映画レビュー|『アントマン』-小さいことはいいことだ!

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マーベル・シネマティック・ユニバースの新作で、「フェーズ2」最後の作品でもある『アントマン』のレビューです。『アベンジャーズ2』後の世界を舞台に登場した、アリのよう小さくアリのように強い『アントマン』の今後の活躍にも期待。出演はポール・ラッド、マイケル・ダグラスほか。そしてエドガー・ライトからバトンタッチされたペイトン・リードが監督。日本公開は2015年9月19日。

『アントマン/ANTMAN』

全米公開2015年7月17日/日本公開2015年9月19日/アメリカ映画/117分

監督:ペイトン・リード

脚本:エドガー・ライト、ジョニー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッド

出演:ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、ボビー・カナヴェイル、マイケル・ペーニャ、マイケル・ダグラス他

あらすじ(ネタバレ)

仕事や人間関係がうまくいかず、頑張ろうとすればするほど空回りしてしまうスコット・ラング(ポール・ラッド)。別れた妻が引き取った娘の養育費も用意することができず、人生の崖っぷちに立たされた彼のもとにある仕事が舞い込んでくる。それは肉体をわずか1.5センチに縮小できる特殊なスーツをまとい、正義の味方アントマンになるというものだった。スーツを着用した彼は、ヒーローとして活躍するために過酷なトレーニングを重ねていくが……。

参照:www.cinematoday.jp/movie/T0016025

レビュー

小さいから強いのではない! :

マーベル・シネマスティック・ユニバースの新しい展開の一手となる『アントマン』。『アベンジャーズ2』との位置関係もあって、「フェーズ2」最後の作品という括りになっているが、実質は『アベンジャーズ2』 後の世界が舞台となっている。

泥棒行為で生きている主人公スコットは、刑務所に入っていたこともあり一人娘となかなか会うことができない辛い日々を送っていた。そんななか彼が最後の大仕事と引き受けた物件で不思議なスーツを彼は目にする。実はスコットはそのスーツの開発者から逆に監視される対象であって、彼にはそのスーツを着用する必要があるとされる。ここにアントマンが誕生する。

本作『アントマン』は完成までに紆余曲折を経験、特にエドガー・ライト監督が製作過程で抜けることになり、より一層予想するのが難しい作品となった。劇中でもネタにされるが「アントマン」とは文字通り「アリ男」で、雷神ソーやアイアンマンらアベンジャーズと比べるとどうしても同一世界の住人とは思えない。また体がアリサイズということで当然巨大イモムシみたいな怪物と真っ向勝負ともいかず、ヒーローば内在する巨大感及び圧倒感を演出するのは無理がある。

それでも本作は、秀逸な脚本によって、あえて『アベンジャーズ』と切り離すような小世界での戦いぶりを壮大かつコミカルに描くことに成功している。プロットを説明するとネタバレになりそうだが、本作を見てまず思い出したのは1950年代に作られた2作のSF映画だった。まずは1954年の『放射能X』 というモンスターパニック。原爆実験の影響で巨大化したアリがアメリカを襲うという内容だが、「アリの小ささ」と「大きくなったアリ」の両方の恐怖をうまく混ぜ合わせた傑作なのだが、本作『アントマン』では『放射能X』で描かれるアリの驚異的な力がアントマンの能力を支えることになっている。

そしてもう一作は1957年の『縮みゆく人間』。リチャード・マシスンの原作をジャック・アーノルドが監督した『縮みゆく人間』は突然に自分の体が小さくなっていくことになった男の悲哀を描いた傑作。『縮みゆく人間』は主人公が、自分が存在することの意味に宇宙的な視点からたどり着くことで終わる。彼は体が縮むことで初めて生きる意味を知り、そしてアントマンもまた自分がアリになることでその使命に気がつく。存在の物理的大きさは、存在の価値や意味を優先しないのだ。ちなみに『縮みゆく人間』と『アントマン』の主人公はどちらもスコットだ。

原作漫画にどれだけこの『放射能X』と『縮みゆく人間』との影響があるのか浅学のためわらかないが、少なくとも本作においては『ミクロキッズ』や『ミクロ決死圏』との比較よりも、小さくなることに関しては『縮みゆく人間』の思想が強く反映されているし、人類の暴走をアリの力に重ねることでは『放射能X』からの影響が強く見て取れる。小さな世界を描く以上は「純文学的」なテーマの昇華を目指すのが常套だが、本作ではコメディラインがしっかりと整えられていることで見え隠れする小難しい議論に邪魔されることもないというバランス感覚がすばらしい。

それでも本作はアメリカでは大ヒットはしていない。それも仕方ないのない話で、やっぱり画面にアリさんがアップになるわけで、奥様方はアリのアップを見るなら『マジック・マイク』を見たくなることは容易に想像できる。でももしアリや昆虫が苦手で本作を敬遠している方は、悪いことは言わないので、敢えて、是非とも見に行くべきなのだ、これが。確かに公園のベンチでじわりと近づいてくるアリは鬱陶しいが、本作に登場するアリは半端なくかわいい。アリがかわいいのだ。ドリームワークスの『アンツ』のようなアニメとしてのかわいさではなく、ご主人に忠実なアリたちの姿がかわいいのだ。まるでアリのハチ公。これを見ればどんなアリ嫌いだって心を入れ替えるのではないでしょうか。

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ということでマーベル最新作『アントマン』のレビューでした。本文でうまく伝えられませんでしたが、なかなか面白かったです。でも個人的にはもう2015年はヒーロー映画はちょっとお腹いっぱいです。クレジット後の次回予告を見ていると、一体マーベル世界はどこまで進んでいくのか気が遠くなりました。それでもやっぱり面白かったです。是非、劇場で。

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