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『なんちゃって家族/We’re The Millers』レビュー “マリファナ解禁記念映画?”

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2014年最初の映画レビューは、アメリカでヒットしたコメディー映画『なんちゃって家族』。先日、アメリカで初めてマリファナを嗜好品として合法的に販売をはじめたコロラド。日本とは違ってアメリカではマリファナはそれほどシリアスなものではないようです。この『なんちゃって家族』は麻薬ディーラーを主人公にした爆笑コメディー映画でした。出演は『モンスター上司』でも共演した、ジェイソン・サダイキスと『フレンズ』のジェニファー・アニンストン。日本公開は2014年1月25日。

ストーリー

デイヴィッドは中年にもなってマリファナの売人をしている独身男。ホームレスの女の子が不良に絡まれているのを仕方なく助けようとしたために逆襲をくらい、ボスから預かっていたマリファナや現金の全てを盗まれてしまう。

ボスに呼び出されたデイヴィッドは、失態を見逃す代わりに、メキシコまで行ってマリファナを密輸することを強要され仕方なく承諾する。どうやって怪しまれずに国境を超えるか、思案した結果、近所に住むストリッパーのローズ(ジェニファー・アニンストン)と親が蒸発した童貞の少年そしてホームレスの女の子を雇ってミラーという家族を装いメキシコへ向かう。

メキシコに入国した“なんちゃって家族”のミラー一家は、キャンピングカーに乗り込んで、大量のマリファナを調達。ガチガチに緊張した状態で国境に到着するも、ローズの機転もあって何とか突破。これで安心かと思えばキャンピングカーが故障。それを牽引して修理場まで運んでくれたのがなんとDEA(麻薬取締官)の家族だったり、メキシコで運び込んだマリファナは実は敵対する麻薬組織のものだったりと続々とトラブルに巻き込まれるミラー一家。

でこぼこなんちゃって家族は、 無事に任務を達成することができるのだろうか。

レビュー

本作は映画評論家が基準となっているRotten Tomatoesでは低評価ながらも視聴者の評価ではなかなか高得点をたたき出してヒットした作品で、劇中には何度もマリファナが登場します。

2014年にアメリカ国内で医療目的以外では初めて合法的にマリファナが販売されたコロラド州。現在アメリカ国内では医療目的での販売が認められている州がいくつかありますが、今回のコロラドのケースによって他の州でも完全合法化へ向けた法整備が進んでいくと言われています。その背景にはアメリカ国内に当たり前のように流通しているマリファナが、地下組織の資金源となっており、それが隣国のメキシコへと流れていることにあります。もはやコントロール不可能なほどに浸透してしまったマリファナを巡る資金を地下から地上に引き上げることで、雇用と税収を確保できるというのです。是非論はともかく、アメリカや多くのヨーロッパ諸国ではマリファナは日本などと比較しても随分と寛容なようです。本作を見てもマリファナはジョークの対象になっても批判の対象ではありません。きっと日本ではその点で違和感を感じられる場合もあることでしょう。

しかし本作はコメディー映画。ややこしい倫理観を劇場の外に置いておけば、かなり笑えるシーンがたくさんあります。特にミラー一家に降り掛かる自業自得的災難のなかでも、童貞少年のキン◯マがタランチュラに噛まれてパンパンに晴れ上がるシーンは、なんとも言えない哀愁があって最高でした。

本作のタイトルからも分かるように主要なテーマは家族の在り方なのでしょうが、そっちの方は結構どうでもよくて、個性豊かなミラー家族の面々のやり取りでどこまで笑えるか、ということでこの映画への評価は変わってくるでしょう。またアメリカにおけるマリファナ事情を計り知るにも面白いテキストだと思います。特に一番最後のオチはなかなか不謹慎で洒落ています。

また大人気ドラマ『フレンズ』で国民的人気女優になったジェニファー・アニンストンのはじけぶりも注目。前作の『モンスター上司』では頭のおかしいセクシーな歯科医を演じ、本作ではくたびれたストリッパー。かなり下品なセリフも、これがなかなか違和感なく楽しめます。

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ということでマリファナ・コメディーという日本にはないジャンルの映画です。不謹慎や下品を楽しめない方にはオススメしませんが、とにかくバカを見て笑いたいという方は是非ご鑑賞ください。この映画で良かったのは、登場人物たちが劇中を通してしっかりと成長しながらも、全然懲りていないところでした。ラストのワンカットでそれを表現するあたりが憎いです。日本でも報道されたマリファナ解禁のニュースですが、この映画を見るとまた違った感じ方ができるかもしれません。

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