アニメ映画『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険』レビュー(ネタバレあり)

ドリームワークスの事業規模縮小のため2015年唯一の公開作品となった『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険/HOME』のレビューです。悪意のない間抜けな異星人によって侵略されてしまった地球を舞台に、孤独な少女と孤独な異星人の出会いと冒険を描いたハートウォーミング・アニメーション。少女の声を担当するのはリアーナ、そして孤独で間抜けな異星人の声は『ビッグバンセオリー』でシェルドンを演じるジム・パーソンズ。色々と強引さは目立つものの、最後はしっかりと感動させられます。

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『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険/HOME』

監督:ティム・ジョンソン

脚本:トム・J・アストル、マット・エンバー

原作:アダム・レックス著『The True Meaning of Smekday』

声優:ジム・パーソンズ、リアーナ、ジェニファー・ロペス、スティーブ・マーティン他

あらすじ

見るからに凶暴な異星人ゴーグから逃げているちょっと間抜けな異星人ブーブは、地球を隠れ家として自分たちの住処とすることを決定し、不思議な技術で地球人たちを強制移住させ、ニューヨークやパリで勝手に暮らし出す。

そんなブーブのひとりオー(ジム・パーソンズ)はいつもドジばっかりで友達がいない。せっかくパーティを開いても誰も来てくれないので、しまいには宇宙全体の生物にまで招待状を送ってしまう。もちろんそのなかにはブーブを追いかけているゴーグも含まれていた。オーのドジでブーブだけでなく地球が滅亡の危機に!?

やってしまったオーはブーブたちからも追われることになる。その時、オーはひとりだけ強制移住から逃げていた少女ティップ(リアーナ)と出会う。母親が強制移住させられたため、愛猫のピッグとともブーブから隠れて生活していたのだった。仲間に追われるオー、そして母親との再会を熱望するティップ。

でこぼこコンビの冒険がはじまった。

※ネタバレのストーリー紹介は次のページで

レビュー

一時期は『シュレック』や『マダガスカル』など人気シリーズを多く手がけていたドリームワークスも近年は経営が厳しきなり、2015年からはとうとう1年で1作しか製作されないことが決定した(日本では2012年以降一般劇場公開されていない)。その背景にはドリームワークスがディズニー/ピクサーとのカチンコ勝負に売って出た結果、作品の質にばらつきが生まれてしまったことが理由の一つなのも事実。その反省から量より質へと方針転換したドリームワークスの船出第1作とも言えるのが本作『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険』で、『シュレック』や『ヒックとドラゴン』に見られたような皮肉や比喩は最低限に、アニメーション映画として、親子とりわけ母と娘の関係に特化した手堅い作品を送り込んできた、という印象だ。

周りから受け入れてもらえない孤独な異星人と、その異星人の出現によって母親と引き離された孤独な少女。それぞれの世界では馴染めない者同士が出会うことで、お互いの寂しさを補い合い、勇気を分け合い、そして助け合い互いが成長していく姿を描いた本作。物語としては同じドリームワークスの『ヒックとドラゴン』とよく似ている。また主役の女の子の声を担当するのがリアーナで劇中でも音楽がフューチャーされている点は『アナ雪』を意識しているだろう。相棒の異星人の声は人気シットコム『ビッグバンセオリー』で天才科学者でオタクな空気を読めないシェルドン役で人気のジム・パーソンズ。ドラマでも異星人に例えられる変人を演じていたが、それとほとんど変わらない役柄となっている。それ以外にも色々と類型的な設定が目につく。ドリームワークスとしても1年に1作ということで失敗だけは許されないという状況から、敢えて表現上の冒険は回避したというところだろうか。

これまでの「ディズニーは子供と大人の中にある子供心に向けて映画を作るが、ドリームワークスは大人と子供の中にある大人心に向けて映画を作る」というドリームワークス代表のジェフリー・カッツェンバーグのモットーからすれば、本作は少し異質なのかもしれない。それでもディズニーなら少女を前面に出して展開させそうな物語でも、相棒を不思議なエイリアンと設定することで母と娘の物語だけに終始せずに、エイリアン(≒男の子)の成長物語としても描かれている点はドリームワークスの矜持だろう。

たしかに観たようなことのある設定や物語が続く作品であるが、とにかく明るいのが魅力で、リアーナとジム・パーソンズの会話のリズムはかなり心地よい。『ビッグバンセオリー』におけるペニーとシェルドンの会話がずっと続くような感じで、そこにリアーナの歌や異星人のダンスが加わり、何ともポップでカラフルな作品に仕上がっている。

「ドジを踏んでも大丈夫、きっとやり直せるさ」という自虐的で前向きなテーマを、「大切なのは家族と友達」という小学六年生みたいな道徳に繋いだ、極めて優等生で、ごくごく真面目な作品。『シュレック』のような毒っ気もないし、『ヒックとドラゴン』に観られたハードさも本作には登場しないが、それでも作り手の過剰な意気込みとプライドのせいで迷走した失敗を省みた結果、アニメーションの原点に立ち返り、とてもシンプルに観客を楽しませようと努力しているのがわかる。

ラストも誰も傷つかず、みんなが笑顔になれるオチとなっている。それでも最後はしっかりと泣かせてもくれるのだから、やはりクオリティは高い。生き別れた母を捜すという物語も、リアーナとジェニファー・ロペスが親子を演じれば、こうやって幕が閉じられるのかと感心してしまった。やはり踊らなや損なのだろう。

ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険:

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ということで『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険/HOME』のレビューでした。ドリームワークス作品はここ最近は日本で一般上映されることがなく完全スルー状態ですが、『アナ雪』があれだけ空前の大ヒットを記録したのだから、これも十分にヒットする可能性を秘めていると思うんですがね。エイリアンといってもゆるキャラみたいなもんですから、免疫もありそうだし。こういう映画を劇場公開しないと家族で観に行く映画がなくなりますよ。星取りでは3点としましたが、それは主にオリジナリティの欠如のためで、最後はしっかりと感動できます。近くで観ていたお子さんを連れたお母さん大号泣でした。あと『ビッグバンセオリー』ファンも必見です。

『ホーム 宇宙人ブーヴのゆかいな大冒険』のネタバレページ

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