ハリウッド版『ゴジラ』が7月25日に公開されるのを記念に、これまでの東宝ゴジラシリーズ全28作を見直そうというマラソン企画第21弾は『ゴジラ VS スペースゴジラ』です。久しぶりに見直しましたが、最後まで見通すことがかなりキツかったです。
『ゴジラ VS スペースゴジラ』1994年製作
監督:山下賢章
特技監督:川北紘一
脚本:柏原寛司
出演:橋爪淳、小高恵美、斉藤洋介、中尾彬、柄本明ほか
音楽:服部隆之
・ストーリー
メカゴジラでもゴジラを葬り去ることができなかった国連G対策センターは、物理攻撃でのゴジラ打倒を目的として製作されるモゲラと、超能力を利用しゴジラを操ろうとする二つの計画を進行させていた。
そしてとうとう最新兵器モゲラが完成した頃、突如宇宙から謎の巨大生物が地球に接近して来る。ゴジラ打倒という本義から離れモゲラは宇宙へと飛び立ち接近する宇宙怪獣の撃退を試みると呆気なく敗退。同じ頃、ベビーが成長したリトルゴジラが暮らす島では、ゴジラをテレパシーで操ろうとする計画が実行されるも、こちらも失敗に終わる。
そしてとうとう地球に飛来した宇宙怪獣はゴジラの元に現れる。ゴジラそっくりの形をしたその宇宙怪獣スペースゴジラはゴジラを圧倒し、リトルゴジラを水晶体のなかに閉じ込めてしまう。またテレパシー作戦に失敗した一行は、夜中突如謎の集団に襲われ、超能力者の三枝が拉致されてしまう。この拉致事件にどうやら企業マフィアが関わっていると睨んだGフォース隊員の新城らは東京支社に忍び込む。銃撃戦の末に三枝の救出に成功するも、スペースゴジラは山形へと上陸していた。
スペースゴジラ撃退のために修理改修したモゲラが出撃。そしてゴジラも鹿児島に現れる。しかしゴジラ討伐に命をかけるモゲラの乗組員の結城は当初の予定から外れゴジラ襲撃に向かってしまうも、後輩乗組員に殴打され失神、スペースゴジラとの闘いに向かった。
そして福岡の市街地にて、スペースゴジラ、モゲラ、そしてゴジラの三つ巴戦がはじまる。
・感想
徹頭徹尾、ヒドい映画です。まずリトルゴジラの造形が全くダメ。目がクリクリしてかわいらしさを表現しようとか、そういうのいりません。せっかくスペースゴジラの造形や、後半にある特撮シーンやミニチュアの迫力も最初にあのリトルゴジラを見せられると萎えます。
そしてこの映画の最大の問題は、シーンの繋ぎ方があまりにも雑なこと。あまりに唐突に大きく物語が勝手に進行するものだから、途中から映画の内容すら意味不明になってしまう。特にスペースゴジラ誕生のいきさつを説明するシーンは、学研『ムー』の読者であっても首を捻らざるを得ないもの。G細胞がブラックホールに吸い込まれ、ホワイトホールから放出される過程で水晶を取り込み急速に進化した生物だということですが、もうちょっとマシな説明は考えられなかったのか。
そして白眉は、超能力者三枝が、自分が縛り付けられたベッドを中に浮かすシーン。そんなことできるなんて反則だろう。きっとこの映画を作った人たちは結末ありきでプロットとかどうでも良かったんだろうけど、どちらにせよ観客がゴジラ映画に求めるものを全く理解していない。しかも訳の分からない恋愛ドラマまで盛り込む始末。
ただしクライマックスの舞台となる九州での特撮シーンは悪くない。悪くないのはそのくらいで、モゲラはすぐに壊れるし、色々と発射される武器も違いがイマイチ分からない。柄本明が好演する分、余計に戸惑うのだ。
ということでこれは真面目に観れば怒りさえ覚えるような映画ですが、ここは優しい気持ちで随所に散りばめられたボケにツッコミを入れながら観ていくと案外楽しめます。ゴジラが本格的にB級映画になったことを実感した作品です。
[ad#ad-pc]
ゴジラが強くなりすぎてゴジラ以上の怪獣がつくれなくなっちゃったのよ。
スペースゴジラ、ビオランテ、メカゴジラって結局ゴジラ対ゴジラなにょね。
ふざけんな
この映画は俺が小さい頃からずっと好きだった映画の1つだ
あんたが良しと思わないことでも良しと思う人間だっているんだよ
こんな大っぴらに俺が大好きな映画を否定するな!