【映画】『ハンガー・ゲーム2/The Hunger Games:Catching Fire』レビュー ※ネタバレあり

 ティーンエイジャーに絶大な人気を誇る原作小説の映画化第2弾の『ハンガー・ゲーム2/The Hunger Games:Catching Fire』のレビューです。さほど期待せずに観たのですが、主演のジェニファー・ローレンスの迫真の演技に圧倒されました。日本公開は2013年12月27日。食わず嫌いで見逃すにはあまりに惜しい映画です。

 ストーリー:近未来の世界では一部の富裕層のみで運営される独裁国家が、12の奴隷地区を暴力政治によって管理していた。そして奴隷たちから自由への希望を奪い取ると同時に、富裕層らの娯楽として、全12地区から選ばれた男女各一名の全24名の少年少女らによる、最後の一人になるまで殺し合いを続けるサバイバル・ゲームを開催。前作『ハンガー・ゲーム』では妹の身代わりとしてこのゲームに参加したカットニス(ジェニファー・ローレンス)が同地区から選ばれたピータとともに勝者となって生き残ることに成功していた。
 前作の死闘から故郷の12地区に戻っていたカットニスのもとを独裁国家の大統領のスノーが訪れる。スノーは、勝者は一人というルールを曲げる結果となった前作の辻褄合わせのため、カットニスにはゲールという想い人がいることを知っていながら、彼女とピータに「勝利のツアー」と称して二人の無垢なる愛の宣伝を奴隷地区で行うように強制する。
 独裁国家の非情な暴力に遭遇しながらも、ツアーを終えたカットニスは故郷に帰還する。しかしそんな折りに、第12地区は軍により焼き討ちされ、その際に抵抗したゲールは公衆の前でむち打ちを受けることになる。止めに入るカットニスだったが、軍の指揮官の怒りを買い殺されそうになる寸前で、ハンガー・ゲームの先輩でもあるヘイミッチに救われる。
 そしてスノーにより次回のハンガー・ゲームの開催に関する知らせが行われる。発表された内容とは、第75回記念として歴代の生き残りをのみが参加するチャンピオンズ・バトル。12地区で唯一の女性帰還者のカットニスは自動的に、前回同様の殺し合いゲームへと参加を強要されることになる。実際には前回のハンガー・ゲームで奴隷たちの希望となったカットニスを、反乱のきっかけとならないように、抹殺するために開催されたゲームであった。そしてヘイミッチとピータの男性帰還者は、一度はヘイミッチが選ばれるもピータが自発的な参加を要望。
 カットニスとピータの二人を見送る第12地区の人々は、禁止されている三本指での敬礼で二人を見送る。軍による強制終了のためにあいさつさえできずに、二人はハンガー・ゲームという殺し合いゲームに赴いていく。

 レビュー:前作の『ハンガー・ゲーム』を観たときの正直な感想は、つまらないな、というものだった。そしてその続編の本作『ハンガー・ゲーム2/The Hunger Games:Catching Fire』を観て思うのは、やはり前作はつまらなかった、というもの。前作と本作の比較では間違いなく本作『ハンガー・ゲーム2』に軍配が上がる。ただ単純な前作との比較においての評価ではなく、大作映画としての骨組みがしっかりとした出来映えのいい映画だった。
 まず本作はあの『トワイライト・シリーズ』同様にティーンエイジャー向けの小説を基にされているが、吸血鬼や狼やらとの純愛とは違って、大人の鑑賞も意識した作りになっている。それは原作も同様なのか分からないが、描かれる近未来の世界観は、あからさまだが、一種の社会批判としても見て取れる。なによりしっかりと演技ができる役者を用意しているから、大人の観客を置き去りにしてしまいかねないようなロマンスのシーンでも、役者の力で押しとどめる。具体的には前作から引き続いているウッディ・ハレルソン、本作のキーマンとなるフィリップ・シーモア・ホフマン、そして何より若くしてオスカーを戴冠した主役のジェニファー・ローレンス。とくにジェニファー・ローレンスの演技力には脱帽しかない。殺し合いのゲームに参加する、という実感ゼロな設定ながらも、彼女の移り行く感情表現を前にしていると、そこに確実な映画的説得力を感じてしまう。きっとこの映画化は彼女なしには成立しなかっただろう。
 そしてジェニファー・ローレンスや他のハンガー・ゲーム参加者たちへの追い込みも容赦がなくていい。特に物語の中盤の、一難去ってやってくるのがお猿さん、という追い込みはなかなか凄みがあってとてもいい。それは過激化していくリアリティーショーの極北であり、同時に本質でもある。この時、映画の観客は殺し合いゲームを観て楽しむ富裕層たちと同じ視点に立たされる。ティーンエイジャーには戻れない我々も、ハンガー・ゲームを観て楽しむ観客としての共犯関係がここで結ばれる。結果がどうあれハンガー・ゲームの最後を見届けなければならないという気持ちが生まれるのだ。そういった切実さが本作にはある。
 この映画は本当によくできたものだと思う。デートムービーとして観られるのはもちろん、追い詰められていくジェニファー・ローレンスを堪能する残酷物語としても観られる。個人的には2時間半という長さを120分に収めてもらいたかった。とにかく前作に失望したからといって本作を見限るのはもったいない。個人的にはちょっとしたサプライズ作品だった。

