突然のフィリップ・シーモア・ホフマンの訃報は、スーパーボウルの熱狂の後になって、その意味の大きさがじわりじわりと響いている。
2000年の映画『あの頃ペニー・レインと』の監督キャメロン・クロウが劇中で最も泣かせる【Uncool/クールじゃない】シーンの、そのフィリップ・シーモア・ホフマンの演技について語っている
私のオリジナルではこのレスター・バングス(フィリップ・シーモア・ホフマンが演じた伝説的なロック雑誌記者)の深夜の会話はもっと騒々しいものだった。闘いへ呼び込むようにね。それがフィリップが演じると少し違っていたんだ。それはともに岐路に立ち、傷つき、夜更かしする二人が共有する静かな真実の姿だったんだ。そのシーンは映画の核心になった。撮影中、フィリップは相手もなく話しかけていた。彼のヘッドフォンからはレスター本人の声だけが流れていたんだ(彼のウォークマンには貴重なレスター本人のインタビューが詰まっていた)。撮影が終わると、フィリップが魔法みたいな芸当を見せたことに気がついた。彼は、等身大の誰も出会ったことのないようなレスターの魂と哀れみを、セリフや言葉を飛び越えて見つけてきたんだ。その瞬間、このシーンは完璧なものになったんだ。スタッフも私も、この奇跡のようなシーンを最前列で経験できたことに感謝するよ。
そのシーンは映画の終盤に登場する。若き主人公は、憧れのバンドに同行取材するもうまく記事を書くことが出来ない。そんな夜、彼はフィリップ・シーモア・ホフマン演じるレスター・バングスに電話をかける。人生を期待するが故につまずいてしまう少年にレスターは優しく語りかける。本当に泣けるシーンです。
▼『あの頃ペニー・レインと』から【Uncool/クールじゃない】のシーン▼
Lester Bangs: Aw, man. You made friends with them. See, friendship is the booze they feed you. They want you to get drunk on feeling like you belong.
William: Well, it was fun.
Lester Bangs: They make you feel cool. And hey. I met you. You are not cool.
William: I know. Even when I thought I was, I knew I wasn’t.
Lester Bangs: That’s because we’re uncool. And while women will always be a problem for us, most of the great art in the world is about that very same problem. Good-looking people don’t have any spine. Their art never lasts. They get the girls, but we’re smarter.
William: I can really see that now.
Lester Bangs: Yeah, great art is about conflict and pain and guilt and longing and love disguised as sex, and sex disguised as love… and let’s face it, you got a big head start.
William: I’m glad you were home.
Lester Bangs: I’m always home. I’m uncool.
William: Me too!
Lester Bangs: You’re doing great.The only true currency in this bankrupt world is what we share with someone else when we’re uncool.
William: ,,,,,,
Lester Bangs: My advice to you. I know you think those guys are your friends. You wanna be a true friend to them? Be honest, and unmerciful.
電話に出てくれてよかったと言われて返す言葉が、「いつも家にいるんだ。クールじゃないもんでね」なんて本当に泣かせます。
男前でマッチョな主役を演じられる俳優は黙っていても続々と出てくるけど、こんな風に人間の寂しさと優しさを同時に演じられる役者はそうそう出てきません。本当に残念です。
参照記事:VULTURE
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▼『あの頃ペニー・レインと』▼
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