【映画】近未来SFドラマ『マッド・ガンズ』レビュー ※ネタバレあり

ニコラス・ホルト、マイケル・シャノン、エル・ファイングら話題の俳優が出演する西部劇風近未来SF映画『マッド・ガンズ/Young Ones』のレビューです。水が貴重品となった近未来を舞台とした、一つの家族の物語。監督はグウィネス・パルトローの弟ジェイク・パルトロー。例年以上に多作だった2014年の世紀末的映画のなかでも異色の作品。日本公開は2015年3月28日に決定。

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■ストーリー、前半■ ※ネタバレなし

雨が降らなくなった世界で、人々は水を求め、争いをはじめることになった。

アーネスト(マイケル・シャノン)は水を求め都市部へ人々が流れている時代に逆らい、地元の水の掘削業者相手に交易をしながら、息子のジェローム(コディ・スミット=マクフィー)とメリー(エル・ファニング)とともに乾いた大地で細々と暮らしていた。そんなアーネストは荒野での生活のなか一人娘のメリーの素行には頭を悩ましていた。

ある日、息子のジェロームを連れ立って荒野で交易品を運んでいた時、騾馬が足を折ってしまうことになる。運搬する手立てを失ったアーネストは、オークションに出されていたロボットの運搬機を競り落とすことに成功する。しかしそのオークションにはメアリーの彼氏で地元の有力者の息子であるフレム(ニコラス・ホルト)も参加しており、彼から運搬機を貸してくれるように頼まれるが、アーネストはそれを拒否する。

しかし、程なくしてアーネストは自宅の車庫から運搬用ロボットが盗まれていることを知る。盗まれたロボットの捜索を開始したアーネストだったが、その途中で水の掘削業者から物資を盗んだ疑いをかけられることになる。何者かがアーネストのロボットを悪用し、彼らから物資を盗んでいたのだった。

乾いた大地のなか、アーネストは生き抜くためそして家族のために、ロボットを盗んだ犯人を探す旅にでる。

■レビュー■

ここ数年、隠れたブームと言ってもいいほどに「終末もの」映画が量産されている。その流れはSFというジャンルから飛び出し、より現実的な近未来世界を舞台にした作品にも波及し、このブログでも紹介したデイヴィッド・ミショッド監督作『ザ・ローバー/The Rover(日本未公開)』やコーマック・マッカーシー原作の『ザ・ロード』のように、終末の全体像は描かずにその一部の狭い世界だけで物語が完結する構造の作品も作られている。

本作もその流れの一翼であり、加えて、その終末的世界に開拓時代の西部を重ねている。ただしコーマック・マッカーシーの小説に見られるような、血と暴力による理不尽な終末世界としては描かれておらず、あくまで「憧れ」としての西部劇の世界に、終末とSF的ガジェットを持ち込んだ作りになっている。水が貴重品となった世界が舞台ながらもその理由は語られず、機械によって生命を維持している主人公家族の母親や、騾馬の代わりとなるのが運搬用ロボット(グーグルが開発に協力する4本足ロボットのビッグドッグにそっくり)など、その近未来描写から物語の舞台を推測させるようになっている。

色調を抑えた画や、チャプター分けした構成など、このジャンルの映画にあっては珍しく洒落た作りになっているが、同時に映画としてはそれだけの印象で、マイケル・シャノン、ニコラス・ホルト、エル・ファニングといった話題の俳優たちの魅力が活かされていない。『ジャイアント』や『 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のような、厳しい大地に隠された富をめぐる家族の物語というフォーマットを踏襲しているが、登場人物の関係描写も淡白で、ストーリーだけが勝手に進んでいき、気がつくと誰もが予想した終わりを迎えるという、何とも味気ない作品に仕上がってしまっている。

「終末+SF+西部劇」というアイデアだけが最初にあって、ストーリーの各部は後になって付け足していった印象が強く、その結果、最初にあったアイデアのどれかが欠けたとしても、映画として何も変わらないものになっていたように思える。

映像は美しく、話題の俳優たちも出演している映画であるが、それらだけではいい映画が作られないことがよく分かる映画だ。

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※次のページにストーリー後半のネタバレあり※

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