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【映画】セス・ローゲン主演『ネイバーズ/Neighbors』レビュー

セス・ローゲン主演の最新コメディ映画『Bad Neighbors/バッド・ネイバーズ』のレビューです。全米で大ヒットの、とにかく最高の爆笑コメディです。日本公開は現時点(2014年5月)で未定。

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・ストーリー

マック(セス・ローゲン)とケリー(ローズ・バーン)の夫婦は娘が生まれたばかり。そのせいで夜遊びとは無縁の生活となる。

ある日、マックの家の隣に大勢の若者たちが引っ越してきた。彼らは大学のフラタニティ(クラブ)で、夜な夜な常識はずれのパーティーを開催する悪名高い「デルタ・プサイ」と呼ばれる集団だった。マックとケリーは騒音のせいで眠れず抗議に出かけるも逆に取り込まれパーティーに参加し、一緒に馬鹿騒ぎしてしまう。そこでクラブの代表のテディ(ザック・エフロン)とピート(デイヴ・フランコ)に、今後騒音問題があっても警察には連絡しないよう約束させられる。

しかし後日、また騒音に悩まされたマックとケリーはテディに電話するも繋がらずとうとう警察に通報してしまう。それがテディらにバレてしまい、そこから一気に険悪な関係になり、やがては嫌がらせをうけるようになる。

家の庭にゴミや使用済みコンドームなどを撒き散らされたマックとケリーはとうとう反撃に出て、彼らの家の配水管を壊し部屋のなかを水浸しにするも、彼らのは自らのアソコを型にしたおもちゃを売り出し、修繕費用を稼いでしまう。

愛する娘と家族の平穏のために戦うマックとケリー、そして学生最後の時間に伝説を作ろうとするテディたち。彼らの闘いはやがて常軌を逸した過酷なものとなる。

 ・レビュー

全米で公開されるや『スパイダーマン2』を引きづり降ろして大ヒットした本作。幾重にも張り巡らされた笑いどころの連続に、途中から本気で腹が痛くなった。いい奴も迷惑な奴も、この映画に出ているだけでなぜか好きになってしまうような映画だった。

郊外化が進んだアメリカでは、得体の知れない隣人の存在はコメディだけでなくサスペンスでもよく題材とされる、いわゆる“使いやすい”設定のひとつ。そしてアメリカの大学特有の友愛団体の「フラタニティ」も『アニマル・ハウス』などコメディではおなじみの題材。設定だけ観ればこの映画にはフレッシュさはないのだが、そこはセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグという大ヒットコンビの仕事、しっかりと笑わせてくれる。

この映画に序盤はコメディでありながら現実的な隣人トラブル描いており、なかなか怖いものがある。ある日、突如、道徳や常識が通用しない若者の集団が隣に越してきたらどうなるのか。この若者の集団を得体の知れない宗教団体と置き換えてもいい。これまでの平穏な時間が寝食され、憤怒にかられた結果、大切な家庭までが壊れていく。決してあり得ない設定ではない。

本作では被害者がマックとケリーの夫婦で、加害者がテディが代表となっているフラタニティ「デルタ・プサイ」ということなのだが、両者を単純な善悪関係としても描いていない。特に学生生活の終わりを間近にしたテディの存在は、途轍もなく迷惑な奴であることは間違いないのだが、どこか憎めない。彼は目前に迫った圧倒的な社会という常識に対して、学生という立場を利用し反抗を試みている。それは『アニマル・ハウス』でいうところのジョン・ベルーシとほとんど変わらないのだ。数年前ならセス・ローゲン本人がやっていたような役柄のはずが、ここでは反転している。

こういった微妙にシリアスな状況が最初に提示されているから、後半に用意されているバカの連続が余計に映える。そしてだからこそコメディ映画らしい最良のエンディングも用意できる。

そして笑いのネタもよく出来ている。セス・ローゲンの映画ということでマリファナと下ネタはしっかりと用意されており、また終盤のマックとテディの決闘シーンとエアバック関連のギャグは最高に笑える。あとデイヴ・フランコのデニーロ真似も似ている。

これぞコメディ映画という本作。このサイト上で何度もこぼしてきたが、この手の映画が日本で劇場公開されないのは悲劇としか言いようがない。あれだけ『テッド』が大ヒットしたのに、未だに状況が変わらないというのはなぜなのか本当に理解に苦しむ。コメディ映画こそ劇場で観たいのに。とにかくオススメ映画なのです。

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