『X-ファイル 2016』第3話レビュー(ネタバレあり)「トカゲ男の憂鬱」

『X-ファイル』新シリーズ第3話のレビューです。第1話でエイリアン第2話ではサイキックが描かれた次に登場するのはモンスター。連続殺人鬼はトカゲのような怪物という不可思議な証言をもとに、モルダーとスカリーは驚愕の真実へと近づいていく。シリーズ屈指の名エピソードがここに誕生!

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『X-ファイル 2016』エピソード3「トカゲ男の憂鬱/Mulder and Scully Meet the Were-Monster」

全米放映2016年2月1日/日本放映2016年夏/オカルト/44分

監督:ダリン・モーガン

脚本:ダリン・モーガン

出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン、ミッチ・ピレッジ、


レビュー

第1話ではロズウェル事件を発端にエイリアンと人間の隠された関係が示唆され、第2話ではエイリアンと人間のDNAを受け継いだと思われる特殊能力を持った子供たちが描かれた。宇宙人、サイキックと続いて第3話で描かれるのはモンスターだ。

オレゴンの森の中、ドラッグをキメていた男女が茂みのなかから飛び出してきたモンスターに遭遇する。そこには今まさにモンスターに襲われていた男性と、すでに喉をかき切られ死んでいた 男性が横たわっていた。暗闇のなかでもそのモンスターの姿ははっきりと目撃されていた。鱗のようなもので全身が覆われ角のような物が頭から生えた、どこをどう見ても人間でも動物でもないモンスターだった。被害者はひとりだけでなく続々と増えていき、連続殺人事件となっていく。

そして現場に駆り出されたモルダーとスカリーだったが、モルダーの方はモンスターへの関心は高くなくやる気は出ないものの、現場で調査中に実際にそのモンスターに襲われたことで態度を改める。それはトカゲのような外見だが二足で走ったりする人型のモンスターで、その身体能力は人間をはるかに凌駕するものだった。

やがてモーテルの主人からの目撃証言などから一人の男が浮上する。

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<ここからエピソードのネタバレ部分>

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オープニング、狼男へと駆り立てそうな綺麗な満月を前にして登場するのは『大アマゾンの半魚人』を彷彿とさせるモンスター、というユニバーサル関連のネタからもわかるようにこの第3話は完全にコメディとなっている。前2話のシリアストーンから一気に逆方向に振れており、賛否は割れそうだが、クラシカルなモンスター描写を含めた全体のトーンは間違いなく『X-ファイル』の一つの魅力でもあり、それが今回の全6話のミニシリーズで再現されたことはオリジナルシリーズをテレビで見ていた世代にとっては特別なプレゼントのような一作と言える。

1話でのエイリアンと人間の関係、そして2話で示唆されたエイリアンと人間とのミックス、という流れから第3話にモンスターが登場するとなれば「モンスター=人間+エイリアン」という図式を想像しがちだろうが、さてどうだろうか。

本エピソードは一見するとシリーズ全体には影響のないコメディ・リリーフな一作にも思える。安っぽいトカゲ人間がそのままの姿で登場し、その正体もトカゲに変身する凶暴な連続殺人鬼ではなく、人間に変体してしまう善良なトカゲ人間という設定は外側だけを見ればただコメディだ。しかしエピソードの終わりになるとその思いは心地よく裏切られる。確かに物語レベルでは全体の謎の核心には近づかない一方で、視聴者や登場人物たちに想像を絶する状況さえも信じることで初めて生じる価値があることをストレートに訴えかけている。外見や常識に人を判断するなという聞き飽きた道徳のスローガンを、鮮やかに『X-ファイル』というジャンルのなかで許されるコメディとして描いて見せた。

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ネタバレした通り、本エピソードで描かれる殺人の犯人はモンスターではない。ここではその犯人を明かさないが、トカゲ男はあくまで善良な存在で、これまで人目に触れることなく平和に暮らしてきていた。つまり彼は人間ではなく、トカゲ男なのだ。しかしある人間の男に首筋を噛まれて以来、時々、外見が人間に変わってしまうようになった。これまで森の中で人知れず生きてきたトカゲ男は仕方なく町に出て人間らしく生活するも彼にとってそれは苦痛以外の何ものでもなかった。彼は人間になりたいだなんて思っていない。生まれてきたトカゲ男のままで暮らしていきたいだけだったが、たまたま殺人の現場に居合わせたせいで、その外見や人間でないというだけの理由でモルダーたちFBIに追われていたのだ。

言葉で説明するとバカバカしく聞こえそうだが、シリアスな展開を期待させておいて徹底したコメディを貫き通し、しかも物語として心地よい裏切りとクラシカルな新鮮さの両方を、たった40分そこらのドラマで表現してみせたということに感動さえ覚えた。全6話のミニシーズにとってちょうど折り返しとなる作品だが、この一作が見られただけでも大満足。

また過去シリーズから引用されるパンチラインも多数あり、映画版『Xファイル: 真実を求めて』の原題でもある『I Want to Believe』という言葉が深い意味にもなり、そしてジョークにもなっている。このエピソード放映後にはファンたちが一斉に劇中に散りばめられたネタ元の解説するなど大喜びとなったが、初見の視聴者にもわかりやすい内容だったと思う。

クラシックでありながらストーリーテリングの巧みさが光った素晴らしいエピソードだった。

『X-ファイル 2016』エピソード3「トカゲ男の憂鬱」: 激奨!!

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▶︎『X-ファイル 2016』全話レビュー

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『X-ファイル 2016』エピソード3
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