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ベルナルド・ベルトルッチ監督、『ラストタンゴ・イン・パリ』のセックスシーンは合意のないレイプだったと認める

Lasttango

ベルナルド・ベルトルッチ監督、問題作『ラストタンゴ・イン・パリ』に登場するセックスシーンは女優マリア・シュナイダーとの間で事前の合意を結んでいなかったレイプだったことを認める

追記(2016年12月6日):ベルナルド・ベルトルッチ監督が本記事の内容を否定する声明を発表しています。記事末尾参照

衝撃的なニュースです。

1972年のベルナルド・ベルトルッチ監督作品で、マーロン・ブランドが主演する『ラストタンゴ・イン・パリ』はリアルなレイプシーンが登場することで物議を醸した作品として有名で、当時48歳だったマーロン・ブランドが、当時19歳だったマリア・シュナイダーとセックスする。

バターを使ってのアナルセックスなど、そこで描かれる内容の過激さからイタリアでは上映禁止措置まで取られた。

そして今回、2013年にベルナルド・ベルトルッチ監督をインタビューしたビデオが公開され、そこで衝撃の新事実が語られることになったとTHRなどが報じました。

注意:ここからレイプに関する描写、及び表現が登場します

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劇中で描かれるバターを使ってのアナル・セックスについて、ベルナルド・ベルトルッチ監督がその背景を語っています。

撮影現場でマーロン・ブランドと朝食をとっている時、そこにはバゲットとバターがあった。私たちは何も話さなかったが、お互いが思いついたことは理解した」と話した上で、「見方によっては、彼女(マリア・シュナイダー)にひどいことをしてしまったのだろう。なぜなら彼女には事前に何も伝えていなかったから」と、あのシーンが女優との間で合意を結ばずに撮影された、本当のレイプであったことを認めています。

そしてベルトルッチ監督は罪悪感を覚えたとしつつも、あのシーンに後悔はないとも語ります。

女優としてではなく、女の子としての反応を撮りたかった。彼女の屈辱をね。そのせいで彼女(マリア・シュナイダー)はマーロン・ブランドと私を嫌うようになった。なぜなら彼女にバターに関する詳細を伝えていなかったから。そのことで罪悪感を感じた。

(後悔はあるか?という質問に対し)

後悔はないが、罪悪感はある。しかし映画製作において、何かを得ようとした場合は完全なる自由でなければならない。私はマリアに屈辱や怒りを演じて欲しかったのではなく、屈辱や怒りを感じて欲しかったんだ。その結果、彼女は全人生を通して私を拒絶することになった

『ラストタンゴ・イン・パリ』に出演したマリア・シュナイダーは2011年に亡くなっています。そしてこの映画以降、彼女は「ポルノ女優」というレッテルを背負うことになり、うつ病を患ったりドラッグや自殺未遂など精神的問題に悩まされるようになりました。しかも本作への出演は彼女の父で俳優のダニエル・ジェランが主演のマーロン・ブランドと友人であったことから推薦されたものでした。

つまり19歳だったマリア・シュナイダーは父親の推薦で出演した映画で、監督の意図で父親の友人から、カメラの前でレイプされたのです

そしてマーロン・ブランドもこの映画に出演したことを悔やんでいたとされています。

『ラストタンゴ・イン・パリ』は中年男の悲哀を描くという意味では高く評価される作品ですが、今回のベルナルド・ベルトルッチ監督による告白は多くの波紋を呼びそうで、すでにハリウッドの俳優たちは激しい怒りを込めた反応を示しています。

『ゼロ・ダーク・サーティ』『オデッセイ』のジェシカ・チャステインは「この映画を愛するすべての人へ。あなたたちは48歳の男によって19歳の女の子がレイプされる映画を見ていたのよ。監督は意図して彼女に暴力を振るった。頭がおかしくなりそうよ」とツイートしています。

 

そしてキャプテン・アメリカことクリス・エヴァンズは「この映画を二度とこれまでのようには観られない。ベルトルッチ作品にしろブランド出演作にしろ同じだ。不愉快なんてものじゃない。怒りを感じる」、そしてアナ・ケンドリックへの返答という形で、「考えられない。奴らは刑務所に行くべきだ」と怒りを表明しています。


このシーンはマーロン・ブランドがバターを使って抵抗する彼女とセックスする際に、カトリックの祈りを発することからイタリアでは上映禁止になるなど非常に有名です。

今回明かされたその背景を知っても、これまで同様にこの映画を評価するべきなのか?

芸術の価値とは、ひとりの女性の人生よりも優先されるのか?

ベルナルド・ベルトルッチ監督は『ラストエンペラー』でアカデミー賞作品賞・監督賞を受賞するイタリアを代表する巨匠。

今後、さらに論争を呼ぶことになりそうです。

追記(2016年12月6日):現地イタリア月曜日にベルナルド・ベルトルッチ監督による声明が発表され、本記事で伝えた内容の誤りを指摘しています。

追記(2016年12月4日):この内容に対して疑問を投じる指摘が掲載されましたので、両論として記事にしました。下記リンクをチェックしてください。

 

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