【ゴジラ第五作】1964年『三大怪獣 地球最大の決戦』について

新作ハリウッド『ゴジラ』公開までにゴジラ全28作品を見直すマラソン企画第五弾は『三大怪獣 地球最大の決戦』です。

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『三大怪獣 地球最大の決戦』1964年公開

監督:本多猪四郎

特撮監督:円谷英二

脚本:関沢新一

出演:夏木陽介、星由里子、若林映子、小泉博、ザ・ピーナッツ、ほか

音楽:伊福部昭

・ストーリー ※ネタバレあり

一月になっても暑さが続く異常気象に見舞われた日本。そんな最中に流星群が地球に降り注ぎ、一つの巨大な隕石が黒部ダム付近に墜落する。墜落物体を研究する村井(小泉博)は、その墜落物体付近で異常な現象が起きていることを発見する。

一方、警視庁の刑事、進藤(夏八木陽介)は極秘に来日する運びとなっていたセルジナ公国のサルノ王女の護衛を秘密裏に担当するも、王女が乗った飛行機は飛行中に爆発を起こし墜落してしまった。

異常気象と隕石落下騒ぎに揺れる東京では、その後、金星人を名乗る女性が出現し、地球の終末を予告する姿が話題になるも、その姿に死んだと思われていたサルノ王女の面影を見た進藤は独自に調査を開始する。そして金星人を名乗る女性は、モスラの暮らすインファンタ島からやってきていた小美人の前にも現れる。

その後ホテルの一室に保護されていた金星人=サルノ王女は、突如として現れたゴジラの襲撃のなか、セルジナ公国からの暗殺者に狙われるも進藤や小美人の助けから救われることになる。そして金星人=サルノ王女は富士山麓の精神科医のもとにつれられ検査を受け、彼女からは何の異常も散見されず、実はサルノ王女は滅びた金星人の末裔であり、地球に迫る宇宙怪獣キングギドラの脅威を警告するために覚醒したものだと話す。

ゴジラの出現に合わせてラドンも飛来し、2体の巨大怪獣は激突する。

そしてとうとう黒部ダムの隕石物からキングギドラが出現。そのまま飛来し光線を撒き散らしながら日本を蹂躙していく。

ゴジラとラドン、そしてキングギドラの来襲に打つ手なしの日本政府はモスラに協力を依頼するが、モスラだけの力ではキングギドラに太刀打ち出来ず、唯一の手段は反目するゴジラとラドンを仲間に、地球の怪獣が結束することだけだと告げられる。

かくしてモスラによるゴジラとラドンへの説得が行われるも、人間を助ける道理はないと拒否されていまう。それでも必死に食い下がるモスラであったが、交渉は決裂。モスラはたった一体で地球存亡をかけてキングギドラに立ち向かうが、その男気(=蛾気?)に動かされたゴジラとラドンは、モスラとともに地球最大の敵、宇宙怪獣キングギドラに立ち向かうのだった!

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・感想

ゴジラ映画史上唯一の同年に二作品が製作された1964年。本作はこれまでのゴジラ映画とその後のゴジラ映画の方向性を考えるに、ひとつの分水嶺となった作品である。

まずゴジラが人間の側に立ったと言うこと。モスラほどの甲斐甲斐しさはないものの、結果的に人類を助けることになる。またエンディングでは故郷に帰るモスラの背中を、もの惜しげに見送る始末である。恐怖の大王たる暗黒怪獣としての役割はキングギドラに完全に譲っている。

そしてゴジラがコミカルになっている。キングギドラとの闘いでは股間を光線で焼かれ、マイッチング、お尻を光線で焼かれては再度マイッチングなゴジラ。この流れでゴジラはやがて『シェー』まで突き進んでしまう。孤独な人ほどテンションが上がると妙な言動に走る傾向にあることはよく知られているが、ゴジラもきっと堪え難い孤独を抱えており、ある日、ラドンやモスラ以外にも宇宙から怪獣がやってきて嬉しくなってしまったのだろうか。

加えてゴジラの攻撃の主体が熱光線や噛みつきといった過去の形態とは違い、石を投げる、石を蹴る、石を頭突き飛ばすと様変わりしたこと。ゴジラとラドンの闘いでは、ゴジラがセンタリング、ラドンがヘッド、と息のあったセットプレーを見せてくれる。本作ではゴジラの熱光線は一度だけで、キングギドラとの大一番では封印したままだ。

このような旧来のゴジラから子供向け娯楽に完全に舵を切った形となった本作では、もう放射能問題には全く言及されない。東京五輪の成功という光は戦後の闇を表舞台からかき消してしまった。ゴジラは日本の戦後史と共に歩いてきたことがよく分かる。何が何でも前進するため手段を選ばなかった日本経済は、ゴジラまでも推進力に変えていったのだろうか。

本作は怪獣映画に『ローマの休日』ばりの儚い恋心を描いていたりと、新しい挑戦を行っているが、一般的にはあまり評価は芳しくない。それはやはりゴジラが怖くなくなったことが理由だろう。

ただし本作の特撮は素晴らしい。キングギドラの出現シーンは、薄らと釣り糸が見えるも、それでも最高の見せ場となっているし、ギドラが飛び立つシーンでは、瓦の一枚一枚が吹き飛ばされているのも、CGのない時代にあっては恐ろしいまでの表現力だ。

怪獣が言葉を話すことも明らかになる本作。明らかにオリジナルゴジラの精神はここで損なわれている。しかしだからといってつまらない作品だと斬り捨てることは浅はかにも思える。ゴジラの方向転換を日本の戦後史とすり合わせてみれば、また違った見方も出来ると思う。

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1 個のコメント

  • 私は金星人

    若林あきこさんが魅力的でしたね。

    炎からキングギドラ出てくるところも良かった。後のキングギドラ出演シーンって全部使いまわししてるねん。

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