BEAGLE the movie

映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

日本の映画事情に絶望するあなたへ、「ムービーツーリズム」のススメ。

ムービーツーリズムに英語は必要か!?

ここからは「ムービーツーリズム」の実践法の紹介となります。

まず海外で映画を見る以上、当然アイドルによる日本語吹き替えもなければ、日本語字幕もありません。基本的にハリウッド映画は現地語の字幕というスタイルになります。「じゃあ、無理じゃん、英語できないし」という方もちょっと待ってください。確かに日本語字幕なしで映画を「完全」に理解することは容易ではないでしょう。私自身海外で映画をよく見ますが、訛りがひどかったり、聞いたこともないスラングやジョークらしきものなど、時々全く理解できないセンテンスが登場することもあります。しかし映画の理解とは決して細部の台詞によって決定されるものではありません。実際、日本語字幕も会話の一部しか訳していないわけで、実は会話以上にやはり視覚から多くの情報を得ているのです。特にアクション映画ではその傾向は強いでしょう。大事なのは「わかった気」になることです。日本人の英会話に足りない部分はそこです。どうしても気になる部分は後からネットを介して脚本でも拾って復習すればいいのです。結果的にはより深い作品理解へ導かれることもあります

これは何の根拠もない持論だけど、繰り返し字幕なしで映画を観ていたら、結構慣れます。本当に分かってきます。しかも字幕がない分、映像に強く注意が向くので、会話の内容を出演者の表情や演技から補完できます。そもそも英語話者のジェズチャーが大きいのは、文章のみでは伝わらない言語的欠陥部分を補うためとも言われており、大切なのは「今言った何が面白かったか」を理解するよりも、「なんか今面白いことを言ったな」を理解することです。我々は世界屈指の難関言語にも挙げられる日本語のネイティブなんです。英語なんぞ、おそるるに足らぬのです。

そういうことでムービーツーリズム最大の障壁だった言語問題はあっさりとクリアです。さあ、パスポートの有効期限を確認しましょう。

ムービーツーリズムでどこへ行く?

では映画鑑賞を目的に海外旅行する場合、理想的な行き先とはどこでしょうか。もちろん一番はアメリカでしょう。ロスやニューヨークにはたくさん映画館があり、大作映画以外にも選択肢が圧倒的に多いです。しかしアメリカは遠い。せっかく海外まできてハンバーガーも嫌だ。そこでオススメなのが日本から手軽にいけるアジア諸国です。英語通用度、治安、物価、観光、そして映画館の充実度から数カ国を比較してみましょう。全て私自身が行ったことがあって、映画を見たことがある国ばかりです。なお下の表に関してはあくまで個人的な見解です。

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これに日本からの行きやすさなどを加味した個人的な判断ではこうなります。

マレーシア(クアラルンプール)>シンガポール=韓国(ソウル)>タイ(バンコク)=香港

マレーシアは英語通用度が高く、IMAXシアターも充実してしかも低料金。そして日本からはエアアジアが低価格で運行しており、また文化的にも中国やインドそしてマレー文化が共存しており楽しめる。またチケット代は平日では500円以下でも観られることもあり、この安さは魅力的です。また作品の充実度も高く、大作映画でもアメリカよりも早く公開されるケースが多く、またハリウッドの中小規模作品やインド映画、そして近年注目を集めるマレーシア映画ももちろん鑑賞できます。非英語映画では英語字幕が付けられることもあり、マレーシアはムービーツーリズム先としては申し分ない環境と言えます。

他の国ももちろんオススメできます。シンガポールは映画のみを考えれば理想的な場所だが、ホテルは高い。しかしカジノがあるため映画を観に行ったついでに億万長者にもなれるかもしれない。韓国や香港やタイも候補としては十分な役割を果たしてくれる。特に韓国の行きやすさは魅力的だし、香港では食事やショッピングも楽しめる。タイは観光地としても見所十分。

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ご覧の通り、マレーシアとシンガポールは多くの大作映画で本国アメリカよりも早い公開日が設定されています。また大作映画以外のハリウッド作品やインド映画なども充実しており、その点では香港やタイよりも利用価値は高いです。

