映画『アメリカン・パイパイパイ!/American Reunion』レビュー“俺たちの同窓会”

 卒業までに童貞喪失を目指し奮闘する高校生の姿を描いた大ヒット青春コメディー『アメリカン・パイ』シリーズの完結編『アメリカン・パイパイパイ!/American Reunion』のレビューです。

 ストーリー:高校を卒業して13年。結婚して2歳の子供も授かったジムとミシェルは、仲が悪い訳ではないのに、ここ最近めっきりご無沙汰。ジムは隠れてポルノサイトを巡回し、ミシェルも一人でシャワーを浴びる(?)ようになっていた。
 そんな折りに二人は同窓会に参加するために実家に戻り、それぞれの友人たちと久しぶりに再会。ケビンは結婚し在宅で仕事をし、オズはスポーツキャスターでスーパーモデルの彼女とLAで同棲中、行方知らずになっていたフィンチも突如現れ、久しぶりに男たちで集まっていた。そこに悪友でトラブルメイカーのスティフラーもなぜか登場。高校時代を思い出すように5人は酒に飲まれていく。
 その翌日、向かったビーチでオズは高校時代のガールフレンドと再会する。そこには馬鹿騒ぎする高校生集団がいて、ジムらとトラブルになるもスティフラーが彼らのクーラーボックスに脱糞し、挙げ句には彼らのジェットスキーを破壊してしまう。その後、ジムは以前ベビーシッターをしていた女の子と問題になったり、ケビンとオズはそれぞれの元カノに再会し、心揺れまくり。フィンチは相変わらずで、スティフラーは高校の頃のようにはいかない日々に悶々とする。
 高校卒業から13年。童貞喪失に情熱を捧げていた高校生たちは、それぞれの悩みを抱えながら、またあの頃の日々を取り戻そうとする。

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 感想:はっきり言って、映画としては特筆すべきことはなにもない。プロットは使い古されたものだし、『アメリカン・パイ』の大ヒット以降に作られた童貞系映画(40歳の童貞男などのアパトー作品)や馬鹿騒ぎ系映画 (ハングオーバーなど)へのわざとらしいオマージュも、ちょっとスベりぎみ。きっと『アメリカン・パイ』のオリジナルシリーズを観ていない人にとっては、この映画はただ下ネタが連発されるだけで退屈に感じるだろう。
 ただオリジナルシリーズを、その登場人物たちとほとんど同じ年齢で観て過ごした人々にとってはやはり感慨深いものがある。99年に公開されてアメリカで大ヒットになった『アメリカン・パイ』から現実でも劇中と同じ時間が流れているため、観客はスクリーンのなかにそれぞれの自分の姿を重ねてしまう。これはここ最近のシリーズ作品が得意とする手法で、『トイ・ストーリー』でおもちゃに夢中だった子供がやがて家でて大学生になる姿に多くの観客が自分を重ねたように、このブログでも紹介したイーサン・ホーク、ジェリー・デルビー主演の『ビフォア・シリーズ』では9年後ごとに確実に年を重ねていく男女の姿に我々が深い共感を覚えるように、この『アメリカン・パイパイパイ!/American Reunion』にも現在の自分を透かし見ることができる。実際に劇場にいた観客のほとんどは私と同じような、つまりは登場人物たちと同じような30過ぎ人たちだった。

 さて本作では99年のオリジナル作品に出演していたキャラクターがほとんど復活している。“ミルフ/熟女”コンビは再結成され、シャーミネーターも登場する。副題にあるようにこの映画は“同窓会”なのだ。
  同窓会なんてものはいつだって他人から観たら面白いものじゃない。話される内容は内輪ネタばかりだし、どんなに出世した奴でも高校の頃はパッしなかったもの。多少の見栄や自慢は愛嬌で、集まれただけでなんとなく満足してしまうのが同窓会。そもそも、あんなものは面白いものじゃないのだ。本作は確かにパッとしない映画だけど、こうやって13年ぶりに顔を揃えた姿を観るだけで、ほっとするのだ。
 というわけで『アメリカン・パイ』シリーズを観たことのない人は他の映画を観ましょう。でも『アメリカン・パイ』を観て大爆笑した青春時代をお持ちの方は観てはいかかでしょうか。懐かしい気持ちになれますよ。

 なお、普段はネタバレまで書くのですが、本作は止めます。そもそもネタとかオチとかはありません。ただエンディングに最高の爆笑ポイントがありますのでお楽しみに。

 本文紹介作品『American Reunion』輸入版

『アメリカン・パイ』シリーズ

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