 *これよりネタバレをします。日本公開は2013年12月27日ですので、鑑賞予定のある方は、ここより他のページに移ってください。繰り返します。以下ネタバレします。注意してください。*

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 サバイバル・ゲームの開始直前に、目の前で信頼するデザイナーのシナ(レニー・クラヴィッツ)が暴行されたことで動揺するカットニス。しかし非情のゲームは待ってくれない。ゲーム開始と同時に殺し合いがスタート。カットニスは第4地区のフィニックと老女のマグスと共闘することにし、無事にピータとも合流。水分を奪うジャングルのなか、闇夜のなかでは触れると感染する毒霧に襲われ、足の不自由なマグスはこれ以上足手まといにならないために自ら毒霧のなかに消えていく。毒の作用が泉で癒されることで安心していると、今度は獰猛な猿たちの襲撃を受ける。なんとか振り切った3人は浜辺で、他の班の生き残りと合流。そこでワイヤーを張り、定期的に襲ってくる落雷を利用することで他の参加者を感電させようとする計画を実行するも、カットニスらはその生き残りたちの襲撃を受ける。仲間の機転で救われたカットニスは、切断されたワイヤーを弓矢に巻き付け、落雷の瞬間に空に向けて矢を放つ。するとハンガー・ゲームを隔離していたドームの壁に感電。ハンガーゲームをコントロールしていたシステムは全てダウンしてしまう。
 そして気を失いかけるカットニスは飛行機に引き上げられる。目覚めたカットニスはピータの姿がないことに気がつき、船内に集まっていたヘイミッチやハンガーゲームの制作者らが実はスノーへの抵抗組織を結成していることや第13地区への移動の最中であることを知らされるも、ピータらは独裁国家側に連れ去られたことを告げられたことで混乱してしまう。安定剤を注射され、目覚めた彼女の側にはゲールがいた。彼の口から家族の無事を告げられるも同時に第12地区は破壊されてしまったことを知らされる。
 朦朧とするカットニスは、その知らせをある種の覚悟を持って聞き入れたようだった。

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 というわけで、ジェニファー・ローレンスは凄かった!まだ若い彼女ですが、純粋に演技だけで観客を集められる貴重な俳優であることを、本作でまざまざと見せつけられました。とにかく追い詰められる彼女。観ていて辛くなるときもありますが、同時にもっと彼女の極限を観たいという意地悪な感情も持ってしまいます。それほど演技のポケットが多い。先にも述べましたが、食わず嫌いでスルーすると公開しかねない充実の作品でした。おすすめです。

 

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1 個のコメント

  • はじめまして!
    私も実は食わず嫌いでスルーしそうになった一人なので、こちらのレビュー大変共感できました!
    私は1も結構面白いなぁと思い、どちらも自分の勝手な感想では☆4つです。(☆5中)
    カットニスは追いつめられてももちろん主人公なので、他の参加者と違って、案外簡単にピンチから抜け出てきているところが、やはり子供向なのかもしれませんが、私は2時間半とはおもえないほど熱中して観てしまいました。
    ラブストーリがいらない、という人もいますが、それがなかったら、結構つまらないアクション、残酷映画になっていたので、
    やっぱり必要かと。
    3が楽しみですね!
    レビュー参考になりました。

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