2017年を代表する話題作の戦争映画『ダンケルク』のレーティングについて、監督のクリストファー・ノーランがPG13になった理由をABC NewsとのQ&Aの中で明かしてくれました。
『プライベート・ライアン』以降、戦争映画の描写には徹底したリアリティが求められるようになり、メル・ギブソン監督作『ハクソー・リッジ』では更にアップデートされる現状。そこから背を向けるように、なぜノーラン監督はPG13という「子供でも保護者同伴ならOK」というレーティングを受け入れ、「ゴア表現」という戦争映画のリアルを捨てることを決意したのか?
「僕の好きなブロックバスターは全部PG13なんだ。別に不自由を感じることもない。そもそも『ダンケルク』は戦争映画ではないんだ。これはサバイバルストーリーであり、何よりも極上のサスペンスなんだ。物語の強度を高めるために、他の戦争映画に描かれるような戦地での血しぶきなどの表現は、必ずしも必要ではない。僕らはこれまでにないアプローチを通して、違ったやり方で強度を求めることにした。個性の違ったメンバーが集まってこれまでにないことをすることが好きなんだ。」
ということでノーランも望んでPG13で勝負するようです。
PG13というのは本当に変なレーティングで、そもそもはスピルバーグがイケイケだった時代、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』がR指定になりかけてしまい「これはまずい」とアメリカの「映倫」にあたるMPAA(アメリカ映画協会)に「13歳以下の子どもは保護者の同伴が必要」とするPG13を新基準として急遽「作らせた」のが経緯。
だから『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』より以前の『ジョーズ』なんて血しぶきガンガンなのにPG指定(9歳以下の子どもは保護者の同伴が必要)だった。
それを考えるとノーランがPG13を希望するというのは、やはりスピルバーグを意識しているのでしょうか。
また成立の経緯はめちゃくちゃでもPG13というレーティングは「子供と大人が一緒に楽しむ」という視点が重要視されており、まさにノーランが『インターステラー』で挑戦したことですね。
『ダンケルク』は2017年7月21日全米公開、2017年9月に日本公開。
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