【映画】『アップルシード アルファ』レビュー ※ネタバレページあり

士郎正宗の人気SFマンガ『アップルシード』を原作としたフルCGアニメ『アップルシード アルファ』のレビューです。監督は過去にも映画化されたシリーズと同じ荒牧伸志が担当するも、本作は続編ではなくリブート作となり、これまでに描かれた物語の前日譚という位置付けになる。大きな世界の一部分を舞台にすることで、物語のテンションをキープすることに成功した作品。ファンならずとも楽しめる一作。日本公開は2015年1月17日。

Appleseed alpha 1280jpg a2a358 1280w

■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

22世紀、勝者なき大戦の後、世界の秩序は崩壊し、都市は廃墟と成り果てていた。

女兵士のデュナンと全身をほぼサイボーグ化したブリアレオスは、大戦後、傭兵として働いていた。そして街を支配するギャングの双角からの仕事で、二人はあるワクチンを運んでいた。無人の地下鉄に乗って移動中、二人は突然サイボーグの集団に襲われる。二人の連携プレーで謎のサイボーグ軍団を撃退するも、肝心のワクチンは使用不能になってしまった。

仕事にも失敗し、ブリアレオスは負傷までするなか、この仕事を最後に街を出ることを決心していたデュナンは、双角から最後の仕事を引き受けることで、ブリアレオスに治療を受けさせることにする。

サイボーグの治療に精通した双角の部下のマシューの工場にて、ブリアレオスは治療を受けることで何とか活動できるようになるも、それでも彼自身の潜在能力のすべてを活用することはできなくなっていた。

双角から引き受けた最後のミッションとは、郊外で生き残っている戦争時代の地雷式ドローンの殲滅だった。そこにドローンが機能しているせいで、交通できなくなっていたのだ。

ドローン殲滅のために策を練っていた二人だが、そこに何者かに追われる一台の車が突入してくる。ドローンはそれに反応し、攻撃を仕掛けるも、二人が作戦変更してその車を助けるためにドローンを殲滅させる。そして車に乗っていたのはオルソンと言う名のサイボーグとアイリスと名乗る少女だった。

デュナンとブリアレオスの二人は理想郷と言われる夢の都市オリュンポスを目指し、正体不明のオルソンとアイリス一行とともに行動を共にすることになる。

■レビュー■

漫画やゲームを原作とする映画化作品の悪い例を一言で言えば、「風呂敷広げすぎ」ということに限る。漫画にせよゲームにせよ、長い時間をかけてコツコツと作品の世界観を作り上げている過程があるのに対し、映画は2時間ほどですべてを語らないといけない。やっと物語の世界観を語り終わった頃には、もう幕が閉じでしまうという事態は往々にして考えられるし、世界観の説明と並行して物語を進めようとした結果、何の話なのかさっぱりわからないということもある。その代表例として『ファイナル・ファンタジー』がある。あれは160億円という破格の制作費をかけておきながら、興行的にも作品的にも大失敗したのは、結局は大きな世界の大きな物語を正面から描こうとした結果、何について語ろうとしているのかさっぱりわからなくなったためだった。

翻って本作『アップルシード アルファ』はそういった過去の失敗から多くのことを学んで製作されていた。

まず90分ほどの尺のなかで、主だった舞台を非常に限定したこと。シーンを頻繁に移動することなく、ひとつひとつのアクションシーンを丁寧に描くことで、その背後に横たわる物語の世界観を少しつづ明らかにする手法だった。『第5次世界大戦』や『理想都市オリュンポス』などのその世界の主要なファクターはあえて説明せずに背景として配置したことで、物語の緊張感は途切れることがなかった。もちろんその反動として、スケールは小さくなってしまうが、それでも一点集中としてラストに出てくるCG描写の壮大さで帳消しにしている。

また本作はこれまでのアップルシード映画の続編ではなく、新しく語り直すリブートということで、過去作を見ていない人にも楽しめるような作りになっているし、従来のファンにとっても、本作はこれまでに語られてきた物語の前日譚に相当するために様々な深読みができるようにもなっている。特に主人公のデュナンとブリアレオスの微妙な関係や、双角やマシューといったお馴染みのキャラクター、そしてエンドロールの最後にも物語の重要なキャクターが登場するなど、続編にも期待を持たせる内容となっていた。

過去2作の映画化作品に満足できなかった人でも本作は鑑賞してみる価値はあると思う。特に終盤の山場では『ナウシカ』の巨神兵を思い起こさせるような圧倒的なシーンが登場する。個人的にはこれを観れただけで、満足できた。

<スポンサーリンク>

※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

appleseed-alpha-1280jpg-a2a358_1280w.jpg

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です