映画レビュー|『ザ・ガンマン』-出ました!ショーン・ペンの空回り

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これまでアカデミー主演男優賞に2度輝く名優ショーン・ペンが54歳にしてアクションに挑戦した『ザ・ガンマン/The Gunman』のレビューです。監督はリーアム・ニーソンの『96時間』のピエール・モレル。原作は1981年にアラン・ドロン主演で映画化された『最後の標的』と同じ『眠りなく狙撃者』で実質的にはリメイクとなる。共演はバビエル・バルデム、イドリス・エルバなど。

『ザ・ガンマン/The Gunman』

全米公開2015年3月20日/日本公開2016年2月6日/アメリカ・スペイン・フランス合作/115分

監督:ピエール・モレル

脚本:ドン・マクファーソン、ピート・トラヴィス、ショーン・ペン

原作:ジャン=パトリック・マンシェット著「眠りなき狙撃者」

出演:ショーン・ペン、バビエル・バルデム、イドリス・エルバ、マーク・リランス、ジャスミン・トリンカ他

あらすじ(ネタバレなし)

元特殊工作員でコング民主共和 国で炭鉱の警備を担当していたジム(ショーン・ペン)は裏の顔として暗殺を請け負っていた。そしてジムはコンゴで有力政治家を暗殺、国はさらなる混乱へと陥った。

それから8年後、ジムは再びコンゴにいた。NGOに所属し、現地の人々とともに復興の手助けをしていた。しかしその途中、何者かに襲われる。同僚の助けもあり難を逃れたジムだったが、自分が何者かに命を狙われていることを知る。

そしてロンドン、バルセロナと暗殺業時代の仲間たちに情報を求めていく。そしてバルセロナではフェリックス(バビエル・バルデム)が今や起業家として大成功しており、そしてその妻はコンゴ滞在時代にジムが付き合っていたアニー(ジャスミン・トリンカ)だった。

目に見えない敵に追われるジム。やがてアニーの身にも危険が及ぶことなる。そしてジムは見えない敵からの追跡をかわしながら、本当の敵の正体へと近づいていくのだった。

レビュー

物語が破綻しても真剣なショーン・ペンの空回りアクション:

「この映画にはリアリティがない」と批判すると決まって、「映画にリアリティなんていらねーよ」という買言葉をもらうことになる昨今、確かに映画に現実の事象をそのまま当てはめる必要はないにせよ、荒唐無稽な設定のせいで物語への集中力がプツプツと中断させられることがあるのもきっと事実だろう。

例えば本作『ザ・ガンマン』は後半の舞台をバルセロナに移してからのド派手なガンファイトが見所なのだが、その会場となるのが闘牛場だった。知らない人は別に何の気にもならないのだろうが、2012年の段階でスペインでは闘牛は禁止されている。でも本作ではマタドール対牛の真剣勝負がばっちり映されている。ちょっと混乱してしまう。ではこの物語は2012年以前のものなのだろうか。ああ、きっとそうなんだろう。でもそれにしては携帯電話とか最新のものだったような、気のせいかな、、、などと考えているうちにスクリーンへの没入感は徐々に薄くなる。そして本作にはこのようなクエッションマークがつくシーンが他にも登場する。なぜ君は彼がその場所に滞在していることを知っているのか、などなど、その度に本作への星評価は半分、また半分と減点されていく。

しかしそこはアカデミー賞を2度受賞し、ヨーロッパの有名映画祭でも審査員を務めるなど名実ともに名優とされるショーン・ペンが主演しているのだから圧倒的な演技力でねじ伏せてくれるのだろう、他にもバビエル・バルデムにイドリス・エルバも出演しているのだから、ちょっとした設定の行き違いなど、彼らの演技合戦を前にはちょうどいいハンデなのだ、、、、と思うのは明らかに早計だ。確かにショーン・ペンは名優であるし、その事実は『アイ・アム・サム』を観たところで否定されるものではない。しかし本作はこれまでショーン・ペンが縄張りにしてきたドラマ映画とは違ってアクション映画なのだ。名演なんてものはそれこそ牛の餌にでもすればいい。

監督は『96時間』でリーアム・ニーソンをアクション俳優へと誘ったピエール・モレル。話の内容もほとんど『96時間』と同じだが、本作には原作があって過去にはアラン・ドロン主演で映画化もされているため、なぜ敢えて自身の過去の代表作をトレースするような原作を持ち出してきたのか、真相があるのなら是非とも聞いてみたい。ショーン・ペンが54歳になってのアクション挑戦や、そのストーリーなど何かと『96時間』と比較されることは事前に予想していただろうが、本作には『96時間』にあったいい意味での過剰さが消え、前述したようなリアリティの欠如が前面に出てしまい、その点は「ヨーロッパ・コープ」作品ではなく、ジョエル・シルバーによるプロデュース作品の悪癖とも言えるかもしれない。

とにかく残念な映画だった。もちろんこれよりもずっとひどいアクション映画は多数存在するし、今年もたくさん作られている。しかし本作には一線級の俳優は勢ぞろいし、制作費も50億円と決して安いものではない。にも関わらず細部の粗が目立ち、結果、俳優の演技が一斉に空回りしている。そもそも俳優たちの人物設定にかなり無理があったのだろう。イドリス・エルバの役柄なんてちょっとしたコントにしか見えない。これを監督したピエール・モレルもダメだし、企画をOKしたジョエル・シルバーも「ちんかす」だ。そして何よりこんな映画に主演したショーン・ペンは何を考えているのか。これまで映画監督としても優れた作品を残してる彼なのだから、この結果は早くから予想できたはずだ。それでもショーン・ペンは劇中で「過去のトラウマが原因で記憶障害をもたらすような強烈な頭痛」に悩まされながらせっせとガンファイトに興じる。勝手にやってろ、となる。

作品の内容や質から言っても、わざわざ劇場で観る必要がある映画ではない。気だるい昼下がり、ソファーに寝っ転がりながら携帯でツイッターのタイムラインを追う片手間にテレビで流される分には、設定の奇妙さも気にならずに楽しめるのかもしれない。そしていつの間にか寝ているうちに映画が終わっていたとしても、また見直そうとは決して思わないだろう。

それでもジャスミン・トリンカの大事なところが見えそうで見えないなど、見所が皆無なわけでもない。ショーン・ペンのファンは彼の肉体美を観れるが、イドリス・エルバやバビエル・バルデムのファンは観ないほうがいいかもしれない。とにかく「アイ・アム・サム」以上に空回るショーン・ペンは、齢54になって一体何をやっているのか、色々と悩む年齢なのだろうかと心配したくなるのだった。

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ということでショーン・ペン主演の『ザ・ガンマン/The Gunman』のレビューでした。もう何も言いたいことはありません。恋人のシャーリーズ・セロン(別れたらしい)は『マッドマックス:怒りのデス・ロード』でアクション女優としても評価された一方で、ショーン・ペンは、、、、。以上。

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ザ・ガンマン
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