【映画】キアヌ・リーブズ主演『ジョン・ウィック』レビュー

キアヌ・リーブズ主演『ジョン・ウィック』のレビューです。亡き妻からプレゼントされた愛犬を、ロシアン・マフィアのドラ息子に殺された最強の元殺し屋による復讐劇。ここ最近はヒット作に恵まれていないキアヌ・リーブスの最新作は、舐めてかかると大火傷必至の「お前は俺を怒らせた」型、最高ノンストップ・アクション映画でした。犬を粗末に扱う連中は皆殺し!2015年10月日本公開決定!

John Wick New Poster  1

■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

愛する妻をガンで亡くしたばかりのジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)。ジョンは殺し屋として名を轟かすほどの凄腕だったが、 妻と出会ってからは裏の世界からは足を洗っていた。妻の死後、悲しみにくれるジョンにとって唯一の慰めが妻から最後のプレゼントとして送られた一匹の子犬の存在だった。

ある日、ジョンが愛車のマスタングを走らせていると、ガソリンスタンドで若いロシア人のチンピラに絡まれる。そのチンピラはジョンの車を欲しがったが、ジョンは売り物ではないと撥ねつけた。

夜、ジョンは何者かに寝込みを襲われる。それはガソリンスタンドで因縁をつけてきたロシア人たちでジョンの車を奪いにきたのだった。そしてその時、彼らはジョンの愛犬までも殺してしまう。

犬を殺し車を奪った男たちは、車のナンバーを交換するためにガレージを訪れるが、そこの代表が持ち込まれた車を見て顔色を一変させる。そして男たちにこの車を誰から奪ったのか、そしてその持ち主をどうしたのか、と問い詰める。彼は知っていたのだ。その車の持ち主の過去の顔を。

やがて目が覚めたジョンは傍で冷たくなっていた愛犬を自宅の庭に埋葬する。そして犯人が立ち寄ったガレージによって、そこの代表から犯人たちの素性を教わる。犯人の主犯格はロシアン・マフィアのボスの息子で、ジョンは過去に殺し屋としてそのボスから仕事を請け負ったこともあった。やがて自分のドラ息子がジョンを怒らせたことを知ったボスは、なんとかことを収めようと努力するがジョンは電話に出ても会話をしようともしなかった。

かくして、唯一の心の支えを奪われたジョンは、封印したはずの過去の自分を解き放つ。「バーバ・ヤーガ(ブギーマン)」と呼ばれていた最強の殺し屋ジョン・ウィックは、たった一匹の犬のために強大なマフィア組織へと壮絶なる復讐劇を、ひとりで開始する。

■レビュー■

ここ数年、ヒット作にも恵まれず迷走気味だったキアヌ・リーブスが、ここへ来てアクション俳優として見事にカムバックしたと思わせる会心の作品を送り込んだ。その名も『ジョン・ウィック』。

本作はストーリーとしてありきたりな復讐もので、過去に凄腕の殺し屋だったという設定もデンゼル・ワシントンが新境地を開いた傑作アクション『イコライザー』と非常に似ている(デンゼルは元凄腕のエージェントだったが)。それでも観ていて飽きることは全然ないどころか、シリーズ化を望まずにはいられないような見事なアクション映画となっていた。

感情表現ができないという俳優としては致命的とも思えるような演技スタイルで、独特の役柄を演じてきたキアヌだが、その特徴が本作の設定と非常に相性がよかった。元は冷酷無比な凄腕の殺し屋だったのが、愛する女性と出会ったことで普通の世界に戻った男。しかしその最愛の女性をガンで亡くし、唯一の慰めとなっていた彼女から送られた愛犬を殺されたことで、復讐の鬼と化す。一匹の犬のために巨大なマフィア組織に立ち向かうというリアリティーのない設定も、なぜかキアヌが演じると一気に真実味が増すのだ。

またガン・アクションも最高に素晴らしい。クリスチャン・ベイルが『リベリオン』で見せた ガン=カタを思わせるような、無駄のない一連の殺戮シークエンスは、何時間でも見ていたいほどに美しく、足元から狙い、その後 に頭をしっかりと撃ち抜くという殺戮様式は、キアヌの無表情さと相まって、もう芸術の域に達している。

そして物語の世界観も新鮮だった。殺し屋たちが暗躍する裏の世界の常識を基準にしているため、そのミスマッチ感が笑いのポイントにもなっている。ホテルの廊下でジョンが 暗殺者を撃退していると、隣の部屋から男が銃を持って出てきて「おっ、うるさいと思ったら、ジョンかよ。久しぶり、元気?なんか手伝うか」的なノリ。またジョン の存在がほとんど伝説化しており、「近所のあのオヤジ、昔はすごかったらしいぜ」的な設定もかなり笑える。

今年のアクション映画では『イコライザー』の一人勝ちと思われていたのだが、いやはや、本作も全然負けていない。同じく「お前は俺を怒らせた 」型の復讐劇であるが、キアヌにはそもそも、デンゼル・ワシントンが持っていたような「触るな危険」の匂いはほとんどなく、それでいて怒らせたら100倍返しの恐怖。復讐のきっかけと結果が釣り合わないからこそ、彼の抱えていた絶望もうまく表現されている。

大作へのオファーはほとんどないとこぼしていたキアヌだが、それがどうしたと言わんばかりの傑作アクション。これは今年を代表するカルト映画となりそうな予感。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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