同名レースゲームから着想したレーシング映画『ニード・フォー・スピード』のレビューです。ドリームワークス版の『ワイルド・スピード』とも言える作品ですが、これがなかなか面白かったです。「男とは、結局は、アホである」という事実を真面目に格好良く描き切ることを目的とする場合、本作はしっかりとした映画です。日本公開は2014年6月7日。
・ストーリー
トビー・マーシャルは優秀なレーサーであり同様に優秀なメカニックでもある、車のことを知り尽くした男。ある日、彼のもとに過去に因縁のあるディーノからレアなマスタングが持ち込まれ、それを最高の車にチューンアップすることを求められる。金が必要だったトビーはその仕事を引き受け、ディーノの要求以上の車に仕上げる。そしてその車は3億円弱で売れ、その報酬の25%を受け取るはずだったが、後日ディーノとその報酬を巡ってのカーレースを持ちかけられる。トビーが勝てば75%の報酬を得て、負ければ25%分を手放すというもの。このレースを引き受けたトビーは、弟分のピートとともに3台の車でレースを行う。レース終盤リードしたトビーだったが、前に付けていたピートの車にディーノが衝突し、ピートは命を落とす。そして現場から立ち去ったディーノは罪に問われず、トビーは刑務所に送られた。
そして2年後。ピートの仇を討つため、トビーはイギリス人女性ジュリアの手に渡っていたマスタングを借り受け、そして仲間たちの力を借りて、ディーノも参加する、勝者が全ての賞金を獲得する違法なレースに参加することを決意するのだった。
・レビュー
観る前はかなり懐疑的だった。どうせただの『ワイルド・スピード』のフォロワー作品だろうと。キャストを見ても、ヴィン・ディーゼル1人で抹殺可能なくらいのアクの薄いメンツばかり。ポール・ウォーカーが亡くなって余計に強くなったドミニク(ヴィン・ディーゼル)一家の絆の前では、あまりに分が悪いと思った。
しかしこれが面白かった。もちろん面白いと言っても、名作と傑作とかそういう面白さではない。カースタントが派手で、複数台の車が炎上し、ヘリコプターが飛び回り、時々ドキッとするひねりもあって、カワイイ女優が出ていて、男は皆アホな映画という意味で面白いのだ。
まずこの映画を見て思うのは、ストリートレースというものは本当に迷惑な行為であると言うことだ。勝手に私有地でレースするならいいが、一般道で大金賭けてレースするものだから、全速力で逆走したり、一般車がひっくり返ったり、パトカーが炎上しても「ドンマイ」で片付けてしまうのだ。しかもその結果、年若の仲間が死んでいるのだ。もうストリートレースなんて止めようと思うのが人情だろうが、それでは映画にならない。もう一度レースをやるのだ。しかも出所してすぐに。
この映画を語るうえでやはり『ワイルド・スピード』との比較は避けては通れない。ざっくりと言えば似たような映画だし、『ワイルド・スピード』が好きな人ならきっと楽しめるが、『ワイルド・スピード』が全くつまらない人にはきっと全く楽しめない作品だ。しかしもちろん違いもある。まず本作は『ワイルド・スピード』よりもエグザイル感が薄い。これはまだ1作目ということもあるだろうが、シリーズを追うごとにいつの間にか仲間が増えていく『ワイルド・スピード』とは違い本作は“幼馴染みでやっています”感が強い。あとヴィン・ディーゼル、そして近作で加わったロック様と比べると筋肉量も控えめで、その代わりイケメン感が増した。これは女性ファンを意識してだろうが、あまり効果はないと思う。
またアクションに関しては、『ワイルド・スピード』のような根性アクションではなく、より知的かつ技術的に高度なことをしている。特に軍用ヘリがカーアクションに割って入るシーンは、これはないだろうとかなり笑える。
そして大事なことだが、本作のヒロイン役で登場するイモージェン・プーツはカワイイ。しかも終盤には衝撃のシーンがあり、「なんかこれ見たことある、デジャブ」と思っていたら、酔いつぶれたあっちゃんを抱える佐藤健がそこにいた。これは一見の価値だと思う。
まあ、期待せずに観る分には十分に楽しめる映画だと思います。夏の暑さを吹く飛ばしたい方にはオススメです。
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