映画『エンド・オブ・キングダム』レビュー(ネタバレあり)

ジェラルド・バトラーが最強シークレットサービスを演じる『エンド・オブ・キングダム』のレビューです。ホワイトハウス陥落の悪夢から2年、今度はロンドンがテロリストの標的に。各国首脳が暗殺されるなか米大統領とシークレットサービスの危険な脱出行がはじまる。破壊描写満載の絶品アクションに絶句せよ!

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『エンド・オブ・キングダム/London has Fallen』

全米公開2016年3月4日/日本公開2016年5月28日/アクション/99分

監督:ババク・ナジャフィ

脚本:クレイトン・ローゼンバーガー、カトリン・ベネディクト、チャド・ジョン、クリスチャン・ガジェスタ

出演:ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、アロン・アブトゥブール、アンジェラ・バセットほか


レビュー

前作『エンド・オブ・ホワイトハウス』で景気良くホワイトハウスを蜂の巣にしたミレニアム・フィルムズが、今度は舞台をロンドンい移し、『エクスペンダブルズ』などで培った経験を惜しげもなくつぎ込んだ『エンド・オブ・キングダム』がつまらないはずはない。

こういう作品の評価はまず最初に表明すべきで、はっきり言って最高だった。

ナイフ、ピストル、マシンガン、手榴弾、RPG、ミサイルなどありとあらゆる方法で、ビルが、家が、車が、ヘリが、人が、なんのためらいもなく破壊されていく。PTA役員なら抗議せずにはいられないような過激で容赦ない圧倒的な破壊描写だが、ある種のアクション映画にありがちな爽快感を伴った破壊描写とも異なり、現実と地続きの居心地の悪さを演出してくれているのが最高なのだ。

前作でホワイトハウスの危機に直面した、米大統領(アーロン・エッカート)とシークレットサービスのマイク(ジェラルド・バトラー)のコンビによる、何とも後味の悪い活躍の場は本作でロンドンに移される。

英国首相が不可解な死を遂げ、米大統領や西側の各国首脳がその葬儀に参列する最中、ロンドン市内で大規模な同時多発テロが発生。ドイツ、フランス、イタリア、日本といった西側首脳は次々と暗殺されるも、米大統領はマイクの決死の防護のため現場から脱出することに成功するも、戒厳令が布かれたロンドンのなかで二人はテロリストから追われることになる。

100名を超える手練のテロリストによってロンドンが次から次へと蹂躙されていくシークエンスは息を吐かせぬ迫力だった。前作のホワイトハウス周辺での出来事という制限は取っ払われ、テロリストの脅威が平面に広がってしまった際の圧迫感が見事に演出されている。

本作のアクションシークエンスは、『ジョン・ウィック』のギリギリな無双感と、『ボーン』シリーズのゲーム的な没入感と、『トゥモロー・ワールド』の息が出来ない市街戦の臨場感が、プロットごとにうまく切り分けられており、そして終盤に用意されている突入戦ではそれらが一挙一塊になって襲ってきてくれる。

そのころには物語の強引な展開や問題点などどうでもよくなっているだろう。アクション映画としては最高なのだ

この手の映画ではテロリストをどう描くかが物語への信頼度を左右させることになる。テロリストが惨劇を引き起こす動機に説得力を持たせつつも、そこに共感や同情の念を抱かせては純粋なアクション映画としての魅力を損ねてしまうことにもなる。何が善で、何が悪なのか、という問いかけは『バットマン vs スーパーマン』に任せておけばよくて、少なくとも金を払ってミレニアム・フィルムズ製作の映画を観に来る観客のほとんどは、後に引きずらない、それでいて上映中は他のことを忘れさせてくれる、圧倒的なアクションを期待しているのだ。

しかしテロが現実的な脅威となった現代では、旧来のアクション映画への要求をそのまま映像化することが極めて難しくなっているのも事実だろう。中東などでテロリストが生産され続ける理由とは、間違いなく西側諸国の外交失敗にも起因することはよっぽどのバカでもない限り否定できない。しかしテロリストの言い分なんても聞いていたらアクション映画は成り立たない。そのために奴らの動機を身勝手に描きつつも、説得力を持たせる必要がある。London has fallen1 Cropped

<ここから『エンド・オブ・キングダム』のネタバレが含まれます>

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本作に登場するテロリストの動機とは、アメリカの無人機による空爆で幸せの絶頂にいた最愛の妹を殺されたからというものだ。結婚式の最中にミサイルを撃ち込まれ、その主役だった妹は殺されてしまう。アメリカへの復讐の動機としてはしっかりしている。一方でその殺された妹の家族とは武器商人であり世界各地でテロを引き起こしている悪人でもある。そして死の商人として蓄えた巨万の富を背景にして、他に類を見ないほどに大規模な同時多発テロが、厳戒態勢中のロンドンで発生することになる。テロを起こす動機の説得力を持たせつつ、同情は一切寄せ付けないアクション映画の設定としては、現実味はないものの評価できる。

そうはいっても英国首脳の葬儀に参列した各国首脳があっという間に暗殺されていくのは強引すぎるし、何よりイギリスの無能っぷりが際立つ結果にもなる。現実的には世界で最も防犯カメラの整備が進んでいるロンドンで、テロリストが警官になりすましたり、街のど真ん中にテロリストの拠点を作るとか、かなり無理があるのも事実。特に前半部分は設定上の齟齬が気になるのだが、そういった状況を許すことになった理由も回収されるし、その回収の仕方も後味が悪くていい。

そして日本の首相をはじめ各国首脳が容赦なく殺されていながらも、アメリカ大統領のためならSASだって犠牲を惜しまず、救出された暁には手を叩いて喜びますというエンディングでさえも、それが現実世界の結論でもあるという皮肉になっている。結局はアメリカ様かよ、と悪態をついたところで実際にもそうなのだろう。

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本作最大の見所とは、終盤に用意されている大統領救出戦だと断言できる。テロリストの手に落ちた大統領は映像配信で生中継されるなか今まさに殺されようとする。それがテロリストの目的だった。アメリカ大統領を縛り付け、じわじわと嬲り殺していく一部始終を生中継して世界に配信する。これはISISなどが考えそうな復讐の方法だ。

今まさに大統領が蹂躙されようとするなか、ジェラルド・バトラーがSASを引き連れて敵のアジトに突入するのだが、ほとんどワンカット風に撮影されており、『トゥモロー・ワールド』風で、『ボーン』シリーズ風でもあり、『ジョン・ウィック』風なシーンがつるべ打ちされる。これだけでも見る価値があった。

前作『エンド・オブ・ホワイトハウス』は同時期に公開された類似する『ホワイトハウス・ダウン』に名前負けした感があり見逃したかたも多いと思うが、是非この機会に見直してもらいたい。前作を観ていなくてもその迫力が目減りすることはないが、アーロン・エッカート演じる大統領とジェラルド・バトラー演じるシークレットサイビスの関係性を知っておいて損はない。

本作は現代に可能な、エンターテイメントでありながらも誠実なアクション映画のお手本だと言える。

『エンド・オブ・キングダム』:

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エンド・オブ・キングダム
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