〜A級B級などというジャンル分けでは到底納得することのできない、意味不明な異次元映画のことを、人々は畏怖を込めてZ級映画と呼ぶ〜
今回ご紹介するのは誤表示ぼったくり映画の王道を行く『アルマゲドン・オブ・ザ・デッド』のレビューです。ストーリーも支離滅裂なら人物設定も意味不明、カメラワークも編集も高校生レベルと、なかなかZ級映画として見所のある映画でした。
ストーリー
以前に女性3人組ロックバンドで人気のあったミュージシャンのエミリーはバンド解散後はなかなかヒットに恵まれず不遇の時期を過ごしていた。そんな折りにマネージャーから強引にバンド再結成を指示される。音楽のことなど全く分かっていない他のメンバーとは馬が合わないものの、仕方なくエミリーは、他のメンバーのシンシアとシャロンとヨーロッパへツアーに出る。
ちょうど同じ頃、地球に隕石が落下。人類は叡智を結集し、核ミサイルと迎撃するとその隕石は粉々に破壊されることになった。危機を回避したと思っていいたが、無数の隕石の破片が地球に落下。その破片に触れた人間は皆、ゾンビになっていってしまうのだった。
イタリアでのツアー中だったエミリーら一行も、もれなくこの未曾有の危機に遭遇。ゾンビからの逃走の他にもバカなメンバーたちによる喧嘩騒ぎも重なり、とうとう堪忍袋の緒が切れたエミリーは単独行動することになる。1人になったエミリーはゾンビから逃げ、やがて古い教会に辿り着く。そこにはゾンビと変わってしまう前に自殺した神父と、彼が撮りためていたビデオカメラがあった。そのビデオには、ゾンビの正体とその倒し方が収められていた。
ビデオによれば、ゾンビは実は宇宙人で、巨大化する事例も報告されていた。隕石を粉々にしたせいで降り注いだ破片が地球外生命体そのもので、それらを倒すためには教会に古くから伝わる『神秘のメリケンサック』で隕石の心臓部をたたき壊すしかないという。
その後エミリーは途中でバンドメンバーで唯一の生き残りとなったシンシアと再開。二人は隕石の心臓部をめざし出発するのだった。
無数のゾンビを相手に神秘のメリケンサックを手にしたエミリーは地球を救うことが出来るのか?地球の命運は、1人の女性ロックンローラーに託された!!
Z級判定
タイトルから想像できるように、隕石の落下危機とゾンビ問題という一粒で二度の美味しさを狙った本作ですが、隕石とゾンビ以外にも、『教会秘伝のメリケンサック』には「インディージョーンズ」や「トゥームレイダー」などの要素や、主人公たちがツアー中ということでロードムービの要素も混ざった、一粒で色々と美味しくいしようと欲張った作品です。その結果、何の味もしなくなるという、Z級映画としての高い志を感じました。何ともZ級なシーンをいくつか紹介します。
・まず主人公が全然ロックンローラーに見えない。
・主人公が、登場する主要キャストのなかで一番パッとしない。
・ゾンビからの逃走シーンを真面目に観ていると映像がかなり揺れるので、酔う。
・少しだけあるお色気シーンが惜しい!あと一押し!!
・劇中に流れる音楽が大変にダサい。
・ゾンビの登場シーンは結構怖いが、予算が尽きたのかそれ以後はほとんど出てこない。
・教会の神父がなぜ宇宙人の秘密を知り得たのか、全く説明がない。
・なぜメリケンサックなのか、意味が分からない。
・劇中に何度か流れるミュージッククリップが絶望的に売れそうにない。
ということで、ひどいです。とにかく支離滅裂です。映画の終わりかたも意味深のように見せて実は空っぽという、姿勢としてはとても正しい作りでした。日本人は『アルマゲドン』が大好きですし、登場するゾンビは『貞子』に通じるところもありましたので、相性はいいのではないでしょうか。
なお、映画そのものは観るだけ時間の無駄です。ただしZ級映画としては見所もあるのは確か。
『アルマゲドン・オブ・ザ・デッド』はX級映画と判定します。(Zが満点)
▼『アルマゲドン・オブ・ザ・デッド』は時間の無駄になります▼
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