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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

2016年Box Office総括:スーパーヒーロー映画とアニメが上位を独占する一方でドラマ映画には冬の時代

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2016年全米で最も売れた映画、そして世界で最も売れた映画が決定!アメコミやアニメが最盛期を迎える中ドラマ映画はスクリーンから消えてしまうのか、、、

2017年の始まりは2016年の終わり、ということで2016年のBox Officeを簡単に総括してみたいと思います。

2016年の全米での映画チケット総売上は、過去最高となった2015年の111億3000万ドルを超える114億ドルとなって、記録を無事に更新しました。しかしこれは観客が増えたということよりも、チケット代の値上げが影響しての記録更新と言われており、IMAXや3Dが当たり前になることで、その分映画代も上昇しているようです。

ということで2016年最も売れた映画トップ10を見ていきましょう。

2016年全米映画興行トップ10

  1. ファインディング・ドリー 4億8626万ドル
  2. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 4億808万ドル
  3. ローグ・ワン・スター/ウォーズ・ストーリー 3億9355万ドル
  4. ペット 3億6838万ドル
  5. ジャングル・ブック 3億6400万ドル
  6. デッドプール 3億6307万ドル
  7. ズートピア 3億4127万ドル
  8. バットマン vs スーパーマン:ジャスティスの誕生 3億3036万ドル
  9. スーサイド・スクワッド 3億2510万ドル
  10. ドクター・ストレンジ 2億2970万ドル

10作品中6作品がディズニー作品という結果になり、10作品中5作品がアメコミ映画で、オリジナル作品では『ペット』だけということになりました。このランキングだけでも昨今の大作映画の傾向がはっきりと浮かび上がっています。

では世界ランキングです。

2016年世界映画興行トップ10

  1. シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 11億5330万ドル
  2. ファイディング・ドリー 10億2780万ドル
  3. ズートピア 10億2380万ドル
  4. ジャングル・ブック 9億6660万ドル
  5. ペット 8億7550万ドル
  6. バットマン vs スーパーマン:ジャスティスの誕生 8億7330万ドル
  7. デッドプール 7億8310万ドル
  8. ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 7億5020万ドル
  9. スーサイド・スクワッド 7億4560万ドル
  10. ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 7億610万ドル

『ローグ・ワン』はまだ現役バリバリで稼いでいる最中なので、作品ごとの結果を見れば順位は今後大きく変動することが予想されますが、ランクインしている作品は全米とほとんど変わりなく、トップ11の作品は全米と世界で同じになっています。

ということで2016年の映画興行は、全米では『ファインディング・ドリー』が、全世界では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』がトップとなりました。人気アニメの続編とアメコミ映画というトレンドは2017年にも引き継がれそうです。

一方で2016年の映画ランキングから「ドラマ映画」がほとんど駆逐される結果にもなりました。ほとんど唯一気を吐いたのがクリント・イーストウッド監督作『ハドソン川の奇跡』ですが、全米ランキングでは22位という結果になりました。2016年もオスカーレースに関わる評価の高い作品はもちろんありますが、それらが映画興行という側面ではほとんど存在感が発揮できなくなっています。そして全米トップ50の中で、原作や続編ではなく、ホラーやコメディでもないオリジナル作品ではベン・アフレック主演の『ザ・コンサルタント』だけになりました。

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IMAXや3Dの一般化による映画料金の値上げと、この傾向は実は同じ根の問題であるのかもしれません。賞レースでも存在感を見せる『最後の追跡』がNetfilxを通して自宅で観られるということは、ドラマ映画がスクリーンから消えてしまっていることも意味するのですね。

かつてスティーヴン・スピルバーグがアメコミ映画がスクリーンを独占することで映画料金が値上げされていき、やがては映画体験そのものが大きく変質してしまう恐れがあると警告していたことが、ほとんど現実になっている状況です。

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昨今のリメイク・リブートブームやアメコミ映画の隆盛などが一過性のトレンドなのか、それとも本当にドラマ作品は劇場で見る「映画」でなくなってしまうのか。

2017年の映画界の動向にも注目です。

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