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COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 6 )
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  1. ムービーツーリズム……実践はしたことないですが、昔、「トランスフォーマー」の初実写化作品を香港で見たことがあって、その時、英語セリフ+中国語字幕の違和感の無さと、当時オープンして間もないシネコンの普通料金の座席の快適さ(靴を脱いで座面に立膝で見ても十分な広さ!!)に驚いたことがあります。
    それまでも日本公開のあまりの遅さに、いっそアメリカまで見に行ってしまおうか……と地団駄踏んだことはありました。
    その後、残念ながら海外で映画を見る機会は得られていませんが、今回の記事を拝見して、マレーシアは個人的に興味があることもあり、ちょっとその気になってきました(笑)。
    久しぶりの海外旅行、仕事やらなにんやらの都合で昔ほど気軽に行けなくなってるけど、頑張ってみようかなあ。

    • 中国語字幕なら確かに違和感なさそうですね。
      香港やマレーシアならLCCをうまく使えば、週末旅行も可能だと思います。
      あと値段も日本に比べるとやっぱり安いですしね。
      マレーシアは料理もおいしいんでオススメです。

  2. こんにちは。
    毎日このブログをのぞかせていただいてますが、とてもこの記事には共感させられました。

    最近興味があり、この「日本映画界の現状」ということをかなり深く調べているのですが、この記事にもあった通り、掘れば掘るほど絶望的な現状が出てきて、最早手の打ちようがないほど酷いのだなと強く感じています。
    私が疑問に思い始めたのは『きっと星のせいじゃない』がきっかけでしたが、それ以上に酷いものがたくさん出てきて本当に絶望しています。

    ムービーツーリング、面白そうですね。
    やったことはありませんが、字幕なしで見るのに慣れるということには私も同意します(どうしても予告は字幕なしで見ることが多くなってしまうので)。
    やっぱりアメリカがいいのかなと思っていましたが、案外アジアがいいんですね。
    チャンスがあればやってみようと思います。

    • shimahamaさん、コメントありがとうございます。
      こういう内容に共感をしていただくというのは、本当は悲しいことなんですけどね。
      結局は、宣伝費に収益のほとんどを持って行かれ、制作会社も配給会社も劇場もどこも儲からない仕組みが悪いことはわかるんですが、それは僕ら観客には全く関係のない話なんで、どうしようもない訳です。
      『きっと、星のせいじゃない。』も公開遅かったですし、同じ原作者の『ペーパータウン』もアメリカでは7月公開ですが日本はどうなるんでしょうか。
      ハリウッド映画を見るためならやっぱりアメリカが一番ですが、アジアも本国よりも早く公開されたりして観やすい環境にありますので、是非お試しください。

  3. ムービーツーリズム、素晴らしいアイディアで、記事の内容も共感できることが多くありました。
    自分は現在海外で暮らしているのですが、日本にいた時は公開が一回り遅かったところが、海外にいると素早く観れることに気づき、改めて日本が後進国なんだなと感じました。また、海外にいて一番の楽しみといえば、日本未公開作品、または日本でDVDスルーになってしまうような作品、例えばメリッサ マッカーシーの出演する映画などが巨大スクリーンで観れるのは、一種の贅沢を味わうような得した気分になれます。また、日本語字幕なしで見る効果というのは、字幕を目で追わなくてすむので、最高の気分で映画に没頭できます。また、英語もだんだんとわかるようになり、一石二鳥です。
    今の日本の映画業界を見て、疑問に思ったのが公開時期の遅さとは別に、あの新作DVDの宣伝にくる芸能人やアイドルの映画とはまったく関係のない話をするところ、映画を侮辱しているのではないかと思う時があります。また、ハリウッド大作のジャパンプレミアに同行している芸能人も、この映画の大ファンですなんて言いますが、本当に映画を理解してるの?と思うような節が多く見つかります。さらには日本のシネコンの上映作品をよく調べるのですが、確かに日本作品が多くなっているのが最近の特徴だなと思いました。海外映画の上映が少なくなっているのです。ましてや日本映画といえ、陳腐な恋愛映画や漫画原作の映画が上映されまくっているところを見ると、日本映画の将来がないように感じます。日本に帰国中に、シネコンで映画を見る機会があったのですが、多くの女性が関ジャニのエイトレンジャー2の立て看板に群がっていて、海外映画には見向きもしない場面を見て、日本人の特殊性から公開時期が遅れてしまうのか、などと考えてしまいます。
    最後に、今月はサンディエゴでコミコンが行われているので、話題作の情報を待ちながら映画を楽しんでいきたいと思います。

    • movieboyさん、コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り、単純に観たい映画が日本でみれないということに加え、そういう状況が続くと日本映画はどんどん地盤沈下していきそうで、嫌になります。
      映画ファンと一般の人々とがかなりかけ離れていて、コミコンのような盛り上がりが日本では全然一般にはなりませんよね。

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