【映画】『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』レビュー “安定のマーベル・クオリティ”

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 マーベルコミックス製作で『アヴェンジャーズ』の一員もであるアズガルドの王子、ソーの活躍を描く『マイティ・ソー』シリーズの最新作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のレビューです。安定のマーベル・クオリティー。個人的にはマーベルのシリーズものでは一番好きです。日本公開は2014年2月1日。

 ストーリー:遥か昔、オーディンの父であるボーは、エーサーと呼ばれる強力な武器で世界征服を企むダークエルフのマルキスとの激しい闘いのすえ、彼らを打ち破ったかに見えた。ボーはエーサーを破壊することが不可能だと判ると、それを誰も分からない場所へ隠すことにした。しかしマルキスとその部下は生き延びて宇宙に隅に逃げ込み復活のときを待っていた。
 一方、現代のアズガルドでは『アヴェンジャーズ』で描かれた地球襲撃の罪で捕らえられたソーの弟ロキを迷宮の監獄に閉じ込めていた。またソーは地球にジェーンを残して、友人の戦士であるホーガン(浅野忠信)の故郷で9つの世界を守るために戦っていた。地球への帰還を望んでいたソーだったが父のオーディンに認められなかったのだ。
 その頃地球ではジェーンと研究仲間が、ソーが地球に現れたのと同じ異常現象の発生を感知し、調査に向かう。そこでジェーンらが見つけたのは物理原則を無視する物体移動だった。そしてワームホールの存在を発見し、ジェーンはそこに吸い込まれてしまう。
 ちょうど同じとき、アズガルドの全宇宙を見通すヘイムダールが、地球にいるはずのジェーンが消えたことに気がつく。ソーが地球に向かうとジェーンも地上に現れるのだが、彼女を捕らえようとした警官らがジェーンに触れた瞬間、激しい爆発がジェーンの周りで発生する。尋常ではない出来事に、ソーはジェーンをアズガルドに連れて行き、その謎を解明しようと試みると、また同じような強力なエネルギーの拒絶反応がおこる。それを目の当たりにしたオーディンは、ジェーンが太古に隠された武器エーサーへと繋がる通路に迷い込み、それを自身のなかに取り込んだことに気がつく。
 ジェーンがアズガルドに匿われているその時、ダークエルフのマルキスがエーサー奪還のために強大な軍事力でアズガルドを襲撃し、激しい闘いのなか、ジェーンを守ろうとしたオーディンの妻でアズガルドの王妃が殺されてしまう。何とかその場は撃退するも、オーディンはジェーンをアズガルドに匿ったままにしようとする。しかしその決定に反対するソーはオーディンの命に背いて、ジェーンを連れ出すことを決意する。そのために集められた信頼できる仲間たち。ただ彼らだけでは十分ではなかった。最後の手段として、ソーは閉じ込めらている囚われの弟ロキを、ジェーンを守るため、9つの世界の平和のために、マルキスらとの闘いへと連れ出すのだった。

