カズオ・イシグロ原作のベストセラーを綾瀬はるか主演でドラマ化する『わたしを離さないで』の第2話のレビューです。第1話で衝撃の事実がいきなり明かされ、この後一体どうなってしまうのか！驚きのホラー展開か？
『わたしを離さないで』
出演：綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ
原作：「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ
脚本：森下佳子
音楽：やまだ豊
プロデュース： 渡瀬暁彦 飯田和孝
演出：吉田健 山本剛義 平川雄一朗
製作著作：TBS
第2話 あらすじ
校長の神川恵美子（麻生祐未）から、自分たちが背負った“特別な使命”について聞かされた恭子（幼少期：鈴木梨央）たち。
それぞれ思い思いに事実を受け止め、幼いながらも運命を受け入れていた。しかし、友彦（幼少期：中川翼）だけはぼんやりと学苑を囲う塀を見つめ、外の世界に想いを巡らせている…。
龍子（伊藤歩）は、残酷な使命を背負った子どもたちを天使と表現し、洗脳とも言える説明をした恵美子に「偽善にもほどがある」と詰め寄るが、何も感じていない恵美子に辟易してしまう。
そんな中、年に一度の展示会が迫ってきた。陽光学苑の生徒たちにとっては販売会で使えるコインをもらえる重要な機会。美和（幼少期：瑞城さくら）たちは、マダム（真飛聖）から作品を選んでもらおうと一生懸命創作活動に取り組んでいた。
一方、現代の恭子（綾瀬はるか）は、恭子からすべてを奪った女・美和（水川あさみ）と再会することに…
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レビュー
前作に続き、物語の大部分は外の社会から隔離された学苑を舞台にしている。オープニングで登場した大人になった恭子や美和、そして友彦の少年少女時代ということになる。そして今後の展開に大きく影響しそうないくつかの謎を掘り下げている。
マダムさんはどういった目的があって学苑に関わっているのか？
そしてオープニングで美和が語った「森の殺人鬼事件」とは？
第2話ではこれら謎の足がかりとなりそうなの事件が描かれる。
まずは学苑の壁の外に出た二人の生徒が帰ってこなくなる。生徒たちには行方不明という説明されるが、実際にはこの二人の生徒が外に出てはならないというルールを破ったために、予定よりも早く臓器の提供のために死んでしまった（？）ことが明かされる。
この描写が全然うまくない。第1話でもそうだったが、謎を謎として物語の展開力として使おうとする意思がないのか、まだ明かさなくてもいいはずの答えからまず明かしていく。この「森の殺人鬼事件」に関しては、最初に脱走した生徒たちが教師たちに回収される場面を先に描くから、原作にあったミステリーとしての魅力がまったくない。最後まで生徒たちが教師に見つかったのか否かは隠してほしい。
しかも恭子たちの同級生で真美という大人びた少女が、いちいち少女たちの疑問に答えてくれたりするから謎が謎として深まっていかない。「これはどういうことなんだろうか？」という疑問に視聴者自らが考える暇を全く与えていないのだ。
そして第2話で提示されそして解決される問題として恭子が友彦からもらったCDがなくなり、それが美和の手によって戻されるという話なのだが、こちらは「森の殺人鬼事件」とは違って謎としてうまく演出されていた。
自己顕示欲の強い美和が起こした自作自演と匂わせておいて、ラストには大人になった恭子が再開した美和に自分がやったと告白してみせる。もちろん恭子の告白は信用できない。オープニングから恭子が美和に抱いている感情がネガティブなものだと強調されており、復習を匂わせるような雰囲気もある。一方で美和の性格が幼少よりワガママなことはすでに十分に伝わっているから、彼女のセリフも本音なのか嘘なのかわからない。
このようにしっかりと第3話へと繋がる謎としてCDの行方に関するエピソードが描かれている。
そんな感じで第2話は終わっていく。印象としてはやはり少年少女のエピソードが大部分になるため、なかなかキツイ。しかもまだ次も同じような展開になりそうだから、裏番組のジブリを意識しているのかもしれないのだが、ここは尺の長いドラマなのだから現在と過去を当分くらいに配分しても良さそうだ。ちょっと子役に全部任せるのは夜10時のドラマとしてはキツイ。
そして前話で示唆された恭子が抱く美和への復讐心が本話ではよりはっきりと描かれる。
それでもドラマ版『わたしを離さないで』をまだ面白いとは思えない。 さて来週ぼくはまたレビューするのでしょうか。
そんなこと誰にもわからない（綾瀬はるかのナレーション風）。
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