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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

マーティン・スコセッシ監督、映画『沈黙 -サイレンス-』に込めた想いを語る!

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構想から28年、監督マーティン・スコセッシが遠藤周作原作小説の映画化『沈黙 -サイレンス-』に込めた想いを語る! 「映画化そのものが巡礼の旅路」

戦後日本文学の最高峰とも称される遠藤周作の「沈黙」を映画化する『沈黙 -サイレンス-』の日本公開が2017年1月21日に迫る中、11月17日に74歳となったマーティン・スコセッシ監督。

監督が遠藤周作の原作小説に出会ったのは今を遡ること28年前。読んだ瞬間に映画化を決意するも、その深遠で複雑なテーマや権利をめぐる調整など、映画化には長い歳月が必要となった。

17世紀江戸初期、激しいキリシタン弾圧の中で棄教したとされる師の真実を確かめるため、日本にたどり着いた宣教師の目に映った想像を絶する日本を舞台に、人間にとって本当に大切なものとは何かを、壮大な映像で描いた歴史大作。

スコセッシ監督は幼少時には神父になることを夢見たほどにカトリシズムへの傾倒は深く、多くの監督作品にもその想いが反映されている。長く熱望した作品の完成が控える中、その想いを語ってくれました。

遠藤周作「沈黙」との出会い

初めて「沈黙」と出会ったのは1988年のことでした。当時、キリスト教をモチーフにした『最後の誘惑』を撮っている時だったのですが、宗教というのは私の人生を色濃く色づけてきたものです。私は、度々作品の中で裏社会を描いてきましたが、さらにいろんなテーマを深堀りしていかなければならない、言葉ではなんとも表現できない領域に到達しなければならないと感じていました。それは“信じることとは何なのか”というテーマです。 数年後から脚本の執筆が始まり、2006年にようやく執筆が終わりました。20年という歳月を経ていますのでその間、父になり、夫になり、そしてフィルムの修復、保存活動などを通じて、私自身もこの小説と共に成長を遂げたと思っています。そういう思いがあってやっと今回作るに至ったのです。

映画化への決意

以前、私はドキュメンタリー『ジョージ・ハリスン/リビング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』を作りました。『沈黙-サイレンス-』は、ある意味それと同じ物語なのです。ジョージ・ハリスンはわかっており、物欲だけでなく、もっと精神的なものを知り、その中に自分を捧げようとした。なぜなら現代社会は、このような考えに決して優しくありません。正しい考え方などわからないとも言わざるを得ません。だからこそ私は、考えることを放棄すべきではない、逆にもっと深く探求しなければならないと思うのです。だからこの映画を作ったのです。

映画化の過程は、巡礼の旅路

今回、映画を撮影していく中で、山中や海など、さまざまなロケ地を巡りました。これが一種のキリスト教への巡礼のような体験になりました。それでも、信じるということは今でも、劇中のロドリゴやフェレイラのように試練と感じる時もありますし、自然と享受できるものではない。自らが欲して勝ち取らなければならないものだと思います。人は日々考えたり、書いたり、映画を作ったりして、人間とは何なのか、人間とは良い存在か、悪しき存在なのかということを考えていますが、その過程が信ずるとは何なのかを探る過程なのだと思います。

異文化の衝突によって見えてくること

「沈黙」のストーリーが私の心をつかんでやまないのは、異文化の衝突を描いているからです。信ずるという信仰を心底分かるためにはありとあらゆる衝撃を通過しなければならないのです。そしてこの物語において、やはり異文化の中にキリスト教を持ち込むわけですから、少しずつ削っていかなければならないわけです。そして削っていく行為こそ、その神髄に至る過程なのだと思っています。こんな想いで作った私の最新作を、早く皆さんにご覧いただきたいと願っています。

Silence C Photo Credit Kerry Brown

Photo Credit Kerry Brown

ということで『沈黙 -サイレンス-』にはマーティン・スコセッシ監督の並々ならぬ想いが込められていることが伺えます。特に興味深いのは信仰と棄教の間で人間性の本質を問いかける「沈黙」に、ビートルズのジョージ・ハリスンを重ねているということですね。ジョン・レノンとポール・マッカートニーという才能に挟まれ、時に冷酷な仕打ちを受けても、優れた音楽を作り続けたジョージ・ハリスンのなかに人間性の尊い部分を見出すあたり、受難を特別視するスコセッシ監督らしいです。

74歳になっても未だ衰えぬ創作意欲を見せるマーティン・スコセッシ監督最新作『沈黙 -サイレンス-』は2017年1月21日に全国ロードショー

本作の前売券は11月19日より全国の公開劇場ほかにて発売開始。劇場窓口で購入した場合の特典として劇中写真がデザインされた<オリジナルしおり(4枚セット)>がプレゼント。数量限定ですのでお早めに。

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