 レビュー:ここ数年のマーベル製作の映画のクオリティーの安定感と言ったら、ちょっと信じられないものがある。しかもアメリカンコミックスが全く行き渡っていないような地域でも大ヒットしていることは、映画としての完成度がコミック原作というある種のジャンルを完全に乗り越えたことの証左でもある。もはや一連の、特に『アイアンマン』以降のマーベルの世界観は、21世紀の現在に語られる最も大きな叙事詩といっても良さそうだ。
 本作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』も、ケネス・ブラナーという普通ではひねり出せない監督起用で驚かせた前作『マイティ・ソー』 から確実にパワーアップしている。前作は舞台の多くが地球であったが、本作の前半のほとんどはアズガルドや宇宙世界を舞台とするために、細部までしっかりと資本を投下した手抜きのない映像に圧倒される。こういう映画はどうせ見るなら映画館で見ないといけない。
 またコメディーとしても笑いどころは十分だ。マーベル作品に共通するコメディー要素だが、本作にはそれが今まで以上にたっぷりと配置されている。地球側の笑いはジェーンの相棒と『アヴェンジャーズ』でロキに取り込まれたエリック教授が担い、他は『アヴェンジャーズ』大成功の立役者と言っても過言ではないトリックスター・ロキによってもたらされる。本作でもロキの存在感は主役のソーを完全に喰っている。物語の推進力は彼だ。
 映画のスケールとそれを描くに十分な資本と経験。本作はそれらを兼ね備えている。ただし、これは他のマーベルのシリーズ作品にも言えることで、今後さらにその傾向は強くなるのは間違いないが、前作や『アヴェンジャーズ』をはじめとする他のマーベル作品に関する知識がない状態では、たぶん物語には入り込めないだろう。特にユーモア部分に顕著であり、あまりに初見者への配慮がない。また物語のマンネリ感も十分に回避できているとは思えない。ダークエルフやワームホール、人間と異星人との恋愛や葛藤、世界を闇で覆うほどの力を持つ物体などなど、ここ10年間のファンタジー映画で語り尽くされてきたものばかりだ。オリジナリティーという面では決して誉められない。
 ただ本作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』がすでに『アヴェンジャーズ』を鑑賞し、その世界観が気に入った人のみを対象にしている限り、十分に楽しめるものになっている。アクションシーンはあっさりとしつつも凝縮されているので女性にも見やすいと思う。あと、日本人としては前作に続き浅野忠信が出演しており気になるところだが、オープニングでは重要な役どころで出てくるが、それ以降は短いワンカットでしか出てこないので、過剰な期待は禁物です。

 *警告!これからネタバレします!警告!これよりしれっとネタバレしますので、鑑賞予定の方はまたいつか会いましょう!警告!繰り返します、ネタバレします!*

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 仲間の力を借りてアズガルドを脱出した、ソーとジェーンそしてロキの3人はダークエルフ・マルキスの母船がある場所へと向かう。そこで手錠を解かれたロキは、信頼を誓ったソーを裏切って彼をナイフで刺し、存在がばれて近づいてきたマルキスやその部下のまえでソーの腕を切り落とす。しかし実はこれこそが作戦であり、マルキスの手によってジェーンからエーサーが抜き取られるのを確認し反抗にでるソーたちだがエーサーは破壊できず、マルキスはそのまま立ち去っていく。残されたマルキスの部下との闘いに、ソーとロキは協力するも、ロキはソーを守るために身代わりとなり敵を破りながらも致命傷を負う。ロキはソーに抱かれながら父オーディンに彼の最後を伝えることを約束し、絶命する。
 その後、近くの洞窟を地球のロンドンと通じていた空間移動の入口を発見し、ロキとジェーンはロンドンへと移動する。そしてソーたちはマルキスがエーサーを、ここロンドンのグリニッジで使用して宇宙全体を闇に包もうとしていることを発見。巨大な宇宙戦艦でロンドンを破壊していくマルキスらに対して、ソーは空間移動でロンドンと異星を行ったり来たりしながら、とうとうマルキスを異星界に閉じ込めることに成功。ソーは9つの世界の平和を守ることと、ジェーンを守ることに成功する。
 すべてが終わり、アズガルドに戻ったソーは、ロキとの約束通り父オーディンに彼の最後を告げる。そしてオーディンよりアズガルドの王になることを勧められるも固辞し、ジェーンの待つ地球へと飛び立つ。ソーが去った後、そこにいたはずのオーディンの姿は消えていた。そこには死んだはずのロキが不気味な笑みを浮かべながら、王座に座っていたのだった。
 
 ということで、マーベルファンの方は勧められなくても見に行くでしょうが、それ以外の方でも十分に楽しめる映画です。個人的には他のマーベル作品に比べて、主人公ソーがほとんど悩まない、悩んだとしてもすぐに忘れる、だって神様なんだから、というスタンスがとても気に入っています。
 もうおなじみですが劇場が明るくなる最後まで立ち去らずに残りましょう。エンドロールシーンはメチャクチャカッコいいです。あと、マーベルシリーズでは唯一の皆勤賞のスタン・リー探しも忘れずに。
 それにしても最近はロンドンが破壊され過ぎです。ロンドンを舞台にするのは税金対策の一環なのでしょうが、これじゃあロンドンっ子が可哀想。まあ、映画ですから問題ないですよね。そんな訳で、おすすめです。

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