならざるを得ない要因となっているが、しかしこれほど次回作への期待が膨らむ物語もない。試練を超えて大人になったヒックとトゥースの本当の冒険を描くためには、本作は描かれなければならなかった物語だと思う。

追記(2014年7月15日):本作の日本公開は未だに公式で発表がなく、このままDVDスルーになる可能性が高くなりつつあります。この事態に有志で<HTTYD2劇場公開を求める会>を立ち上げられた方がネット上で署名活動をされています。劇場公開を希望される方は是非、下記のリンクより賛同の声をあげてください。

リンク先:『How To Train Your Dragon 2』の日本での劇場公開を求めます

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※次ページよりネタバレを含むストーリー解説となります。結末に関しては明かしていませんが、注意してください。※

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