【映画】『イコライザー』レビュー ※ネタバレページあり【10月25日公開】

デンゼル・ワシントン主演作『イコライザー』のレビューです。監督は2001年に『トレーニング・デイ』でデンゼル・ワシントンにオスカーをもたらしアントワーン・フークア。そして共演は『キックアス』のクロエ・グレース・モレッツと豪華布陣。昼はホームセンターのマネージャーで、夜は社会の悪を葬り去る“仕事人”ことイコライザー(調停者)の孤独な闘いを描く最高アクション映画。日本公開は2014年10月25日。

Sony TheEqualizer UKQuad

■ ストーリー、前半 ■ ※ネタバレなし

ホームセンターのマネージャーを務めるロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)はボストンに暮らす心優しい中年男性。仕事が終わり帰宅した後に、近所の喫茶店で紅茶を飲みながら、亡き妻が残した大量の本を読むことが唯一の楽しみ。

ある晩、ロバートは喫茶店で家から持ってきた『老人と海』を読んでいると、カウンターに座っていた若い売春婦から『もう老人は魚を釣り上げた?』と話しかけられる。ロバートが「いや、まだだ」と答える。そしてまた別の夜にもロバートは女と喫茶店で会い、本について少し話すが、やがて女は何かに怯えるように落ち着きない表情で店を出ていき、太った男が待つ車の方に歩いていった。

そして翌日、ロバートはまた喫茶店でその女を見つける。彼女は顔に傷を負っており、何かにまだ何かに怯えているようだった。彼女の名前はアリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)と言い、いつか歌手になる夢を持っていたロシア系の女の子だった。少しずつ打ち解けていき、アリーナはロバートに自分が歌ったCDを渡した。帰り道、ふたりが歩いていると、車が止まり数人の男がアリーナを攫うように車に誘導した。「大丈夫」というアリーナをロバートは黙って見送り、彼をアリーナの客だと勘違いした男たちはロバートにコールガールを呼ぶための名刺を手渡し去っていった。

次にロバートが喫茶店に行った時、マスターからアリーナが何者かに痛めつけられ集中治療室に運び込まれたことを聞かされる。こっそりと訪れた治療室にはアリーナが横たわり、意識は薄いようで、顔は激しく傷ついていた。そんなアリーナをただ見つめるロバート。

まだ若く将来のある女の子が痛めつけられているのを見たロバートは、昼の仮面を脱ぎ捨て、夜の仕事人、イコライザー(調停者)として悪の処分を決意する。

■ レビュー ■

本作の日本でのプロモーションを見るに、クロエ・グレース・モレッツとの共演や「19秒で仕事を完遂」といったコピーが全面に押し出されているが、映画の内容は全く違う。クロエはあくまで物語の序盤とラストに登場するに留まるし、「19秒」に至っては序盤の見せ場における一つの設定でしかない。こういう広告代理店的プロモーションはもういい加減辞めた方がいい。仮にクロエ・グーレス・モレッツがアクションに絡んでいなくとも、十分に良質なアクション映画なのだから、正面から観客に挑めばいいのだ。

きっとこの映画を観た日本人の多くが『必殺仕事人』を思い浮かべるのではないだろう。昼間はありきたりの社会の一員として生活するも、夜になると悪人どもを静かに抹殺していく。しかも悪人を抹殺する理由が、金や命令や復讐心からではなく、社会の平和のため、もしくは虐げられる弱き市民のため、そして殺しの道具も銃だけでなくホームセンターに売っているもの全てを利用するDIYでぶち殺す設定もよく似ている。

物語の構造も『必殺仕事人』とよく似ており、物語の序盤は悪人どもにやりたい放題させておくことで、後半に用意されている仕事人の庭であるホームセンターでの虐殺ショーが「よ、待ってました!」状態で盛り上がる。しかも完全武装の相手をどこにでも売っているようなモノを使用して完全かつ残酷に始末していく。そして雨(?)もよく似合っていた。悪人たちも小悪人から中悪人、大悪人としっかりと階層があって、それらの格差を差別せずに平等に皆殺すところも好感が持てる。

本作はアメリカで大ヒットを記録し、映画の世界観が焼き回しに適していることからもデンゼル・ワシントン初のシリーズ映画となる可能性が報じられている。本編のラストを見る限り、シリーズ化も考えているようだ。これまで黒人俳優として出演作の傾向の固定化を嫌い様々な役柄に挑戦してきたデンゼル・ワシントンだけに、リーアム・ニーソンのように軽やかにアクション俳優に転向することはありえないが、それでも次回作を見たいと思える良作だった。とにかくデンゼル・ワシントンのカッコ良さが際立っている。どんな巨大な悪に対しても顔色ひとつ変えずに定めた目的を冷静かつ正確に遂行していく。本来なら冷徹な印象を受けかねない人物設定ながらも、前半にしっかりと彼の昼の顔を見せているので、ただの殺人マシーンとしての印象は全くない。このあたりはやはり俳優としての力量だろう。また悪役演じるマートン・チョーカシュの所構わずキレまくる演技も、デンゼルの静のイメージと対照的で素晴らしかった。

昨今のウクライナ情勢を巡るアメリカの対ロシア感の悪化を物語るように、本作では80年代アクション映画でよく描かれていた「悪いロシア」が強調されているる。以前ならそれらを成敗するのは白人の専売特許だったが、ここでは白人は「悪いロシア」の手先となり、それらと戦うのは黒人でありヒスパニックという物語内人種構造も現代的で興味深い。デンゼル・ワシントンの俳優としての懐の深さに目が行きがちな本作だが、そういったところにも注目して欲しい優良アクション映画だった。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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1 個のコメント

  • 久々に気分よく映画館をあとに出来た、ロシアまで行くのは予想外で暗殺じゃなく皆殺し・・・気分スッキリ!

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