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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

【映画】1979年公開『マッドマックス』レビュー

30年ぶりとなるシリーズ最新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の公開を記念して、過去作をレビューしてみることにします。第1弾は1979年公開『マッドマックス』です。メル・ギブソンの出世作であり、またその後のカー/バイクアクション映画にも大きな影響を与えた記念碑的作品。飼いならされた本能がふつふつと煮えたぎるような一作です。

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マッドマックス

1979年公開作品/オーストラリア映画

監督:ジョージ・ミラー

脚本:ジョームズ・マッカウスランド、ジョージ・ミラー

出演:メル・ギブソン、ジョアン・サミュエル、ヒュー・キース・バーンなど

音楽:ブライアン・メイ(※クイーンじゃない)

ストーリー

秩序を失った近未来。

極悪非道な暴走族の一員である凶悪犯ナイトライダーは、警官を殺し、高性能パトカー「インターセプター」を奪って逃走していた。追跡する警官を蹴散らすナイトライダーだったが、暴走族を取り締まる特殊警察「M.F.P」に所属する凄腕の警官マックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)に追われていることを知ると、底知れぬ恐怖を感じ運転操作を誤ったことで爆発炎上し、絶命する。

しかしナイトライダーを殺したことで、マックスはトーカッター率いる暴走族から命を狙われることになる。そして暴走族はマックスの相棒のグースを急襲。彼を車に閉じ込めたまま火を放ち、焼死させるのだった。

友人の死にショックと恐怖を覚えたマックスは辞表を提出するも、優秀な彼を手放すことを渋った上司から出された休暇の案を受け入れ、妻と赤ん坊を連れて北へと出発する。

しかしその途中、トーカッターたちに遭遇してしまい、結果マックスの目の前で妻子は無残な姿に変り果てることとなる。

そしてバッジを外したマックスは復讐の鬼と化す。600馬力まで改造されたマックス仕様の「V8インターセプター」に乗ったマックスは、トーカッター一味との最後の危険な戦いに挑むのだった。

レビュー

1979年に公開された『マッドマックス』はメル・ギブソンというスターを生み出したことに加え、オーストラリア映画という底知れぬクレイジーさを世界に知らしめたという意味で記念碑的な作品である。撮影中に死人が出たという噂も十分な説得力を持つほどに、かなり危険なアクションシーンが映画の終盤のテンションを急上昇させる。なかでも映画の終盤に復讐の鬼となったマックスが暴走族を蹴散らすシーンでは、放り出されたバイカーの頭に転倒したバイクのタイヤがモロに当たっているのが肉眼でも確認できる。実際にはこのシーンでは大怪我に留まったということで死人は出ていないとジョージ・ミラー本人が語っているが、どちらせよ映画という常識を完全に逸脱している。

本作の魅力はストーリーにあるのではなく、カーアクションなのは間違いないが、そのカーアクションの魅力を引き出したということでも主人公のマックス・ロカタンスキーの存在は大きい。物語の途中でマックスが上司に向けて、「俺はバッジを取ったらあいつら暴走族と何も変わらない」と告げるシーンがある。極悪非道の暴走族と家族思いの警官が、たったひとつのバッジで隔てられているという現実感は、終盤の壮絶な復讐シーンへの布石となっているし、暴走族の悪態を懲らしめる映画でありながらもバイクでの疾走シーンが最高に爽快なものとして撮られていることにも繋がる。マックスは完全無比なヒーローではなく、復讐のために悪魔となることも厭わないダークヒーローなのだ。

またアクションシーンに関しては現代のCG技術がもたらす心地よい没入感とは反対に、メーターを振り切った速度がもたらす手が震えるような臨場感が素晴らしい。車載カメラの微妙な振動と、異常に早く過ぎ去っていく道路上の白線によってこれが本物の映像であることがよくわかる。そしてクラッシュの末に川に投げ出されるスタントや転倒シーンは今見ても感嘆してしまう。安全基準なんていう概念はそもそも存在していなかったのだろうし、あってもクソほどにしか思われていなかったのだろう。そこには「ただバイクをクラッシュさせました」という清々しいまでのクレイジーさがにじみ出ている。

こういった無茶苦茶な映画がオーストラリアで作られた背景は過去にテレビ番組『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』で紹介された『Not Quite Hollywood: The Wild, Untold Story of Ozploitation!/ノット・クワイト・ハリウッド』に詳しいが、この時期の無法なオーストラリア映画が世界中に広がったことは、50年代の黒沢映画が世界中に衝撃を与えたことと重なり、殊、カークラッシュのリアリティは『フレンチ・コネクション』のそれと比べても、その荒々しさでは決して負けていない。

たった35万ドルで作られた『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の大ヒットまでは「制作費と興行収入の差が最も大きい映画」としてギネスブックに登録されていた本作。ここにはまだ『北斗の拳』に通じるような破滅的世界観は描かれていないが、その予兆はしっかりと感じ取れる。

全てを終えて「V8インターセプター」が全力で加速していくラストシーンは必見。

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ということで1979年『マッドマックス』のレビューでした。漆黒の「V8インターセプター」の格好良さや、「カワサキZ」の特徴的なカウルなど未だにファンを虜にする作品ですね。またメル・ギブソンが放つ脆さを由来とする狂気は、ここからすでに確立されており、そして次作『マッドマックス2』で爆発し、その次の『サンダードーム』で変な方向に行ってしまいます。

30年ぶりに復活し、トム・ハーディがマックスを演じる『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の鑑賞前に是非とも見ておきたい一作。今見てもカーアクションは凄まじいです。

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