2013年も残すところあと僅か。日本も阿部首相の靖国参拝による今後の影響が懸念されていますが、世界に目を向けてみれば、終わりの見えない紛争のためにたくさんの命が奪われています。いいことばかりではないこの世界、今年の国際ニュースとなった世界情勢を振り返っています。
紛争はその内容や対立点から大まかに分類されている。独立や分離の紛争であれば「独立紛争」、民族間での紛争であれば「民族紛争」、国家や国境間での紛争であれば「国際紛争」、などが挙げられる。
Wikipedia “紛争”
2013年12月現在で、世界に広がる紛争の数は40以上あると言われ、その紛争地域に暮らす人々の数はなんと23億人を超えると言われています。これは世界の三分の一の人々がなんらかの紛争の影響下に暮らしていることを意味しています。
・シリア騒乱
2011年6月より続くシリア政府軍と反政府軍による武力衝突。事実上の内戦状態。そもそもは北アフリカのチュニジアを震源としたジャスミン革命の影響でアラブの広範囲で起きた騒乱のひとつ。2013年9月にはシリア国内での化学兵器の使用を巡ってアメリカの軍事介入の動きもあるも、シリア政府軍に近いロシアの仲介によって介入は回避され、化学兵器の無力化作業が行われることになる。
しかし政府軍は2013年12月にも北部の中心都市アレッポに大規模な「たる爆弾」による空爆を決行。これまでの犠牲者は11万人を超え、うち6000人は子供が犠牲になっている。
2013年を通して、国連を含めた国際秩序の無力ぶりの象徴。来年こそは和平に向けたロードマップ作成に世界が協力すべき問題。
・南スーダン危機
2011年に長く内戦状態にあったスーダンから独立し誕生した世界で最も新しい国。もともとスーダン内戦の要因には石油などの資源に恵まれた南部地域を巡っての、南部の黒人と北部のアラブ系民族の対立があるものの、実際には南スーダン内も一枚岩ではなかった。現スーダン政府を構成するSPLA(スーダン人民解放軍)の内部対立に加えて、SPLAに対抗する民兵組織も存在し、今回の内戦危機の引き金になっている。
日本では韓国への弾薬提供のみが話題になることが多いが、実際にはボスニア・ヘルツェゴビア紛争で起きた「スレブレニッツァの虐殺」やルワンダの大虐殺のような悲劇を招く可能性もある。
和平に向けた動きはあるものの、それが形骸化しないように各国の監視は不可欠。
・マリ、エジプト、中央アフリカ共和国、コンゴ民主、リビアなど
アフリカ大陸での紛争地図は9.11以降より混沌となっている。アフガニスタンやイエメンなどから駆除されているアルカイダが広大なアフリカに勢力を延ばしてきている。そのためフランスやアメリカにとっては対岸の火事と言えなくなり、特に北、西アフリカ地域に強い影響力を持つフランスにとっては難しい問題になっている。
・チベット、ウイグル問題
日本ではほとんど報道されないが、中国のチベットやウイグルの状況は危機に瀕している。特にチベットでは中国の同化政策などの抑圧統治に抗議する焼身自殺が多発。ベトナム戦争やチェコのプラハの春では、その行為によって国際的な注目を浴びることになるものの、なぜかチベットに関しては日本のメディアもダンマリ。YouTubeなどではその映像が多くアップされている。内政問題を根拠に正当化される抑圧などはない。チベット、ウイグルの影響下にある土地は中国の全体の三分の一に広がる。チベット、ウイグルの“高度な自治”なしに中国の国際的な正当性がどのように担保されるのか疑問。
・そしてパレスチナ
今年はパレスチナの現状に関するいくつかの映画を観て、それが未だに終わらない、そして新たな局面へと向かいつつある問題であると痛感。国際社会の知恵と協力が求められている。
『我々のものではない世界』レビュー、『壊された5つのカメラ』レビュー
上記に挙げた紛争はまだほんの一部である。紛争とは、戦争とは人類の歴史とほぼ同義であり、それを無くすことは実質不可能なのかもしれないが、その希望へ向けた取り組みを止めたときが、本当に人類の歴史の終わりのように思う。
来年こそは様々な価値観を受け入れつつも、戦争なき世界に向けた取り組みに、全人類が向かうことを願わずにはいられない。
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