【映画】2014年版『ゴジラ』レビュー ※ネタバレ(ストーリー解説)あり

ストーリー、2、(中間部)

ジャンジラ市に隠されていたものとは、赤く光る物体を内包する巨大な“さなぎ”のような生物だった。そしてそこから発せられるエネルギー信号は15年前に発電所を襲ったものと同様であり、今まさに何かが“さなぎ”から孵ろうとしていた。「モナーク」の管理下にあった研究所は復活しようとする何かを食い止めるべく、その生物の抹殺指令を出すもすでに遅かった。昆虫のような細い足を持ったその巨大生物は地上に現れ、研究所を破壊し、背中から羽を伸ばして飛び去ってしまう。そしてその途中にジョーは建物から放り出され、重傷を負うことになる。

「ムトー」と名付けられた昆虫型の巨大生物は東へ飛び立ち、芹沢博士をはじめとする「モナーク」の研究者も米軍の管理下に収まることになる。そしてジョーとフォード親子が「ムトー」の謎に最も近い場所にいると気がついた芹沢博士は二人をチームに合流させるように進言するも、輸送中に肝心のジョーは死亡してしまう。そしてこの事件は日本を襲った地震として再び隠蔽されて報道される。

ジョーの死に接した直後、芹沢博士はフォードに「モナーク」の活動について全てを告白する。第二次大戦を機に各国が核開発に乗り出すなか、その巨大なエネルギーに反応するかのようにして、「ムトー」とは別の古代生物が目覚めた。米軍は1954年にビキニ環礁での核実験を名目にその生物の抹殺を試みるも失敗。「モナーク」とはその生物の研究に携わる機関であり、その生物の名を芹沢博士は日本語風にこう呼んだ。

「ゴジラ」と。

また1999年にフィリピンからジャンジラ市にやってきたムトーは放射性物質をエネルギー源としており、ジャンジラの核燃料を確保した後、眠りについたのだという。

そしてフォードはジョーが「エコロケーション」と呼ばれるコウモリなどが音波によって空間を測定する能力と関連して「奴らは会話しているんだ」という言葉を残していたことを思い出す。そこからムトーは何かと連絡を取ろうとしていると睨んだ芹沢博士は、地上に放たれたムトーがゴジラと遭遇するのは時間の問題だと考える。フィリピンで発見された巨大な化石はゴジラの祖先にあたり、それに寄生していたものはムトーの祖先と考えられる。原子炉を体内に抱えたゴジラと、放射能物質をエネルギーとするムトーは闘いが宿命づけられた怪物だった。

そしてムトーはとうとうハワイに上陸。原子力潜水艦を襲い、核弾頭を飲み込みながらホノルルの市街地に侵入。その時、海岸の潮が一気に引いた。そして直後に巨大な津波がハワイを襲う。ムトーの電磁波攻撃によって停電となり真っ暗なハワイに、巨大な別の何かが上陸する。それはムトーを追いかけてきた、ゴジラだった。

長いレビュー(下)、(ネタバレを含んだ感想)

本作のクライマックス、サンフランシスコで繰り広げられる光景は、黙示録的としか表現のしようがない。そしてこのクライマックスの存在が本作を大傑作と評する最大の根拠となっている。もし世界の終わりが目の前で突如としてはじまったとするのなら、我々の目にはどのように映るのだろうかという疑問に答えようとしている。

ゴジラにはいつも宗教的な意味が含まれている。倫理や道徳の手本としての宗教ではなく、超越の存在を描いている点でゴジラは宗教である。本作では善悪を超越した存在(≒神)としてのゴジラが繰り返し強調されている。物語上で行動の意図が明確に説明されない存在はゴジラだけで、人類の行動は言わずもがな、ムトーに関しても生存と子孫を残すことという動物としての行動理由が示されるが、ゴジラにはそれがない。ゴジラの行動の意図は人智を超えたところにある。ゴジラがムトーを「狩る」理由として芹沢博士から提示される推測とは、「自然における力の均衡を保つ」ためという抽象的かつ宗教的なもので、ここで示唆されるようにゴジラとムトーは存在として同じステージに立っていない。均衡を保つのはゴジラで、壊すのはムトー。その意味でゴジラとムトーの対比は、宗教上での「神」と「堕天使」のそれに近い。天国から地上に堕ちたことで非地上的な力を持ってしまった堕天使から、地上の均衡を守るために降臨する存在としてゴジラは描かれている。堕天使の典型的なイメージはムトーの造形にも少なからず影響を与えているように思える。

そしてこれほど人類が無力な存在として描かれている映画もない。本作における人類とは、怪獣を怯え見上げるだけの存在でしかない。そしてその視点がそのまま映像になっている。つまり人類とは映画内におけるカメラのレンズとしての役割しか果たしていない。ゴジラとムトーの戦場に飛び降りる兵士たちも、物語を主体的に解決するための役割は全く与えられておらず、核兵器使用という愚かな選択によってサンフランシスコが第二のヒロシマとなることを防ぐための行動でしかない。そしてその目的さえも「神≒ゴジラ」の助けがなければ達せられない。

