2015年度に本サイトでレビューを掲載した全108作のなかからトップテンを発表します。あくまで本サイト内での紹介作品に限りますので、日本未公開映画も含まれます。では、例年になく豊作となった2015年のトップテンはこれだ!そして番外作品もあります。
10位 ナイトクローラー
全米では2014年公開作品ですが、日本では8月に公開されたジェイク・ギレンホール主演のスリラー。金の名声、そして賞賛を得るために狂気へと突き進んでいく映像パパラッチの姿はシリアスであると同時にエンターテイメントのようでもあった。現代のトラヴィスとは彼以外にない。
9位 The Road Within/ロード・ウィズイン(日本未公開)
それぞれに精神の病を抱えた3人が車を盗み海を目指す青春ロードムービー。2015年に大活躍だったゾーイ・クラヴィッツが激やせして見せる大胆な演技にも注目。映画としてが粗も多い作品だが、青春を謳歌できない悲しみとその裏側にある美しさみたいなものにグッときた。
8位 クリード キャンプを継ぐ男
『ロッキー』シリーズの新たなる挑戦はマイケル・B・ジョーダンに託された。沢木耕太郎の『一瞬の夏』を彷彿とさせる「燃え尽きていない男たち」の物語。それぞれの戦いのなかで自分にだけは負けないという揺るぎない覚悟の重さには涙しかない。『スターウォーズ』との戦いに負けても、俺たちは絶対に忘れない作品。
7位 SPY/スパイ(日本公開未定)
ポール・フェイグ監督とメリッサ・マッカーシーというお馴染みのタッグにジェイソン・ステイサムとジュード・ロウが加わったスパイ映画。今年はスパイ映画の豊作と言われているが、これも絶対に外せない一作。世界を男に任せてもロクなことにならない、女だったらもっと上手くやれる。という男にとって恐ろしくもある内容ながら、途中からは男女関係なく爆笑の乱れ打ちに腹が痛くなるだろう。2015年ベストコメディはこれ。
6位 キングスマン
マシュー・ボーン監督による過激でクールなスパイ映画。ユーモアと毒とハイテンションを一緒のスパイ映画という鍋で煮込むと、まさかの『キングスマン』が出来上がった。最高のオープニングから一度も休むことなく盛り上がり続けて最後に到達するという恐ろしいスタミナを見せつけた一作。世界には『キングスマン』のラストで笑える人間と、笑えない人間の二種類しかいない。
[ad#ad-pc]
5位 SPL2/殺破狼II(日本未公開)
ムエタイとカンフーが出会った香港アクションの極北となる本作も素晴らしかった。ムエタイ代表のトニー・ジャーが香港のクンフーマスターたち出会い、拳を交え、そして共に戦う姿はまさに「男泣き」の一言。2005年のドニー・イェン主演の前作とは物語上のつながりはないが、血を求め血のために戦う姿はヴァージョンアップされている。生身の激しいアクションとドラマ性が溶け合った香港映画の底力を見せつけた作品。
4位 ボーダーライン
『ブレードランナー2』の監督にも抜擢された注目のドゥニ・ヴィルヌーブ監督作はアメリカの最前線から見たメキシコ麻薬戦争の姿が生々しく描かれていた。アメリカ国内で起きている『ゼロ・ダーク・サーティ』とも言うべき作品で、すでに国境そのものが戦争の最前線となっているアメリカの真実も描かれる。戦争に犯されるエミリー・ブラントの苦悩に注目。
3位 スターウォーズ/フォースの覚醒
もう本作を「映画」として正当に評価できる自信もないですが、2015年は『フォースの覚醒』で終わった、という感覚はきっと世界中で共有される経験となることでしょう。文句なしの一作であるも、J・J・エイブラムスらしい謎(マクガフィン)の後回しで、次の『エピソード8』で本当の評価がなされると思います。
2位 Ex Machina/エクス・マキナ(日本未公開)
最後まで悩みましたが、アレックス・ガーランドの長編デビューとなった『エクス・マキナ』を2位にしました。今年も様々作られた人工知能系映画のなかでも頭一つどころか三つくらいは突き抜けていた印象で、その衝撃度は他を寄せ付けません。人間が作った物に人間が超えられる瞬間の恐怖。そして未だに日本では公開されていないという絶望。この作品のおかげで2015年は大作だけじゃないと言い切ることができる。
1位 マッドマックス/怒りのデス・ロード
はい、ということで1位は『マッドマックス/怒りのデス・ロード』でした。やっぱりこれでした。個性がないと言われるかもしれませんが、これなくして2015年は語れないです。もうみなさんも何回も見てるだろうから説明なんてしませんが、とにかくマックスの地獄めぐりがまだまだ続くことを願い、ジョージ・ミラーの健康を祈ることにしましょう。
番外ベスト:『Born To Be Blue』
番外編ということでまだ全米でも一般公開されていないながらも映画祭で見た素晴らしかった作品としてイーサン・ホーク主演の『ボーン・トゥ・ビー・ブルー/Born To Be Blue』を挙げます。もしこれは公開作品だったとしたら、本作が『マッドマックス』ではなく僕のなかでは1位です。自分でもちょっと混乱するくらいにヤられました。ぜひ公開時にご覧ください。
ということで2015年に本サイトでレビューを掲載した全108作のなかから選らんだトップテンでした。僕が今年見た映画のトップテンということではなくサイトで紹介した映画のトップテンということですが、まあほとんど変わらないです。『ボーン・トゥ・ビー・ブルー/Born To Be Blue』はまだアメリカでも公開されていないためランキングには含みませんでしたが、ジャズファンは必見です。それでもやっぱり今年は『マッドマックス』と『スターウォーズ』の2作品と再び出会えたということに尽きます。これ以上一体何を望めると言うのでしょう。もう本当に幸福でした。
そしてこの記事が2015年の最後の投稿となります。来年もまたよろしくよ願いします。良いお年を。
コメント