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映画ジャーナル<ビーグル・ザ・ムービー>

フランク・ミラー、幻のダーレン・アロノフスキー監督版『バットマン』について語る

『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督で企画されるも実現しなかった幻の映画『バットマン』について、原作者のフランク・ミラーが語ってくれました。クリストファー・ノーランの『バットマン』とも違う作品になっていたでしょう。

Batman year one

幻の『バットマン』が実現しなかった理由

1999年頃、ワーナー・ブラザーズはシリーズ第5作目となる、バットマン活動初期の秘話を描いた『バットマン:イヤーワン』の監督・脚本として当時『π/パイ』がセンセーションを起こしていたダーレン・アロノフスキーを雇った。つまりクリストファー・ノーラン監督によって製作される『ダークナイト』シリーズの原型と言える。

共同脚本には原作者のフランク・ミラーも加わり、これまでにない『バットマン』として大人向け作品となり、主演候補にはクリント・イーストウッドの名前も挙げられていた。これまでの『バットマン』像をぶち壊すことからはじめられ、実際に企画は動き出していたにも関わらず、実現することはなかった。

その理由についてフランク・ミラーがインタビューで答えている。

この企画は私にとっても初めての経験で、私が創造したバットマンよりもダークなバットマン像を描こうとする作品となるはずだった。私のバットマンは彼(ダーレン・アロノフスキー)には行儀が良すぎたようだ。そのことについて我々はしばしば衝突もしたよ。バットマンは誰かを拷問なんてしないぞ、という具合にね。我々はじっくりと脚本を練り上げ、実際に素晴らしい出来栄えとなったが、そこでワーナー・ブラザーズが入ってきて、「こんな映画は作らせないぞ」となったんだ。上層部は我々に子供も連れていけるような『バットマン』を作らせたかったんだ。でも全然そんな作品ではなかった。オモチャなんて出てこないし、バットモービルもただ派手な車でしかなかった。バットマンは路上に放り出され、放棄された地下鉄の一部にバットケーブを作る。そして彼はバットマンとなり、腐敗した警察や犯罪と戦うことになるんだ。

参照:www.hollywoodreporter.com/heat-vision/a-rare-interview-frank-miller-871654

結局、この企画は頓挫し、『バットマン ビギンズ』をクリストファー・ノーランが監督し、ダーレン・アロノフスキーは代わりに『ファウンテン 永遠につづく愛』(2006)を監督する。

その後『レスラー』(2008)、『ブラック・スワン』(2010)、『ノア 約束の舟』(2014)と監督する作品では必ず物議をかもし続けているダーレン・アロノフスキーだが、彼の撮る予定だったノーランの『ダークナイト』より格段に「ダーク」だったという『バットマン』も見てみたかった。

それにしてもクリント・イーストウッドをバットマンにするというアイデアの詳細は一体どういったものだったのだろう。同時期にはブラッド・ピットやクリスチャン・ベイルの名前を挙がっていたが、年老いた「ダーティ・ハリー」がバットマンとなって独自の倫理と法で犯罪と立ち向かうというプロットは想像するだけで興奮してしまう。

2000年といえばちょうどイーストウッドが『スペースカウボーイ』を監督・主演していた時で、あの頃ですらランニングしてゼーゼー言っていたのだから、バットマンとなってゴッサムを守るとなれば大変だっただろう。 でも見てみたかったなあ。

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