同じ怪獣映画というジャンルでも『パシフィック・リム』とは高揚感の質が全く違う。人類が困難に打ち勝つことで得られる高揚感はもちろん本作には全くない。あるのは、ただただどうしようもない状況に放り出された時の、恐怖さえも笑ってしまうような感覚。そして無宗教を自覚する者が最後には神にすがってしまう感覚だ。

ただしゴジラが放射熱線を吐く時には『パシフィック・リム』のロケット・エルボーと同じ興奮を覚えたが、それは監督からのプレゼントのようなもので、物語上の必要性はほとんどない。

とにかくサンフランシスコでの大決闘だけでも十分過ぎる価値がある。

後半部以外での見所は下記に箇条書きする。

  • オープニングからの死の灰をイメージしたタイトルバック。
  • 渡辺謙の苦悩の表情が、オリジナルの平田昭彦に似ている。
  • 宝田明のシーンはカットされたが、平成シリーズでおなじみの上田耕一(たぶん)とモスラがカメオ出演。
  • ハワイホノルル空港でのゴジラの登場シーンに、しびれる。
  • ゴジラの水泳形態がサメのようで新鮮。
  • 放射熱線の場面では「くるぞ、くるぞ、、、キター」と叫びたくなる。←ここは拍手シーン。

マニアの方にはもっと色々と気付くことがあるだろうし見所はつきないが、公平を期すためには本作の欠点も下記に箇条書きする。

  • 日本のシーンでの日本語のアフレコがひどい。口が合っていないものまである。
  • 設定上ブライアン・クランストン演じるジョーは日本語を理解していることになっているが、これもひどい。日本語検定7級レベル。
  • ハリウッド映画ではおなじみだが、日本描写は東洋への憧れ補正がかなり加わっている。
  • ストーリー上の問題では、ムトーが核燃料を食べるという設定が、そのまま河崎実監督の『地球防衛未亡人』に出てくる宇宙怪獣ベムラスと同じ。さすがにパクってはないだろうが、勘弁してほしい。

ということで完璧な映画なんて存在しませんから欠点ももちろんあります。しかし繰り返しますが、本作はストーリー上の整合性や説得力はさほど大きな問題にはなりません。それもこれもラストの黙示録的描写のおかげです。世界の終わりを前に、人々は論理的な説明や整合性を必要とはしないのです。ただ呆然とするだけなのです。

個人的にはリアルタイムでこれほど興奮した映画は記憶にありません。その意味では私の映画史のなかでは間違いなく特別で比類のない作品と断言しても構わないと思います。

しかし同時に、続編を窺わせるラストのゴジラ復活の姿に、寂しさも感じました。 本作は我々が観てきた東宝のゴジラとは明らかに質が違いました。98年のエメリッヒ版『ゴジラ』の後、日本にはまだゴジラを語ることが出来る余地が残されていました。しかしあれから16年経って、エドワーズ版『ゴジラ』の後に、東宝は新しいゴジラを作られるでしょうか。これほど圧倒的で新しく、同時にどの過去作よりもオリジナルの精神に近いゴジラを作られてしまっては、もう日本のゴジラは観られないのではないでしょうか。

現実世界では1945年サンフランシスコを出航した原子爆弾リトルボーイはヒロシマを壊滅させ、映画として2014年ゴジラはサンフランシスコを破壊しました。そうすることでゴジラは、生みの親であり故郷でもある日本への借りを返したかのようです。映画のラスト、渡辺謙演じる芹沢博士の表情が印象的です。満足感とともに、ゴジラが本当に海を渡っていってしまったような、寂しさがそこにはありました。

ストーリー後半から結末まで

▶︎庵野秀明監督作『シン・ゴジラ』レビュー(ネタバレページあり)

関連記事:7月25日公開『ゴジラ』の最新情報
関連記事:7月25日公開『ゴジラ』を記念し、東宝ゴジラ全28作を一挙レビュー

[pc]

<スポンサーリンク>[colwrap] [col2] [/col2] [col2] [/col2] [/colwrap]

[/pc]

[sp]

<スポンサーリンク>

[/sp]

 

Summary
Review Date
ページ:
1

2

3
▼この記事拡散希望中▼
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Fatal error: Uncaught Error: Call to undefined function wp_related_posts() in /home/beaglevoyage/beagle-the-movie.com/public_html/wp-content/themes/gorgeous_tcd013-2/single.php:45 Stack trace: #0 /home/beaglevoyage/beagle-the-movie.com/public_html/wp-includes/template-loader.php(75): include() #1 /home/beaglevoyage/beagle-the-movie.com/public_html/wp-blog-header.php(19): require_once('/home/beaglevoy...') #2 /home/beaglevoyage/beagle-the-movie.com/public_html/index.php(17): require('/home/beaglevoy...') #3 {main} thrown in /home/beaglevoyage/beagle-the-movie.com/public_html/wp-content/themes/gorgeous_tcd013-2/single.php on line 45