『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』レビュー ★★★★

2012年の『アベンジャーズ』の続編であり、マーベル・シネマティック・ユニバースの核となる超話題作『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のレビューです。スーパーヒーローが大集結して地球を守るという前作の物語から一歩踏み今後のマーベルシリーズの方向性を決める作品。『スターウォーズ』と並んで今年最大の話題作。ネタバレページあり。

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『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』

全米公開2015年5月1日/日本公開2015年7月4日

監督/脚本:ジョス・ウィードン

原作:スタン・リー、ジャック・カービー

出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・エヴァンス、マーク・ラファロ、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、コビー・スマルダーズ、サミュエル・L・ジャクソン、ジェームズ・スペイダー、エリザベス・オルセン、アーロン・テイラー=ジョンソン、トーマス・クレッチマン、ポール・ベタニーなど

あらすじ(ネタバレなし)

前作から行方不明になっていたロキの槍を使ってヒドラが極秘に実験を行っていることを掴んだアベンジャーズの面々は、ソコヴィアという国にあるヒドラの秘密基地を襲撃。途中で謎の力を秘めた双子に邪魔されるも、何とかミッションを完了する。

そしてロキの槍の先端に付けられていた石を分析すると、そこには緻密で高度な人工知能が埋め込まれていることが判明。地球滅亡の危機の記憶が新しい中、トニー・スタークは自信が開発していた地球防衛システム「ウルトロン」にこの人工知能が活用できると考える。

しかしその人工知能をウルトロンに融和させようとした結果、オペレーションを担当するJ.A.R.V.I.S. (ジャーヴィス)を超越したウルトロンが暴走、地球上全ての存在を根絶やしにするというウルトロンの計画が動き出してしまう。

地球を守るという理想の反逆によって危機に陥った世界。アベンジャーズ全員が、それぞれの苦悩とトラウマと向き合いながら、史上最大の敵ウルトロンに対して戦いを挑むのだった。

※ネタバレのストーリー紹介は次のページで※

レビュー

新たな神話のはじまり:

2012年の『アベンジャーズ』が実際に公開されるまで、その出来栄えに関しては半信半疑だった。それぞれがすでに主役として映画化されているキャラクターたちが集まってチームを組む、となればそれが壮大な物語になる可能性を秘めているのは確かだが、同時に物語として一つの流れのなかに落とし込むことが難しいのも事実。アメコミ原作で多数の有名ヒーローが出演する映画としては2003年の『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』はまさに後者の典型例で、それぞれのキャラクターを立たせることを優先した結果、映画自体としては無残なものとなってしまった。

しかし『アベンジャーズ』は大成功だった。2008年の『アイアンマン』の大ヒットからスタジオは周到にヒーロー集結の時をイメージを練り続け、後続する『キャプテン・アメリカ』や『マイティ・ソー』もその公開時には気がつかなかったものの、『アベンジャーズ』から逆算しする形で様々な謎や登場人物が絶妙に配置されていた。それらを物語の求心力として持ち込むことで、ヒーローたちの個性をしっかりと描きながらも、ストーリーから逸脱することはなかった。これはもちろん監督のジョス・ウィードンの才気に因るところが大きい。

話題作満載の2015年のなかでも『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は大ヒットすることはまちがいなく、問題はどこまで記録的な数字を残すのか、という一点に尽きる異例の作品で、内容に関しても今後のマーベル・シネマティック・ユニバースの大きな流れを担うことが期待されており、つまらない訳がない。

結果、やはり素晴らしかった。前半にはアベンジャーズの面々が集まるからこそ引き立つコメディパートが用意されていて、会話の中でのヒーローたちの「噛み合わなさ」は前作以上に強調されている。本作はとにかく笑いどころには事欠かない。そして何よりも、今後のマーベルシリーズを占うという意味では、世代交代の物語として描かれている。

