映画『アングリーバード』レビュー

世界中で大人気となったパズルゲームを映画化した『アングリーバード』のレビューです。飛べない鳥たちが暮らす平和な島を舞台に、突如現れたブタの大群に対抗するため、太い眉毛がトレードマークの怒りんぼうのレッドとその仲間たちが伝説のヒーロー「マイティーイーグル」を探す旅に出る姿を描く。

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『アングリーバード』

全米公開2016年5月29日/日本公開2016年10月1日/アニメ/97分

監督:ファーガル・ライリー、クレイ・ケイティス

脚本:ジョン・ヴィティ

声の出演:ジェイソン・サダイキス、ジョシュ・ギャッド、ダニー・マクブライド、ケイト・マッキノン

レビュー

世界中で大ヒットとなったフィンランド発のモバイルパズルゲームをハリウッドで映画化した本作はゲームらしいアニメ映画と仕上がっていた。

世界観の設定はなかなか面白い。外敵がいない鳥のとって平和な楽園となっている孤島が舞台に、鳥たちは飛ぶことができなくなっている。そんな島で親もなく友達もおらず孤独に暮らすレッドは、平和的で長閑な鳥たちと違って怒りっぽい。太い眉毛を「ハ」の字にして、イライラしては怒りを撒き散らしている。

ひょんなことから他の鳥の卵を割ってしまったため島で裁判にかけられたレッドは、島で最も重い罰である「アンガー・マネージメント」のクラスを受けさせられる。そこにはレッド以外に、せっかちな鳥チャックや、ビックリすると曝発してしまうボムなど、レッド同様に平和な島では「浮いてしまう」鳥たちが集まっていた。

そんなある日、島にブタのピッグ軍団がやってきた。表向きは友好そうな彼らの姿に胡散臭さを感じ取ったレッドは、彼らの危険性を島の鳥たちに警告するも相手にされない。レッドたちは最後の手段として島の守護鳥である伝説のヒーロー「マイティーイーグル」に助けを請うがイマイチ想像とは違って役に立ちそうにない。

そうこうしている間に、ピッグ軍団は島から卵の奪い取っていってしまった。怒ることも戦うことも知らない島の鳥たちはパニックになるなか、怒りん坊のレッドは、怒りを勇気に変えてブタどもに戦いを挑む。

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「怒ることはイケナイこと」というルールのなかで飛ぶことを忘れた鳥たちが、やがて恐竜のDNAを思い出して怒りを曝発させるというストーリーは、子供向けアニメとしてはなかなか毒があって面白い。怒ってばかりで仲間から除け者にされるレッドが島のルールでは忌避されてきた怒りという個性を武器にして島の危機を救うという、ディズニーやピクサーのアニメでも見られる「欠点も長所」という個性の性質を描きつつも、それが「怒り」なだけに子供と一緒に映画館に行く親はバツが悪い思いをすることになって、とても良い。

ここからでも『インサイド・ヘッド』の局所拡大バージョンとも言えなくもない。でもストーリー上の魅力はそれ以上に広がることはなく、悪い意味での「ゲーム原作」という出自が足を引っ張ることになっていた。

まずキャラクターの設定がぶっ飛びすぎている。怒りん坊のレッドの設定は世界観にもリンクしていて作り込まれていたが、仲間となる二羽の鳥たちの設定があまりにも「ゲーム的」すぎて原作ゲームをプレイしたことのない観客(筆者)からすると、突飛すぎる。せっかちなチャックは時間を超越するほどに高速で移動できる設定で、「ザ・フラッシュ」や「クイックシルバー」といったアメコミキャラをベースにしたものだが、やり過ぎだろう。またビックリすると曝発する ボムとは一体何なのだ? ゲームを知っているファンには違和感がないのかもしれないが、こんなチートな特殊能力に頼るのは反則にしか思えない。もはや「欠点も長所」とかの問題ではなく、「才能(ギフト)」のあるなしの問題になっている。

またストーリーの展開も小さなディテイルから大きなディテイルへとゲーム的に繰り返すだけに終始している。クライマックスは 「飛べない鳥」VS「飛行機にのるブタ」という戦いに設定されているはずだが、その長いクライマックスはディテイルの繰り返しでしかなく、本来は最も盛り上げるはずのラストにはもう飽きている。

ゲームというプレイヤーが能動的に関わる構造においてはディテイルを徐々に大きく膨らますことでクリアした際のカタルシスも大きくなるのだろうが、映画においては、大小の問題など些細なもので、ただの繰り返しでしかなく、飽きる。当たり前だけど、ゲームと映画の楽しみ方は全然違う。

ということで映画の序盤はなかなか楽しめたのに、終盤になると一気に退屈を覚えることになった。世界観や物語の締め方など、十分に楽しめる要素があっただけに、ゲーム的な要素に足を引っ張られたのが惜しい。

それでもゲーム『アングリーバード』のファンの方には、これまで語られることのなかった設定や個性が描かれていて、楽しめるのかもしれない。

『アングリーバード』:

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アングリーバード
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