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『シチズンフォー スノーデンの暴露』監督のインタビュー「監視することで見えなくなる本当の危険」

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6月11日公開『シチズンフォー スノーデンの暴露』監督ローラ・ポイトラスのインタビューが公開!「監視すればするほどに見えなくなる本当の危険」

第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞作『シチズンフォー スノーデンの暴露』がついに2016年6月11日にシアター・イメージフォーラムほか全国にて公開となります。世界中を巻き込んだ大スキャンダルへと発展する米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデンによる米国政府による不法なスパイ行為の内部告発。その始まりと真相を、カメラとともに追いかけた緊迫のドキュメンタリー。

日本公開に先立って、本作の監督であるローラ・ポイトラス氏への現地インタビューが届きました。


ー日本の観客にとって、注意深く観るべきポイントがあれば、事前に教えて頂ければと思います。

ローラ・ポイトラス:本作はまさにNSAと監視の問題、そしてその危険性を描いた作品ではありますが、それ以上に、間違っているのではないかと気づき、そしてそれを発言しようとした人々が、どのように行動し、いかにして犠牲を払ったのかを描いています。スノーデンはなぜあのような行動に出たのか?そしてどのように行動したのか?私がそういうところに惹かれました。本作のテーマは、監視と9.11後のアメリカでしたが、私は個人というものにより興味を抱きました。スノーデンだけではなく、メインストリームからは外れた「監視役的報道」を行うジャーナリストのグレン・グリーンウォルドや、アメリカ国内における監視に警鐘を鳴らした元NSAのテクニカル・ディレクターのウィリアム・ビニーなどです。本作は、9.11後の施策に対し「それはモラル的にも法的にも間違っている、だから行動に出るのだ」と声を上げた人々のポートレートなのです。

ーなぜ映画の中で、ご自身の姿を映さなかったのでしょうか。

ローラ・ポイトラス:これまでに監督した作品に比べると、本作の方がより私自身が作品の一部になっていますね。過去作品では、順を追ってアプローチするという手法を取っていました。つまり、興味のあるおおまかなテーマがあって、そのあとにテーマに沿った主役となる人々を追う、という流れです。しかしこの映画では、物事が進むにつれて私もストーリーの一部になっていきました。だから冒頭で私の声を入れてみたり、私とエド、私とグレンといった会話も加えました。私が物語の外側にいたこれまでの作品とは違っていましたが、編集室に入ってみると、私が参加者であったからこそ、この映画は主観的な視点で語られるべきだということがはっきりしたのです。

ー本作を公開する上で、なにかしら圧力や嫌がらせなどはありましたか?

ローラ・ポイトラス:この映画を撮るにあたって、私がこれまでに監督した作品以上に恐怖というものを感じました。2004年に私はイラクの戦闘地域にいたので、それもかなりの恐怖でしたが、今回感じた恐怖はそれとは違ったタイプのものでした。それはひとえに、権力を持った人々が怒ったことを知った諜報機関が何をするかを知っていたからです。もしスノーデンの話が真実であるならば、権力を持った人々を敵にまわすことになるというのは明らかでした。グレン・グリーンウォルドのパートナーであるデヴィッド・ミランダがヒースロー空港で拘留された日は本当に恐怖でした。早朝、グレンから連絡があり、その日一日中私はオンラインにして何が起きているのか理解するのに必死でした。報道を止めようとしている人々がいることは一目瞭然でした。その圧力を払いのけるのは大変でしたね。

後で知ったけれど、アメリカは、実際に悪事を働いた人よりも悪事を暴こうとする人を追い回すのね。オバマ政権による負の遺産ですね。どれほどの内部通報者が諜報活動取締法の下に告発され、どれほどの圧力がジャーナリストにかけられたことか。にもかかわらず、実際に拷問やそれに近いことを行った人々に対する捜査は一切なされていないのです。これこそ問題だと私は思っています。

ーこの映画を見て、国家による監視の嫌悪感を感じる人もいる反面、ある程度の監視があったほうが安全なのではと思う人もいます。あなたが思う、理想の国家の立ち振る舞いとはどのようなものでしょうか?

ローラ・ポイトラス:監視すればするほど安全保障がなされるという間違った定義がなされていると思います。現実には、彼らが監視をすればするほど、本当の危険が見えなくなっています。彼らは何も疑わしくない人々の会話ですら回収しています。NSAのスローガンのひとつに「すべてを集める」とあるぐらいですから。ただでさえ膨大な情報の中から有益な情報を見つけようとしているのであれば、情報量を増やすことは逆効果で、余計難しくしているのです。

現実では、9.11以降のアメリカ政府は、国としての道徳的指針を見失っています。人々がなぜ拷問を受け、仕返しをされ、ブラック・サイト(注:アメリカ国外にある秘密軍事施設)へと送られるのか、その現実にアメリカ政府が耳を傾けてくれることを今でも待っています。アメリカは暗黒時代を迎えていて、それに対処しなければならないのです。監視もドローン攻撃もそのうちのひとつに過ぎません。こういったことに疑問を投げかけていかければならないと思っています。

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事件を扱ったドキュメンタリー映画のほとんど事後の検証が描かれるのに対し、本作は世界中を驚愕させた事件の一部始終をリアルタイムで映している作品であり、歴史的資料としての価値も非常に高い。しかもドキュメンタリー映画としても滅法に面白く、アカデミー賞を受賞したことも頷けるほどだ。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』は6月11日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。おすすめです。

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