『X-ファイル 2016』第1話レビュー(ネタバレあり)「闘争 Part 1」

14年ぶりに帰ってきたシーズン10となる『X-ファイル 2016』のエピソード1「闘争 Part 1」のレビューです。全6話のミニシリーズで復活したモルダーとスカリーのコンビを襲う新たな陰謀とは?ロズウェル事件に隠された謎を描くファン必見のエピソードです。日本では2016年夏にデジタル配信DVD発売。

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『X-ファイル 2016』エピソード1「闘争 Part 1/My Struggle」

全米放映2016年1月24日/日本配信2016年夏/オカルト/44分

監督:クリス・カーター

出演: デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン、ミッチ・ピレッジ、 ジョエル・マクヘイル、ヒロ・カナガワ、ほか


レビュー

12年ぶりの復活となる『X-ファイル』のオープニングはモルダー(デヴィッド・ドゥカプニー)の気だるげなモノローグからはじまった。これまでの経緯を手早く復習をするように、彼がFBIの一員として関わってきた不可思議な事件、アメリカ政府が隠しているエイリアンに関する秘密、エイリアンに誘拐されたモルダーの妹、そして元同僚スカリー(ジリアン・アンダーソン)との関係などを語り始める。そして2002年にはFBIの方針転換により超常現象を扱うFBIの特別捜査チームは解体されていたことを告げると、画面上では大きなUFOが映画さながらの迫力で地面へと墜落する。

モルダーによるモノローグからUFOの墜落、そしてあの懐かしいテーマへと流れはどこか『スターウォーズ/フォースの覚醒』を彷彿とさせるような懐かしさにあふれていた。

そしてシーンは矢継ぎ早に1947年のニューメキシコの砂漠へと移る。見るからに特別エージェントといった面持ちの男らに連れられ一人の男が砂漠に降り立つと、そこには先ほど墜落した巨大UFOが野ざらしになっていた。エージェントに促されるままUFOに近づいた男は、そこで半壊したUFOから何かが這い出ていった跡を確認する。

そして場面は現代へ。解体されたFBIの特殊チーム「X-ファイル」の一員だったスカリーに元上司のウォルター・スキナー(ミッチ・ピレッジ)から連絡が届く。スキナーはスカリーに、モルダーと連絡を取るように依頼してきた。その理由はネットで陰謀論をばらまく保守的なキャスター、タッド・オマリーに会ってほしいというものだった。

こうしてモルダーとスカリーは再会する。医者として忙しい毎日を送るスカリーとは反対に、モルダーは部屋にひとり引きこもる冴えない中年男となっている。

タッド・オマリーは政府が国民に様々な秘密を隠したままでいることを批判する急先鋒で、エイリアンに関する陰謀を巡って「X-ファイル」に強い関心を持っていた。そして彼に導かれるまま、モルダーとスカリーは一人の女性と出会う。彼女はまだ少女だったころにモルダーの調査を受けたことがあり、これまで何度もエイリアンに誘拐されてはその子供を身ごもり、そして出産のまえに取り出されるということを繰り返し経験していた。彼女の記憶は断片的ながらもその腹部には複数の不可思議な手術痕が残っていた。

そして場面は再び1947年に移る。墜落したUFOから這い出るようにして草むらに倒れている手負いのエイリアンが発見される。エイリアンはまだ生きているがエージェントは「危険な存在だ」と言って銃弾を浴びせ殺してしまう。

ここまでザッと第1話の三分の一くらいとなっている。厳密には第1話の冒頭であると当時に、全6話の導入部分ということになる。第1話では現代に存在するエイリアンの痕跡を辿って、あのロズウェル事件の真相を描こうとしている。そしてシリーズ全体を見通すと、エイリアンの存在をひた隠しにする陰謀からやがては世界規模の巨大な陰謀へと繋がっていくのだろう。

