『トランスポーター イグニション』
全米公開2015年9月4日/日本公開2015年10月24日/フランス・中国/96分/アクション映画
監督:カミーユ・デラマール
脚本:リュック・ベッソン、アダム・クーパー、ビル・コラージュ
出演:エド・スクライン、レイ・スティーヴンソンほか
あらすじ(ネタバレなし)
プロの運び屋フランク・マーティン(エド・スクレイン)のもとに、妖艶な美女アンナから依頼が入る。時間通りにフランクが到着すると、3人の美女が彼の愛車アウディS8に乗り込んだ。そして銃を突き付けられ、人質に取られ猛毒がまわり命の期限が 12 時間に迫った父親の映像を目にする。ルールを侵され怒るフランクだが、アンナたちはフランクの特殊部隊時代のライバルだったカラソフ率いる巨大売春カルテルに命を狙われていた。流儀や使命、命が脅かされている父の間で揺らぎながら、愛車を駆るフランク。そんな彼に、裏切りが待ち受ける……。
参照:movie.walkerplus.com/mv58608/
レビュー
運び屋も親父も悪役も美女もベッソンも、全員アホでした。:
ジェイソン・ステイサムが主役を演じた前3作から変わり、世界最強の運び屋に任命されたのは『ゲーム・オブ・スローン 』のエド・スクライン、そして相変わらずリュック・ベッソンが製作に就いてシリーズ4作目となる本作『トランスポーター イグニション』は後半はひたすらどうでもいい展開が続く、まったくどうしようもない映画だった。
人身売買というヨーロッパの地下問題を絡めて、シリーズの新展開を模索した『トランスポーター イグニション』だが4作目にもなると、もう運ぶものがない。これは今にはじまったことではないが、又してもよくわからない理由で金髪美女3人を運ばされて、ちょっとしたカーチェイスの後に、止めとけばいいのにホイホイと事件の匂いの方へと主人公自ら歩み寄っていく。そしてもう何を運んだとかはどうでもよくて、運び屋とはほとんど無関係の事件が、ぼさーと描かれる。
そして人身売買で儲ける地下組織の悪人たちもかわいそうなほどに頭が悪い。そして悪人がアホなのは仕方がないにせよ、そんな悪人の描き方が叫びたくなるほどにアホダサい。主要な悪役が3名ほど出てくるのだが、登場するなり過去の姿と現在の姿を重ねて紹介するという素人が作った結婚式ビデオみたいなクオリティーで、その昔リュック・ベッソンがフランス人という理由で「ハイ・センス!」とか言ってたアホ共は今どこで息しているのか探してみたくなるほどにダサいのだ。
もう粗をあげつらうことにする。
主人公のエド・スクラインの「喉声」がひどくて天龍源一郎を彷彿とさせてしまう。
基本的に「アウディ」の販売促進映画。
人身売買の描き方も雑ならば、その悲劇の結末についても何も考えていない。
ラストで導かれるように主人公たちが断崖絶壁にたどり着くとか松本清張か。
カーアクションが売り物の映画らしく確かによくできているのだが、それも前シリーズと同様のクオリティなため新作の意義が何もない。
そして最大の問題とは、物語は主人公らの同情や愛情といった感情によって展開されるのに、その結びつきがまったく描かれないから登場人物たちの心の動きがまったくわからない。なぜそのような決断に至ったのか、その理由が「ただ何となく気になる」程度のものにしか見えない。ヴィン・ディーゼルが激おこになって大暴れするのには家族を守るという大義があるが、本作にはそれがない。あったとしてもどうでもいい理由でしかない。こんな連中はさっさと捕まってよし。
別に賢い人間たちによる賢い映画が観たいわけではないけれども、このように適当に作られたと思われる作品は観るだけで本当に時間を無駄にしたような気になる。シリーズの熱烈なファンにはいいのだろうが、少なくとも前作を越えようとする意図を持たないシリーズ映画は論外で、まさに本作はその実例とも言える。
ただただよくわからない出来事が勝手にスクリーン上で起きているだけの頭の悪い映画だった。
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ということで『トランスポーター イグニション』のレビューでした。本作を観てはっきりと決意しましたが、もう「ヨーロッパ・コープ」はお腹いっぱいです。一年に2,3本ならいいですが、それ以上は厳しいことにやっと気がつきました。そんなわけで何も言うこともありませんが、日本公開時には主題歌や声優さんらの力で魅力が増していることを祈って、期待されている方にはおすすめです。それ以外の人はきっと2年後くらいにテレビ放送されるでしょうからその時でも全然遅くないです。それでも早いくらいです。以上。
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