BEAGLE the movie

映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

リドリー・スコット監督、『ブレードランナー2』のオープニングシーンについて語る。

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リドリー・スコット監督が、自身がプロデュースを務めライアン・ゴズリングとハリソン・フォードが共演する『ブレードランナー2』のオープニングシーンについて語りました。かなり詳細ですのでネタバレに敏感な方は注意してください。

『ブレードランナー2』のはじまりは、、、、『怒りの葡萄』

先日、ライアン・ゴズリング本人が暗に出演を認めた『ブレードランナー2』。すでに前作からハリソン・フォードの出演が公表されており、監督には『ボーダーライン』でアカデミー賞の期待もかかるドゥニ・ヴィルヌーブ、そして撮影監督にはロジャー・ディーキンスと、どこを切り取っても傑作の予感しかしない期待作。

この度、1982年のオリジナル『ブレードランナー』の監督で、続編には製作として参加するリドリー・スコットが早くも物語のオープニングについて語ってくれました。御大、口軽すぎです。

いつだって暗黒の世界に強い関心を持っている。そして物語のはじまりを、私が表現するところの「工場農地(ファクトリー・ファーム)」、つまり農作によって死んでしまった大地を舞台にすることにした。ワイオミングの真っ平らな大地、20マイル先までも見渡せ、フェンスもなく、ただ荒れ果てた、乾ききった泥の世界。

振り返ると、大きな木が見えるがそれも死んでいる。でもその木はワイヤーで固定されて、なんとか立っている。『怒りの葡萄※』みたいな世界だ。(※ジョン・スタインベック著で砂嵐<ダストボウル>により荒廃した1930年代のオクラホマが舞台)

埃だらけだが、まだ木は立っている。その木の側にはいかにも『怒りの葡萄』に出てきそうな白いコテージとポーチがある。そしてその背後2マイルの所で巨大な耕作機が、夕暮れの中、大地に刃を立て耕している。16ものクーリング灯(映画撮影にも使われる強化ライト)を前面に、その耕作機はコテージの4倍もの大きさを誇っている。そこにスピナー(『ブレードランナー』に登場する小型飛行機)が土煙を撒き散らしながら飛んで来るんだ。もちろん犬に吠えたてられながらね。

と訳しながら映像が浮かんできて鳥肌が立ってしまいます。リドリー爺さん、自分が監督しないからって好き放題し言いすぎだろう。でもまだ続きます。ネタバレに敏感な人はここで退避したほうがいいかもしれません。これがどこまで映像化されるのか疑問ではありますが、いきなり次からアイツが登場します。

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そしてデッカード、現る!

ドアが開け放たれており、そこに男が現れる。リック・デッカード(ハリソン・フォード)だ。彼はコテージに入り、ドアを開け、シチューの匂いを嗅ぎそこに座って、ある男の到着を待っている。男はデッカードを確認すると、耕作機をコテージ近くに止めて、三階建の耕作機からハシゴで降りてくる。大きな男だ。男はバルコニーに入り、ハリソン・フォード(デッカード)の所に行く。コテージが軋む音がする。男は350ポンド(150キロ強)もあるんだ。

そして、、、、、と、これ以上は言わないよ。映画を観てみることだね。

ということです。簡単に要約すると、環境破壊によって起きる砂嵐のために荒廃した大地に、スピナーに乗ってきたデッカードがやってきて、そこで150キロを超える男と出会うことから物語がはじまるということです。

ダストボウルの世界

ちなみに砂嵐<ダストボウル>とは1930年代にアメリカのグレートプレーンズを襲った砂嵐の総称で、これは天災ではなく過剰な農業開拓が原因となって起きた人災です。インタビュー内で言及されていたジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』はこの事態を背景に描かれており、近年ではクリストファー・ノーランの『インターステラー』でも同様の砂嵐が描かれていました。このダストボウルとはアメリカ人の深層心理に深く刻まれた教訓であり悪夢でもあって、環境破壊の行く末として度々引用されます。

前作『ブレードランナー』が荒廃した近未来風のロサンゼルスだったのに対し、続編ではワイオミングというド田舎から始まるようです。

環境破壊によって世界は荒廃しているという設定をあのロジャー・ディーキンスが撮影するというだけで、もう待ちきれないです。

早ければ2016年の夏から撮影が開始されると言われている『ブレードランナー2』。リドリー御大も長生きしてください。

参照www.theguardian.com/film/2015/nov/18/ridley-scott-opening-scene-blade-runner-sequel-harrison-ford-ryan-gosling

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