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<ここからエピソードのネタバレ部分>

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「ロズウェル事件はカモフラージュだった」

という衝撃の告白が今後のシリーズの行方を要約している。これまでの『X-ファイル』とは政府から秘密裏に依頼される形でモルダーとスカリーが秘密捜査に着手する姿を描いていた。そこには政府さえも知らない「何か」があるという前提で、超常現象やエイリアン、時には幽霊や怪物までも捜査対象となっていたわけだが、このシリーズではそういった土台が全部ひっくり返される。つまりそんなことは全部政府はすでに知っており、それどころか全ては政府の陰謀だったのでは? という疑問の発端が描かれている。いや、政府さえも知らない政府をコントロールする存在というべきか。そしてアメリカが主導する形で進行する軍備拡張や管理社会その他の世界規模の諸問題、それら全てがロズウェルの陰謀へと繋がっていくことが示唆されるのだ。

ここで本シリーズに初登場するオマリーというキャラクターから探っていきたい。彼は政府(オバマ政権)に批判的な立場で、つまり保守的な論客と言える。ネット番組で独自のニュースを発信する人物で、一見すると陰謀論者のようにも思える。しかし少なくともこのエピソードでは彼は「こちら」側の人物、つまりモルダーやスカリーとともに陰謀を暴く側のキャラクターとして登場する。

もちろんこの設定には『X-ファイル』を放映するFOXグループの影響が強く反映されている。FOXグループとはアメリカの4大ネットワークの一つであるが、その政治思想は読売や産経が上品に思えるほどに右翼的である。そしてオバマ政権に対しては批判の急先鋒であり、アメリカのリベラルからは時に「陰謀論」とまで揶揄されるほどに特殊な論説を唱えたりする。

こういったうがった見方ができる一方で復活した『X-ファイル』の最初のエピソードは無難なスタートとなった。単純な1話完結型のオカルト話ではなく、このミニシリーズ全体がひとつの大きな話となっていることが示され、この第1話では謎が新たな謎を呼び、謎を解くカギが見えない敵に奪われていくことになる。そしてそれをきっかけにこれまで10年以上現場を離れていたモルダーとスカリーが再びチームとなるまでを描いている。

エピソードの後半には話が二転三転と急転を繰り返す。政府でさえも知り得ないような政府的組織の存在が示唆され、エイリアンに誘拐されたと思われていた症状はじつはエイリアンではない「人間」に誘拐されていたことが明らかになるも、しかし血液検査では彼女にはエイリアンのDNAは発見されなかったいう情報がもたらされ、全ては彼女の虚言だった方向に向いていく。

そしてオマリーらが秘密裏に開発していたエイリアンのテクノロジーから作り出されたUFOのような超高性能飛行物体は、謎の武装集団の襲撃によって研究者もろとも爆破されてしまう。

このようにして第1話は終わっていく。

Mulder Scully and Tad question Sveta The X Files miniseries My Struggle Review

初回エピソードの感想としては一般的には可もなく不可もなくということになるだろうが、ファンには嬉しい作品だったとも言える。

内容はこれまでの『X-ファイル』の延長線からはみ出ることはなく、12年という隔たりを考えるともう少し新鮮な驚きが欲しかったのも事実。また政治的な立ち位置が鮮明すぎるのも気になった。大々的な宣伝から全米では1600万人以上は視聴した第1話だが、その次に大幅に視聴者数を減らしたことは、おそらく新規のファンの獲得に失敗したこと挙げられるだろう。

それでも90年代のブームをリアルタイムで知る立場としてはかなり楽しめた。確かに時代錯誤なエイリアン描写や陰謀論などノスタルジーが発動しないと楽しめないのも理解できるし、特定の政治色が気になるのも事実だが、謎が謎を呼ぶ展開こそ『X-ファイル』の醍醐味だとするのなら、その王道をしっかりとトレースしたエピソードだと言える。また1話完結というフォーマットながらもその背後には共通する謎が蠢いているという構造も、古臭いが懐かしい。

最後には政府を裏で操る謎のシンジケートのメンバーでモルダーにとっては因縁の「スモーキング・マン」も登場し、UFOらしき物体が車を爆破してくれるし、やはり昔のファンにはたまらないのだ。

『X-ファイル 2016』第1話「闘争 Part 1」:

▶︎X-ファイル 2016 (字幕版) [AMAZON ビデオ]

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▶︎『X-ファイル 2016』第2話レビュー

▶︎『X-ファイル 2016』全話レビュー

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『X-ファイル 2016』第1話「闘争 Part 1」
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