【映画】『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』レビュー ※後半部にネタバレあり

日本でも大ヒットした『テッド』のセス・マクファーレンが監督主演するブラック西部劇コメディ『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』のレビューです。下品な下ネタが全編を貫きつつも体裁としては純愛映画。『テッド』同様に他作品への有り難迷惑なオマージュとカメオにも注目。日本公開は2014年9月です。

A million ways to die in the west poster

・ストーリー、前半 ※ネタバレなし

1882年、アリゾナの開拓地に暮らすアルバート(セス・マクファーレン)は口は達者だが、とにかく“へたれ”な羊飼い。男同士の決闘の時でさえも度胸なく泣きを入れる始末。そんな情けない姿をさらすものだから、恋人のルイーズ(アマンダ・サイフリッド)にも振られてしまう。そんなアルバートの唯一の友人のエドワード(ジョヴァンニ・リビシ)も同様に冴えない男で、恋人のルースは売春婦として一日15人ほどと関係を持っているのに、エドワードは未だに童貞という有様。

一方その頃、町近くの街道上では悪名高いクリンチ・レザーウッド(リーアム・ニーソン)が年老い採掘者から彼が苦労して取った金を取り上げ、挙げ句には無慈悲に殺してしまう。そしてクリンチは彼の妻のアンナ(シャーリーズ・セロン)と1人の部下にほとぼりが冷めるまで怪しまれないように町に身を潜めているように命令して、荒野へと去っていく。

町へやってきた二人だったが、西部の酒場では喧嘩が酒の肴となる。アンナの兄弟と偽って町にやってきた男が、酒場でのいざこざから相手を殺してしまい、そのまま拘置所に放り込まれてしまう。そしてその騒動の最中、失恋でどん底を彷徨っていたアルバートは、偶然にもアンナの命を救うことになる。それをきっかけに二人は友人として仲良くなり、アルバートは人生で初めてのマリファナ・クッキーを食べて夕日を眺めたりする。

そして町で開かれていた祭りに参加したアルバートは、ひょんなことからルイーズの新しい彼氏のフォイと決闘することになってしまう。一週間後の決闘の日までに、銃の扱いがてんでダメなアルバートにアンナは猛特訓を施す。

西部のダメ男アルバートは男として一皮むけることができるのか?そして決闘の結末は新たな難題へと繋がっていき、アルバートは本当の愛のために銃を握るのだった!

・感想 ※ネタバレなし

前作『テッド』は日本でも異例の大ヒットとなったセス・マクファーレンが、その勢いのまま過激に下品に突っ走った爆笑西部劇『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』は、意外にも、『テッド』がマーク・ウォールバーグとクマとのバディ映画であったのに対して、セスとシャーリーズ・セロンによる純愛映画となっていた。

ただ純愛映画と言っても甘く背中がむず痒くなるようなものではなく、映画の冒頭から下品な下ネタと無数に散りばめられたギャグの連続で成り立っている作品なので、『テッド』のギャグがツボにはまった人にはたまらない映画となっている。まず本作の下ネタパートを担当するのはアルバートの親友であるエドワードとその恋人ルースである。ルースを演じるのはコメディアンヌのサラ・シルバーマンで彼女の開けっぴろげな下ネタは最高だ。ちなみにサラ・シルバーマンは米コメディアンで司会者でもあるジミー・キンメルの元カノでもあり、「マット・デイモンとファックした」という映像がYouTubeで話題になったこともあり、恐れを知らずにセックスと宗教をネタにすることで有名である。特に本作で彼女が口臭の原因について話すシーンはかなりひどいものになっている。そしてそのサラ演じるルースの童貞彼氏役がジョヴァンニ・リビシで、物語上彼は経験なカトリック信者のため禁欲を貫いているという設定だが、実際の彼自身はサイエントロジストであり、こういった関係性だけでもかなりヒヤヒヤなのだ。

また『テッド』では『フラッシュ・ゴードン』をはじめとして様々な映画へのオマージュが散りばめられていたが、本作でもその趣向は健在で、あっと驚く人と車や、イケメンがあっという間に殺されたりと、贅沢なカメオ出演陣を揃えている。また物語終盤でアルバートがインディアンの言葉を話すシーンがあるのだが、その言葉の中にセスの映画やドラマと縁深い人の名前がサラッと出てきて、最高の爆笑ポイントとなっていた。また本作のエンディングには西部劇繋がりであの黒人ガンマンがカメオ出演するのだが、それは本作が全体としてオマージュを捧げているメル・ブルックス監督の1974年の西部劇コメディ『ブレージングサドル』を受けてのものになっている。

ギャグ以外にも、メキシコ原産のサボテンから抽出された幻覚作用のあるペヨーテを飲んだあとの、幻覚表現はかなりリアルだった。なぜリアルだと分かるのかはよく分からないが、とにかくあんな感じなのだ。

本作は『テッド』のような外見の可愛さはないが、その手の笑いが好きな方には堪らない映画となっている。またシャーリーズ・セロンとリーアム・ニーソンもいい味出している。

本作の楽しみ方は人それぞれだと思うし、映画マニアにはもっと色々と気付くこともあるのだろうが、鑑賞前に出来ればメル・ブルックス監督作の『ブレージング・サドル』を見ておけばより楽しめると思う。ただし上述の通り、かなりドギツイ下ネタのオンパレードなのでデートムービーとして鑑賞する場合は注意が必要です。

▼メル・ブルックス監督、『ブレージングサドル』▼

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▼次のページにてネタバレのストーリー解説を行います▼

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