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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

【ゴジラ第14作】『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年)について

7月25日の公開に向けて盛り上がってきた新作『ゴジラ』を記念して、これまで作られた全28ゴジラ作品を、自発的に見直すという孤独なマラソン企画第14弾は『ゴジラ対メカゴジラ』です。停滞が続いていたゴジラ作品の原点回帰とも言える作品です。

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『ゴジラ対メカゴジラ』1974年製作

監督:福田純

特撮監督:中野昭慶

脚本:山根弘靖、福田純

原作:関沢新一、福島正実

出演者:大門正明、青山一也、田島令子、平田昭彦、小泉博

音楽:佐藤勝

・ストーリー

沖縄の洞窟で発見された不思議な壁画には怪獣にまつわる予言が描かれていた。そしてそこで発見された置物の正体を探るべく、敬介と考古学者の冴子は、東京の和倉博士(小泉博)をもとを訪ねる。一方で敬介の弟雅彦は、沖縄の玉泉洞で発見した謎の金属片を宮島博士のもとに運ぶと、それは宇宙の金属、スペース・チタニウムであることが判明する。

その頃、富士山の噴火とともにゴジラが出現。これまでとは違う金属質な鳴き声や、盟友関係であるアンギラスをも激しく攻撃するなど、これまでとは全く違う行動を取る。じつはそのゴジラとは地球侵略を目論むブラックホール第三惑星人が作った、全身が宇宙金属で作られたメカゴジラであり、アンギラスはそのことに気がつき本物のゴジラを呼ぼうとしていたのだった。そしてそこに本物のゴジラが到着。激しい闘いのなかメカゴジラの攻撃にゴジラは歯が立たずそのまま海に消えていくも、メカゴジラもコントロールマシンにトラブルが発生し、両者痛み分けとなった。

一方、置物の謎は沖縄の伝説の怪獣「キングシーサー」復活のアイテムだったことが判明し、敬介と冴子は宇宙人からの襲撃にもインターポールの南原の協力もあり、キングシーサー復活のために沖縄入りする。

またスペース・チタニウムの謎を追うために玉泉洞を探索する宮島博士一行は宇宙人に捕まり、娘の命のために博士はメカゴジラのスペースコントロールの修理を請け負うことになる。

宮原博士一行は敬介と南原によって救出されるも、再び敵の基地に潜入し破壊を試みる南原に雅彦と宮原博士も同行。敬介は安豆味城へ向かう。

宇宙人の先回りに遭遇したり、宮原博士らは再び捕まってしまい、とうとう再始動したメカゴジラ。そこに雷に撃たれる修行を経て帯電質になったゴジラが登場。キングシーサーを目覚めて、ゴジラ対メカゴジラの闘いがはじまった!

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・感想

ゴジラ映画20周年記念作にして、返還から2年経った沖縄が舞台の本作は、久々の本格派怪獣映画となった。まず慣例となっていた過去東宝作からの映像の使い回しはなく、全編オリジナルで通し、キャストも平田昭彦や小泉博といったベテランゴジラ俳優が脇を固めた。これだけで満足度が跳ね上がるほどゴジラ映画は劣化していたのだ。

そして怪獣に関してもメカゴジラという新機軸を打ち出したことは評価できる。しかもそれがメチャクチャ強いのだ、アンギラスの撃退風景はこれまでの怪獣リンチ映像とは一戦を画して、かなり痛々しい暴力描写となっている。

人間側のドラマは、スピーディーに展開し、途中で一行が分かれやりくっついたりするものだから、ちょっと分かり辛いが、こましゃくれたガキが登場しないだけよしとしよう。しかし途中の危機一髪シーンで都合良く登場する「インターポール」はあまりに唐突すぎる。早い段階で伏線を張っておくべきだった。インターポール南原までいいとしてもインターポール田村の登場はあまりに都合良すぎる。

キングシーサーに関しては散々引っ張る割りには大して強くないが、これはゴジラを活かすために仕方のない犠牲か。しかし長時間動くとすぐに眠たくなってしまうという設定は怪獣としては致命的だと思う。それよりアンギラスへの同情はここで頂点となる。あれだけ健気に地球のため、ゴジラのために頑張っておきながらあまりに酷い仕打ちだ。

沖縄の微妙な感情にも触れつつ、サスペンス風味のドラマ仕立てに仕上がっている本作は後期昭和ゴジラに代表作と言える。予算は十分でなかったため都市破壊描写は少ないが、その分を人間側のドラマでカバーしている。

是非観てもらいたいゴジラ映画の一つだ。

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 4 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. 通りすがりの者です。
    本作のもう一つの魅力である、佐藤勝氏の軽快なサウンドトラックについてもよろしければ言及ください。
    伊福部氏の重厚な土俗的反復リズムとは明らかに異なる佐藤氏独特の軽快なテンポは、「南海の大決闘」、「ゴジラの息子」を経てここに結実したと言っても過言ではありません。福田監督のアクション演出と相まって、いい味出しております。

    • trevalさん、コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り、佐藤勝の存在を抜きに本作は語れませんね。ゴジラと言えば伊福部にどうしても関心はいってしましますが、日本映画史という目で見れば佐藤勝の方が重要かもしれません。
      伊福部調の民族音楽風の反復もいいですが、佐藤勝には独特の高揚感と叙情がありますね。
      佐藤勝もまた初期のゴジラには書かせない人材でした。
      でもこうやってみると当時のゴジラには各界の最先端が関わっていたことがよくわかります。

  2. By タコさんウィンナー

    ゴジラがくりくりお目目でバカ面で。
    メカゴジラのほうが格好いい。しかも強い。2対1でもメカゴジラのほうが強い。
    音楽も良かった。

  3. こんばんは。また参りました。
    「対メカゴジラ」でのアンギラスの痛め付けられ方は語り草になるぐらい痛ましいですね。ゴロザウルスやバラゴンも巨大霊長類(笑)にドえらい目に遭わされ、メガロもゴジラにドえらい目に遭わされてますが(6回叩き付けられた)、アンギラスは優しく健気なイメージがあるせいか痛ましさも並では無いです。
    でも、ただ痛ましいだけなら救いが無いですが、彼は優しいからこそ強い。あの時は彼が偽ゴジラと戦ってくれたからこそ多くの人々が避難でき、傷つきながらも怪獣島のゴジラに伝えたからこそゴジラは日本の救援に向かう事ができたのだと思います。

    深い傷を負わされたアンギラスですが、ゴジラ生誕25周年記念の年に某テレビ雑誌に掲載された記事によりますと傷はすっかり完治したとの事です。このまま何事も無く、ゴジラ達と平和に暮らして欲しいです。

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