2009年に全米公開されたヒットコメディの続編『モール★コップ2』のレビューです。主演はアダム・サンドラーの作品によく出演するケヴィン・ジェームズ。冴えないデブで、シングルファザーで、警備員のポールがラスベガスで巻き込まれる大騒動。娘を守るためにポールは今日もセグウェイに乗るのだった。
『モール・コップ ラスベガスも俺が守る!/Paul Blart: Mall Cop 2』
全米公開2015年4月17日/日本公開未定/アメリカ映画/94分
監督:アンディ・フィックマン
脚本:ニック・ベケイ、ケビン・ジェームズ
出演:ケヴィン・ジェームズ、レイニ・ロドリゲス、ニール・マクドノー、ダニエラ・アロンソ他
あらすじ
前作の活躍で目出度く伴侶に恵まれたポール(ケヴィン・ジェームズ)だったが、わずか数日の結婚生活後に妻から離婚を申し込まれ、失意にくれていると最愛の母親まで牛乳配送者に轢かれて死亡。踏んだり蹴ったりのポールだったが、ある日、ラスベガスで行われる警備員の会議に招待されたことで一気に舞い上がる。溺愛する一人娘のマヤも連れて行くことにする。
ベガスのホテルでチャックインに手間取るもその間にマヤはなぜか同年代の男の子と仲良くなっていて気が気でないポール。
そして警備員の見本市に参加し、会議に出席するなど忙しく過ごすも、娘マヤとは反目してしまう。
しかしそんな折に、彼らが宿泊するホテルでは、そこに貯蔵する美術品を盗もうとする窃盗団が計画を実行に移そうとしていた。それをたまたま見てしまったマヤは人質にされてしまう。
一人娘のピンチに立ち上がったポール。デブだが妙にすばしっこく、セグウェイを操らせたらピカイチ。そしてアメリカ中の凄腕(?)の警備員たちの力も借りて、ポールは国際犯罪組織に立ち向かうのだった!
レビュー
「ダンス・ダンス・レボリューション」を慈しむように:
真面目で融通が利かない、デブで冴えないシングルファーザーの警備員をケヴィン・ジェームズが素っ頓狂に演じてヒットした前作から早6年。どうせ続編を作るのなら、もっと早くするべきだったとは思うが、そもそもどれだけの人がこの続編を心待ちにしていたのかよくわからないので、それも良しとしよう。
本作は最初からいきなり前作の続きとなっており、妻に離婚を切り出され、母親は早速轢き殺される。こういったくだりが笑えるかどうかに本作の評価はかかっているのだろう(僕は笑いました)。前作もそうだったが『モール★コップ』の面白さとは、真面目で仏頂ズラのポールが、デブでありながらも妙に俊敏に動け、セグウェイを操らせたらピカイチという設定にある。その面白さや見どころとは、どこかのゲームセンターで、一心不乱に「ダンス・ダンス・レボルーション」をリズム感とはまったく違う驚くべき正確さで踊り(踏み)続ける青年を思わず見入ってしまうのに似ていて、笑ってしまうには失礼だが、すごいとも思わない、それでいてほとばしる情熱だけはビシビシ伝わって来るアレと同じである。
ストーリーは、当たり前だが、かなりヒドい。たぶんビールでも飲みながら脚本を書いたのだろう。ギャグのパンチラインも結局はケヴィン・ジェームズの肉体的動きに終始するので、体型を皮肉った笑いが苦手な方にはちっとも面白くないどころか不愉快にさせる可能性もある。しかしその設定そのものが、アメリカの不摂生を皮肉ってもいるわけで、それを差別的と感じるかは個別的な問題かもしれない。まあ、かなりギリギリではあるし、本国アメリカでも酷評にさらされている理由のひとつに挙げられている。
それでも映画史上に名を残すことは絶対にないどうでもいい感動的なスピーチや、冴えない警備員たちがゴレンジャーみたくチームアップするシーンはかなり燃える(笑える)。結局、この映画でやりたかったギャグはそれだけなんだろうと見え透いているのが逆に心地よい。
デブで子離れ出来ていないカッコつけの警備員ポール。彼の人柄が好きか嫌いかで評価される作品で、まちがってもストーリーが甘いとか、演出がチープすぎるとかそんなことはどうでもいいのだ。前作『モール★コップ』が楽しめた方はきっと笑えるだろう一作。でももうこれ以上の続編はいらないのだ。
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ということで『モール★コップ2』のレビューでした。これは間違いなくDVDスルーとなる作品ですので、ある日ツタヤに並んでいるのを見つけて、たまたまその夜はバカになりない気分だったのなら是非鑑賞してみましょう。別に前作を観ていなくても何も変わらないでしょう。そんな物語の厚みみたいなものは全く無関係な作品です。でもこれを観ていると本当にアメリカの肥満問題は切実だと思います。ケヴィン・ジェームズはデカすぎます。ただしセグウェイのドライヴィング技術だけは必見です。
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