【映画】ロバート・ダウニー・Jr.主演『ジャッジ 裁かれる判事』レビュー ※ネタバレあり

ロバート・ダウニー・Jr主演の法廷ドラマ『ジャッジ 裁かれる判事』のレビューです。ロバート・ダウニーの父親を演じるのはアカデミー賞俳優のロバート ・デュバルで、監督は『シャンハイ・ナイト』のデヴィッド・ドブキン。派手さのない内容でも、俳優による素晴らしい演技さえあれば映画として十分成立することを証明する作品。2015年1月17日公開。

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■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

ハンク(ロバート・ダウニー・Jr)はシカゴで弁護士をしているものの、妻とは離婚協議中で一人娘の親権を巡って諍いが絶えない。ある日、ハンクが弁護士として出廷中に、兄のグレンからインディアナ州の実家に暮らす母親が亡くなったことを教えられる。

離婚協議中の家族を置いて一人で葬儀に向かったハンクだったが、地元の検事で父のジョセフ(ロバート・デュバル)とは疎遠な状態にあり、二人の関係はぎくしゃくしたままだった。ハンクは実家で精神に軽い障害を抱え映画製作に取り組んでいる弟のデイルとも再会する。

葬儀も終わり、ジョセフが車で買い物に出かけると、兄弟は近くのバーで酒を飲みに出かける。酒場では検事のジョセフのことを快く思わない不良に絡まれるも、ハンクは法律知識を駆使して連中を撃退する。

そして家に戻ったハンクは、翌朝、ガレージで 父が大切にしている車に傷が付いているのに気がつく。それを見たジョセフは、息子たちが車に傷をつけたと疑い、それがきっかけとなりハンクと口論に発展。ハンクは、もう二度と戻ってこないと吐き捨てて、怒りのままにシカゴへ向かおうとするも、飛行機のなかでデイルからの電話を受け、父ジョセフがひき逃げの容疑で警察から取り調べ中であることを知らされ、再び実家に戻ることになる。

そしてジョセフの車についていた血痕と被害者のDNAが一致したことでひき逃げの嫌疑がジョセフに向けられるのと同時に、被害者とジョセフとの関係から殺人の疑いもかけられる。

被害者の名は、ブラックウェル。過去にジョセフは判事として、少女殺害を試みたためにブラックウェルを30日間拘束するも、ジョセフ自身もその軽い判断を悔いていたが、結果その少女は殺害されてしまった。そして服役を終えたブラックウェルは出所したばかりということから、何も覚えていないというジョセフだったが、殺人の疑いで逮捕され裁判にかけられることに。

互いに素直になれず反目し合い、父ジョセフに複雑な思いを抱くハンクだったが、この事件を通じて父の本当の想いを知ることで、父の名誉回復のため弁護士として法廷で真実を明らかにする決意をする。

■レビュー■

本作は法廷ドラマのようなタッチであるが、被告人の有罪無罪を主題にした映画ではなく、ありふれた親子の物語である。気難しい父と、同様に気難しい息子。ちょっとした行き違いから疎遠になった二人が、一つの事件を通してお互いがぶつかり合いながらも本当の姿を見出していく過程を丁寧に描写している。とにかく主演のロバート・ダウニー・Jrと名優ロバート・デュバルの存在感だけで成立しているような作品だ。

特にロバート・デュバルの演技は素晴らしい。Fワードを連発し、昔ながらの強く確固たる”父親”として振る舞い続ける彼の姿は、今にも終わろうとする人間の最後の尊厳そのもので、初期の認知症という非常に難しい役柄も完璧に演じきっていた。そして気難しさという意味では同様のロバート・ダウニー・Jrが演じる役柄も、昔ながらの”父親”像とは対照的ながらも、DNA部分で両者が繋がっているような説得力を感じさせてくれる。

物語そのものは改編期に放送される二時間の特別ドラマのようなもので、いわゆる法廷ドラマにあるようなどんでん返しもなければ、衝撃的な秘密の暴露もない。特に前半部分はひたすら親子のいがみ合いを見せられるので、少し退屈に思えるかもしれないが、そこは主演がロバート・ダウニーということもあって、ちょっとした笑いで乗り切ることができる。主演の二人以外にも、検察官役にはビリー・ボブ・ソーントン、ハンクの元カノ役にはヴェラ・ファーミガなど豪華俳優陣を揃えれいることで、2時間20分という明らかに長すぎる上映時間でも飽きることなく鑑賞できる。

それでもやはり物語の柄の大きさが映画というよりはTVドラマに近く、スクリーンから目が離せないという種類の映画でもない。これだけの豪華俳優陣を揃えられるのなら、もっと違った物語もあったように思える。個人的には映画全体としてではなく、いくつかのシーンの方が印象強く感じる。特に長く疎遠な状態にあり孫娘も父に会わせていなかったロバート・ダウニーが浴槽で父の老いを実感するシーンでは、嘘をつけない古き良きアメリカの姿を懐かしむようで味わい深かった。

映画において演技ができる俳優がどれほど大事かを知るにはもってこいの映画だと思う。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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