映画レビュー|『ポルターガイスト』-ホラーファンタジーの難しさ

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映画界最強クラスの都市伝説を持ち、ホラー映画の金字塔とも評される1982年のオリジナルをリメイクした『ポルターガイスト』のレビューです。オリジナルではスティーブン・スピルバーグが製作脚本を、そして監督をトビー・フーパーが務めた一方、本作ではサム・ライミが製作に加わり、監督は2006年のアニメ『モンスター・ハウス』のギル・キーナンを起用。主演は『ギャラクシー・クエスト』や『月に囚われた男』のサム・ロックウェル。

『ポルターガイスト/Poltergeist』

全米公開2015年5月22日/日本公開未定/アメリカ映画/93分

監督:ギル・キーナン

製作:ロイ・リー、サム・ライミ、ロバート ・G・タパート

脚本:デヴィッド・リンゼイ=アベア

出演:サム・ロックウェル、ローズマリー・デウィット、ジャレッド・ハリス、ジェーン・アダムス他

あらすじ(ネタバレなし)

郊外の住宅地にある一軒家に引っ越ししてきたボーウェン一家。父親のエリック(サム・ロックウェル)は現在失業中ながらも母親のエイミーとの間には、長女ケンドラ、長男グリフィン、そして次女のマディーに恵まれる、平均的な家族。

しかし引っ越し先の一軒家に越してきた最初の夜に、長男のグリフィンは不思議な音を耳にし、電気の異常や勝手に照明が灯されるなど不可思議な現象に出くわしていた。そして一番下のマディーはテレビから聞こえる不思議な音に反応するようになっていた。

両親はただの偶然と気に留めることはないものの、グリフィンはそこに異常な存在を感知し早くも引っ越しするように請願するも受け入れられない。そして次の夜、エリックとエイミーは外での夕食の席で、引っ越し先の住宅地は実は墓地の上に建てられていたことを知る。

そして嵐が吹き荒れるなか家に帰ると、家の敷地内に生えていた木がまるで生きているようにグリフィンに襲いかかっていた。長女のケンドラも地下から湧き出た泥に襲われ、そして次女のマディーはクローゼットのなかに吸い込まれ、姿を消していた。

説明できない現象に娘をさらわれた一家は、超常現象の専門家に調査を依頼。そしてその道のプロであるキャリガンとともに娘を取り返すため、恐ろしい異界のモノたちへと戦いを挑むのだった。

レビュー

ホラーファンタジーの現在地とは?:

1982年のオリジナル『ポルターガイスト』はホラーとしては『エクソシスト』と並んで一般的にもよく知られた映画だけに、リメイクする意図を明確に打ち出すのは難しかったことだろう。オリジナルの『ポルターガイスト』はアメリカの住宅事情が郊外化し「暮らす』という行為から本来あるべき土地との関わりが薄れていく時代の漠然とした恐怖を、一神教的土葬文化から派生したゾンビなどのオカルティズムとの関連で描いた作品で、そのフォーマットは映画だけでなく様々な物語に影響を与えている。それだけにリメイクする際にはオリジナルとの距離感には慎重にならざるを得ない。オリジナルのフォーマットを踏襲しつつ、新しい要素や、30年という時間の流れも盛り込まなくてはならない。初めから難しい作業だったはずだ。

引っ越してきた新しい家で、ポルターガイスト現象に遭遇した家族が、奪われた娘を異界から取り戻すために専門家とともに立ち向かうという内容。

物語は基本的にオリジナルと同じである。いくつかの相違点はあるも、物語上重要な部分での違いとは、おそらくは一点のみである。ここはネタバレになる恐れがあるので詳細は控えるが、物語の視点がひとりの人物にほとんど固定されていることが、オリジナルとの一番の相違点と言える。他は映性別や人種や肩書きが変わるくらいで、後は30年というオリジナルとの時間差を反映し、テレビが薄型になり、3DマップやGPSがオカルト調査に使用され、そしてドローンの登場で異界の姿が可視化される点も違う。

それら以外はほとんどオリジナルと変わらず、『エクソシスト』や『ローズマリーの赤ちゃん』とは違う『ポルターガイスト』の特徴としての、家族向けエンターテイメントとホラーを両立させた作品だった部分まで、本作では、よせばいいのに、踏襲している。そのため劇中にはここぞとばかりにコメディ風味が盛り込まれている。PG13というくくりのなかでは、仕方がないのかもしれないが、ホラー映画としての恐怖演出は、いわゆる「くるぞ、くるぞ、、、ドン!ガバッ!!ギャー!!!」という音声をミュートにすることで回避できるものに終始しており、背筋の凍るような想いをすることはない(それでも何度か目を細めました)。

そう、何か物足りないのだ。いや、正確に表現すると、細部での描写が「過剰」すぎて、映画全体として「物足りない」ように感じてしまうのだ。例えば本作ではカメラを搭載したドローンの視点で異界のビジュアルを可視化しているのだが、これは当然録画機能を使用しているだろうから、世界がひっくり返る大発見となるはずだろう。この点もオリジナルとの距離感の苦悩を象徴している。現象の原因を見える形で提供したオリジナルだが、そこは現代の技術を鑑み、個人視点でのみ描くべきだった。

そして何より『ポルターガイスト』が正式にリメイクされた本作への違和感とは、ホラーファンタジーという当時は新しかった映画ジャンルの「ハシリ」だけに様々なフォロワー作品を生み出し、そのなかには本作の監督ギル・キーナンによる『モンスター・ハウス』も含まれているところだろう。すでにギル・キーナンは『ポルターガイスト』をアニメとして「リメイク」しているのだ。しかもオリジナルとの最大の相違点まで『モンスター・ハウス』で実践している。

ギル・キーナンは『モンスター・ハウス』を監督した時点でなぜ気がつかなかったのだろうか。『ポルターガイスト』とは2010年代においては実写ではなくアニメで語る方がしっくりくるような作品であることを。誰一人も死なずに一般作として公開されるホラーファンタジーの需要とは、もうとっくにアニメに移っている。

相変わらずサム・ロックウェルの追い詰められた演技は素晴らしいし、子役たちも頑張っていた。しかし満足はできない。おそらく最大の「物足りなさ」とは本作がすでに何度目かの「リメイク」であり、しかも実写であったことに由来するのだろう。

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ということでリメイク版『ポルターガイスト』のレビューでした。冒頭にオリジナル『ポルターガイスト』をホラー映画の金字塔と紹介しましたが、まあそれは正確ではなく、やはりホラーファンタジーの金字塔というのが正しいでしょう。純粋な怖さでは先行する『エクソシスト』や『ローズマリーの赤ちゃん』とは質が違います。あくまでスピルバーグ印のエンタメホラーという括りで語られるべきで、ホラー映画としては色んな部分を見せすぎです。それでも家族で観れるホラー映画という、ありそうで少ないジャンルの作品としては価値は十分にあると思います。お子さんをホラーファンに育てたいとお考えのかたには最初の一本として最適かもしれません。以上。

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