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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

【映画】1954年製作『ゴジラ』について

今年で生誕60周年を迎えるゴジラ。この夏にはハリウッド版『ゴジラ』の公開も決定しており、東宝はYouTube公式チャンネル(東宝MOVIEチャンネル)でゴジラシリーズ28本の予告編を公開する。

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このブログで以前から「ゴジラ!ゴジラ!!」と1人で騒いでいますが、上記のような過去作の予告編公開や、神保町シアターでは全ゴジラ28作の回顧上映が行われるなど、過去作品を振り返ってみるいい機会かと思っています。

知っているようで知らない〈ゴジラ〉。実は私も昭和・平成ゴジラシリーズは全て見ているものの、ミレニアムシリーズに関しては見ていないものもあります。そういうことで今回から全ゴジラ28作品の紹介をコツコツしていきたいと思います。

Godzilla 1954 poster 03

『ゴジラ』1954年製作

監督:本多猪四郎
特撮監督:円谷英二
出演:宝田明、河内桃子、平田昭彦
音楽:伊福部昭

・ストーリー  ※ネタバレします(キリッ)!

1954年に行われた太平洋での水爆実験後、その付近を航海してい日本の貨物船が原因不明の沈没事故を起こす。さらに救助に向かった船も次々と行方不明となるなか、奇跡的に救助された乗組員は巨大な生物に襲われたと証言する。太平洋を臨む大戸島の言い伝えにある伝説の怪物『呉爾羅/ゴジラ』ではないかと噂される。

そしてある雨の夜、大戸島に謎の巨大怪物が上陸、家を壊し、ヘリコプターを踏みつぶすなど甚大な被害が発生する。原因究明のために政府より派遣された古生物学者・山根博士は娘の恵美子(河内桃子)や娘の婚約者で南海サルベージ所属の緒方秀人(宝田明)とともに島の調査中に、山の向こうから姿を表した巨大怪物と遭遇する。

東京に戻った山根博士らは怪物を〈ゴジラ〉と命名し、その足跡に多量の放射能が確認されたことから、〈ゴジラ〉は水爆実験の影響で海底の住処を追われ地上に出現したものと推測する。〈ゴジラ〉を貴重な研究対象と考える山根博士の想いとは裏腹に政府はフリゲート艦による攻撃を開始するも、〈ゴジラ〉にダメージを負わせることは出来なかった。

新たな手段で〈ゴジラ〉抹殺を考えるも山根博士は水爆にもモノともしなかった〈ゴジラ〉を抹消することは不可能だと主張する。そんなかある新聞記者が外国人の研究者の噂として、山根博士の弟子で、戦争で片目を失ったために恵美子との婚約を破棄した後は独自の研究を続ける芹沢博士(平田昭彦)がゴジラ対策に有効な手段を知っていると聞きつける。芹沢は自分の研究内容を誰にも明かさなかったが、唯一恵美子にだけは他言は無用と念押しして、その実験を見せた。

そしてとうとうゴジラは東京湾に出現。そのまま上陸し放射能の息を撒き散らしながら、東京は焦土と化す。自衛隊の攻撃も全く効果なく、東京を壊滅状態したあと、ゴジラはまた海へと帰っていった。

怪我をした東京の人々や放射能の影響を受けてしまった児童たち。その姿を見た恵美子は、芹沢との約束を破り、芹沢が研究している水中酸素破壊剤「オキシジェン・デストロイヤー」の存在を緒方に打ち明ける。それは水中の酸素を破壊し、水中のあらゆる生命を溶解させる恐ろしいものだった。

それを聞いた緒方は恵美子ととも芹沢のもとへ向かい、「オキシジェン・デストロイヤー」の使用を求めるも、それは水爆にも匹敵する恐ろしい兵器ともなる危険な存在だとして芹沢は使用を頑として拒否する。それでも引き下がらない二人の熱意と、テレビで映されていた放射能に苦しむ子供たちの姿に、芹沢もとうとう折れ、自分の手による使用に限り一度だけの使用することを許可した。

そしてガイガーカウンターによって〈ゴジラ〉が潜っている場所を発見。そこに芹沢と緒方は潜っていく。〈ゴジラ〉を発見しあとは「オキシジェン・デストロイヤー」を使用するだけとなった時点で緒方は海上に戻り、1人になった芹沢は海中で「オキシジェン・デストロイヤー」を作動させる。苦しみもだえる〈ゴジラ〉は一度は海上に姿を現すもそのまま死んで海中に沈んでいく。そして芹沢もまたこの恐ろしい兵器が二度と開発されないために命綱を自分で切り、ゴジラとともに海の藻くずとなっていくのだった。

歓喜する人々を背にしながら、山根博士は呟く。「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」と。

・感想

やっぱりオリジナルゴジラは素晴らしいです。ちなみに2014年版新作『ゴジラ』で渡辺謙が演じる役どころの名前は「Serizawa Daisuke」、つまりオリジナルでは〈怪獣ハンター〉平田昭彦氏が演じた芹沢博士と同じ名前となっています。また緒方を演じた宝田明氏もカメオ出演することが決まっており、新作『ゴジラ』には随所にオリジナルへの敬意が示されていて嬉しいです。

そしてこのオリジナルゴジラには怪獣娯楽映画としては異例とも思えるような強いメッセージが含まれています。それはもちろん〈反核〉というものです。ゴジラをただの悦楽的な破壊者とは描いておらず、古生物学者・山根博士の視点から水爆の被害者としてのゴジラが語られます。そして最後にゴジラが海中に沈んでいく時も、主要キャストはだれも喜んではいません。ゴジラとは決して人類の敵ではなく人類が産み落とした存在として描かれています。このラストシーンは本当に素晴らしいです。

そして本作は歴代ゴジラ作品のなかでも唯一、人類の手によってゴジラが殺される姿を描いた作品です。

また映画序盤の「筏だ、イカダだ、いかだだ」のシーンは何回見ても舌を噛まないかヒヤヒヤします。

新作『ゴジラ』公開までに是非とも見ておきたい一作です。60年前の古い映画ですが、今だからこそ考えさせられる内容にもなっています。60年前から我々は何も変わっていない=何も学んでいない、ことを実感できます。

なお、神保町シアターにて3月8日から全「ゴジラ」28作が順次公開されます。

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これを機にゴジラを振り返ってみましょう。

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▼1954年、オリジナル「ゴジラ」▼

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. By タコさんウィンナー

    渡辺謙の役名は芹沢猪四郎ですよ。
    芹沢博士と本多猪四郎を組み合わせたんやろな。

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