映画『X-MEN: アポカリプス』レビュー(ネタバレページあり)

シリーズ最新作『X-MEN: アポカリプス』のレビューです。長い眠りから目覚めた人類最初にして最強のミュータント、アポカリプス。文明が誤った方向に発展したことを嘆き世界を混沌から作り直すために世界を破滅させようとするアポカリプスに対抗できるのは、ミスティークに率いられた若きX-MENだけだった。

X men apocalypse poster

『X-MEN: アポカリプス』

全米公開2016年5月27日/日本公開2016年8月11日/アメコミ/144分

監督:ブライアン・シンガー

脚本:サイモン・キンバーグ

出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、オスカー・アイザック、ニコラス・ホルト、ローズ・バーン、タイ・シェリダン、ソフィー・ターナー

レビュー

過去の『X-MEN』シリーズを振り返ってみると、ブライアン・シンガー監督は大事なところでいつも不在だった。2000年にはじまった『X-MEN』3部作の最後を飾った『X-MEN: ファイナル ディシジョン』では『スーパーマン リターンズ』を優先するために監督を降板し、前日譚となる新シリーズの幕開けとなった『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』でも『ジャックと天空の巨人』を優先させてマシュー・ヴォーンにメガホンを譲ることになる。

自分が始めたシリーズの終わりと、自分が始めたシリーズに繋がってく最初の作品という『X-MEN』シリーズ全体を通して重要な2作品でブライアン・シンガーはメガホンを取っていない。結果としては『X-MEN: ファイナル ディシジョン』はブレット・ラトナー監督の手でヒドい作品に仕上がってしまい、逆に『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ではマシュー・ヴォーンが見事な手際のよさで新キャラクターの紹介と「X-MEN」の裏テーマでもある差別との戦いを両立させてくれた。

前作『X-MEN: フューチャー&パスト』の成功とはマシュー・ヴォーンの遺産のおかげとも言える部分も多く、本作『X-MEN: アポカリプス』は監督ブライアン・シンガーの真価が問われる作品となるはずだ。

物語が前作から10年後の世界を舞台にしている。

人類の過剰な恐怖反応がもたらしたセンチネルの暴走を防いだミュータントたちの姿は世界中の人々に伝えられ、X-MENたちもそれぞれの生活に戻っていた。チャールズは恵まれし子らの学園を人間とミュータントいずれにも解放された教育機関へと成長させようと考え、そしてマグニートは身分を隠しポーランドで妻と娘と慎ましく暮らしていた。

一方エジプトでは太古の世界を支配した原初のミュータント、アポカリプスが目覚めようとしていた。

長い眠りから目覚めたアポカリプスは、堕落した1983年の世界に絶望し、再び世界に秩序を取り戻すべく、この世界のすべてを灰に戻すことを決意。そして自らの下部となるミュータント4人を選抜する。そのなかには未だにミュータントを過剰に恐れる人間によって妻子を殺され絶望と怒りの頂点にいたマグニートも含まれていた。

飛び抜けた力を持つアポカリプスはチャールズが持つ他人の精神と繋がることのできる能力を使って人類を根絶やしにする計画を開始する。

X men apocalypse oscar isaac image

引用:Collider

本作には大きく二つの意図があることは作品を見ればよくわかる。

一つはほとんど物語が定型化してしまっている『X-MEN』シリーズのマンネリを防ぐために新しくて魅力的なキャストを投入すること。もうひとつは前シリーズとの整合性を高め、今後公開予定の『ウルヴァリン』続編や『ガンビット』といった同じ世界観を引き注ぐ作品への繋がりを明確に示すこと。

この二つの意図を前提にして、どれだけ興味深い物語が語られるのかが本作の焦点だった。

本作でジェニファー・ローレンス演じるミスティークは最後となる。その代わりとして前シリーズで主要キャラクターだったジーンやサイクロップス、ストームが登場し、ナイトクローラーやクイックシルバーら若いX-MENたちの関係性を描くためにかなりの時間が使われている。

またジェームズ・マカヴォイ演じるプロフェッサーXが、パトリック・スチュワートが演じたプロフェッサーXになるための最後のピースである「頭髪問題」も描きつつ、シリーズ最強の敵アポカリプスに立ち向かうX-MENの団結が物語の核にもなっている。

そして若返ったキャラクターの新鮮さとエンドクレジット後のおまけ映像を見れば、『X-MEN』シリーズが新しい展開に向かおうとしていることもわかる。

こういった目的をそつなく達成したという意味では満足いく作品なのかもしれない。

それでも全体の印象としては軽い作品だった。比較しては本作に悪いかもしれないが『ファンタスティック・フォー』の失敗を彷彿させるようで、欲張って様々な要素を詰め込もうとした結果、物語が薄くなってしまっている。マシュー・ヴォーンが『ファースト・ジェネレーション』で残した要素の全てを、2000年にブライアン・シンガー自身が監督した『X-MEN』第1作に破綻なく繋ごうとするあまり、大切なストーリー部分がほとんど何もなくなってしまっている。

確かにサイクロップス誕生の経緯や、ストームの登場、ウルヴァリンの記憶問題、そしてジーンの覚醒とシリーズを繋ぐ要素に関しては過不足なく描かれるのでファンには嬉しいだろうが、それに時間を取られるあまり「シリーズ最強の敵」アポカリプスを軸とした物語の中心がスカスカになってしまっている。なんかよく分からない理由でアポカリプスが怒って世界を破滅させようとして、マグニートは相変わらず憂さ晴らしに躍起となるだけ。

そして「X-MEN=社会的マイノリティ」という図式で物語を読み込んでも、反体制派内の内ゲバ闘争を描いただけだった。今の感覚で言えば社会変革を目指す怒りの若者たちが60年代に暴力革命を狙った年老いた革命戦士にほだされるも、言ってることが過激すぎて途中から付いていけなくなるだけの話だった。とても小ぢんまりとしている。

革命派アポカリプスのメンバー探しと穏健派チャールズのメンバー探しが並列して描かれるところや、クイックシルバーの登場シーンなど見どころは各所に詰まっているのに、それらを繋げる物語自体の強度がヨレヨレだから、「退屈じゃないけど印象にも残らない」という感想で収まってしまう。

あとマグニートの怒りと絶望が世界の脅威と結びつくというアイデアは何度使いまわされれば気が済むのだろう? いつも怒っては、やり過ぎを反省して、帳尻を合わせようとするマグニートの姿はマイケル・ファスベンダーがその苦悩を熱演すればするほどに説得力を失っていく。

これは『X-MEN』シリーズに限ったことではなく三部作映画ではよくあることだが、本作も悪くはないけど『ファースト・ジェネレーション』や『フューチャー&パスト』と比べると面白みに欠ける結果となった。

『X-MEN: アポカリプス』:

『X-MEN: アポカリプス』のストーリー(ネタバレ)は次のページ

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X-MEN: アポカリプス
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