これまで『アベンジャーズ』のリーダーはアイアンマンだった。しかし本作では彼のリーダーとして存在意識を内側と外側から揺るがすような物語が設定されており、そのリーダーの「揺らぎ」が他のメンバーにも波及することで物語性が強くなっていく。一般論としても組織のリーダーが変われば、その構成員らそれぞれにも何かしらの変化は訪れる。ある者は責任感を強め、ある者は自分を見つめ直し、ある者は決意に目覚め、ある者はただ去っていくだろう。実際にどのような変化がアベンジャーズに起きるのかは映画を観てもらうとしても、その変化へと至る過程の描き方は絶妙だった。特に過去に主役として映画化されていないキャラクターのブラックウィドウとホークアイにはまだ語られていない過去があったからこそ、トニー・スタークから発せられた変化の要請に対して、本作だけでなく今後のシリーズの流れにも繋がるようなプロットで応対していた。これまで特にブラック・ウィドウの単独主演作が熱望されていたが、おそらくは今回のような重要な秘密を担保しておくためにわざと単独主演作を見送っていたのだろう。

また前作『アベンジャーズ』との対比で言えば、本作はキャラクターそれぞれの内部に物語の導火線が用意されている点にも注目したい。前作はどこかの星の性格破綻した王子さまの暴走という外部から持ち込まれた問題によって地球滅亡の危機となり、アベンジャーズは結集した。しかし本作では前作に持ち込まれた外部の要因はきっかけでしかなく、危機の主要因はトニー・スタークが製作していた「ウルトロン計画」と呼ばれる地球防衛システムの暴走であり、言うなれば理想の暴走である。これまでなら人間の手によって作られた兵器のせいで地球が滅んでしまうという核の皮肉として描かれるところが、本作ではその役割を「人工知能」が担っている。トニー・スタークがアイアンマンであるために必要だった「人工知能」が地球を脅かすという物語設定は、トニー・スタークがアイアンマンであるからこそ救われた前作とは真逆になっている。

物語の構成はかなり綿密に行われており、ほとんど隙は感じない。それでも前作のようなヒーローたちによる大活劇の昂揚感を期待すると肩透かしを喰うかもしれない。本作では物語のバランスを優先したために、前作のような終盤に一気にインフレするスペクタクルは控えめで、全編通して見所が用意されており、そのため思わず喝采を送りたくなるようなクライマック スではない。前述したように本作は世代交代の物語なのだ。登場人物の内側に多くの視点が設定されており、興奮よりも愛着を刺激する作品となっている。

監督のジョス・ウィードンは本作で『アベンジャーズ』から手を引き、次なる『アベンジャーズ』の物語は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のルッソ兄弟へとバトンタッチされる。本作で敢えて派手なクライマックスを用意しなかったことがジョス・ウィードンの美学でもあり、ルッソ兄弟へのエールでもあるだろう。

映画としては抑揚に欠ける部分がありクライマックスの興奮が不十分に感じてしまうも、次なるマーベル・シネマティック・ユニバースへの期待感は煽るという意味では大成功と言えるだろう。ここからの『アベンジャーズ』はさらなる飛躍に期待せずにはいられない。

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ということで『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のレビューでした。今回から星取り表も公開します。5点満点の4なんでやっぱり面白かったです。特にこれまでアベンジャーズでは目立たないキャラだったホークアイが泣かせます。ハルクも泣かせます。そして本作から登場するクイックシルバーとスカーレットウィッチも泣かせます。そして『アイアンマン』や『マイティ・ソー』そして『キャプテン・アメリカ』のサブキャラも一挙登場するのでとにかく画面がずっと豪華です。あと御大スタン・リーも最高です。ジョス・ウィードン監督にはお疲れ様としか言いようがありません。是非とも3Dでご観賞あれ。

※注意、次ページはネタバレのストーリー解説です※

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1 個のコメント

  • 京都国際マンガミュージアムにこの映画のIМAX3D版の入場者特典ポスターを寄贈しました、すごいだろう?。

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