【映画】大人気ミュージカルの映画化『ANNIE/アニー』レビュー ※ネタバレあり

トニー賞受賞のブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品『ANNIE/アニー』のレビューです。アニーを演じるのは最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたクヮヴェンジャネ・ウォレス。他にもジェレミー・フォックス、キャメロン・ディアスといった豪華出演陣が脇を固める話題作。日本公開は2015年1月24日。ある種のミュージカル作品にありがちな、観客に小っ恥ずかしさを強要するような作品になっていました。

Annie

■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

里子のアニーは、一枚の手紙を残して離れ離れとなった両親といつの日か再会できることを心から信じている、元気な少女。彼女はいつ現れるかも知れない両親を待ち続けながらも、アルコール中毒で性根の腐った女性ハニガン(キャメロン・ディアス)に引き取られている。政府からの補助金目当てで5人の孤児を引き受けているハニガンだったが、ある日家を訪問してきたソーシャル・ワーカーが落とした一枚の紙に書かれていた情報を元に、自分の出生を探し出そうとするアニー。

その途中、いじめられていた犬を助けるために走っていたアニーは、大富豪のスタックス(ジェレミー・フォックス)とぶつかり、危うく車に轢かれるところをスタックスによって救われる。極度の潔癖症で気難しいスタックスだったが、このアニーとの出会いの瞬間がユーチューブに投稿される。これを市長になることを画策していたスタックスは自身のプロモーションに活用しようとし、里親失格と判断されたハニガンからアニーを引き取り、一時的に里親となる。

スタックスが販売する携帯電話が市民の個人情報を取集していると批判されていたスタックスだったがこのプロモーションは大当たりし、彼の人気は急上昇。アニーは一気に街の人気者になる。

野心家で孤独だったスタックスは、底抜けに明るいアニーと一緒に生活することで、人生の最も大切なものに気がつき始める。そして本気でアニーの里親になることを考えるのだったが、そこから事態は思わぬ方向へと転がっていく。

■レビュー■

まず最初にこのレビューを執筆しているのが30歳を遠に過ぎたおっさんであるということをお断りしたい。

ブロードウェイ・ミュージカルの『アニー』は日本でも長年にわたって舞台化されており、多くの人に長く愛されているミュージカル作品である。過去にはハリウッドで映画化されたりドラマ化されるなどしてきたために、大体のストーリーは本編を見たことがなくても知っていることだろう。元々のストーリーは、「大恐慌時代に誰もが希望を見失う中で、誰よりも辛い生活を送っているアニーがどんな時も夢と希望を忘れない姿に周りの人々が徐々に感化されていき、やがてはアニーこそが大恐慌から脱するニューディール政策の礎になる」というもの。本作の舞台は現代だが、劇中でアニーがフランクリン・ルーズベルトに言及するなど、過去作も強く意識した作りになっている。

しかしちょっと厳しい言い方をすれば、ただそれだけのリメイク 作とも言える。そもそも『アニー』の物語上で最も重要な背景とは大恐慌というどん底にあえぐ社会であり、現代に物語を移したことでその部分がごっそりと抜け落ちている。10歳の少女が見せる無垢で健気な姿勢の社会的特異性が全く表現されていない。大富豪スタックス(ウォーバックス)やアニーが有色人種になったことや、携帯電話などの現代のガジェットを盛り込んだことなど、新たな解釈を施しているようで、結局は物語本来の意味を下方修正しているに過ぎない。リメイクの弊害の見本のような結果となった。

また豪華出演陣やカメオなど見所はあるが、それらはあくまでピンポイントの笑いどころであって、物語全体を通せば、少なくとも大人の鑑賞には堪えない、ただ登場人物が急に歌い出すだけの映画という印象しか残らなかった。ミュージカル映画の魅力とは、劇部分では説明しきれないような心情を歌と踊りによって昇華することにあるのに、本作ではミュージカルパートがあまりに唐突で、しかもかなり子供向けなため、観ているこっちが小っ恥ずかしくなってしまう。そしてキャメロン・ディアスをはじめとする役者陣の大げさ演技にも 辟易する。

そもそも子供向け映画なのだから、というエクスキューズは残念ながらもう通用しないのだ。

またハニガンの元にはアニー以外にも4人の子供達が預けられていたのだが、アニーだけが大富豪のもとに向かい入れられる結末も、あまりに単純なシンデレラ展開で、しらける。ディズニーが必死なって過去のシンデレラ的世界観を払拭しようとしている最中、この映画はあまりにも子供じみている。

見所としての音楽や、劇中に数多く登場するカメオ、特に劇中に移される映画の監督として『21ジャンプ・ストリート』などのクリストファー・ミラー&フィル・ロイドがクレジットされていたりと、楽しめる部分が随所にあるだけに、映画全体を通して悪い意味での「子供用」感が残念だった。

印象としてはどう転んでも高評価はできないのだが、これはあくまでおっさんの意見ですの悪しからず。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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